応神祭
「おい、今年の応神祭は絶対リベンジすっぞ!」王将でニンニクマシマシ餃子定食を食べながら頼政がなんか燃えてる。
「あ〜ッ、確かに去年はヤラれたよね〜」友美は迷い箸しながら答える。
応神祭とは大学の文化祭だ。
去年は1年でテキトーに入った歴史研究会だったので、研究発表をナメていた。
すると、他のグループが動画をAIで生成して平安京がいかに京都へと変わっていったか解説したり、国会図書館まで文献探して応仁の乱の新説発表したりとすごいハイレベルだったのだ。
実は、この大学偏差値大したことないのに京都学派の最高峰と言われてる安藤先生が学長を請け負ってから
猛者が集まって来てるのだ。
安藤先生のお墨付きがあれば、京大の研究室も夢ではない!
京大はノーベル賞への近道!
「俺らは学者になんかなる気ないのにさあ〜
周りがスゴイと親が見てる前で恥ずかしいんだよ!全く!」友美と頼政は不運だったのだ。
皆、研究発表には、それなりのメンツを揃えたがるので、自然と友美と頼政は外される。
「安藤先生って、そんなに凄いのか?俺分かんないよ〜」頼政がグッタリする。
「さあ?分かんないよ。空海研究の第一人者なんだよ。空海がなぜ未来に再生を誓ったのか?とか、誰か前例を見たんじゃないかとか調べてる人なんだよ。」友美も良く分かってない。
「でさっ、この間友美のお母さんの職場の人が急に亡くなって鵺の鳴き声を聞いたとか言ってたじゃん!」頼政が友美の方へ椅子を回す。
「ああ〜噂だよ。葬儀は今どきだからしなかったけど、私の保育園時代の先生だったんだよ、亡くなった淀川先生。
だから、母と私はコッソリとお線香上げに行ったんだよ。
そしたら、旦那さんがボーッと外見ながら聞いたことない鳥の声がしたって。鳴きマネしたんだよ。
そしたら、母がそれは鵺だって言い出して。」友美が話す。
「なんでお母さん分かったの?」頼政がたずねる。
「言ってなかったっけ?ウチ、藤原じゃん。実は大正まで子爵だったんだよ。つまり藤原の傍系なんだよ。」友美がうろ覚えの親の話を思い出しながら話す。
「えーと、つまり分家の分家みたいな?」頼政が聞く。
「そうそう、藤原家はとにかく恨まれる事が多かったから鵺の話も親戚集まると良くしててね〜
うちの辺りって平安時代の東三条院だから鵺の森だから。
母が昔住んでたお屋敷に皆集まっても夜とか怖がってたらしいよ、親戚が。」友美が語る。
「えっ、今のお前っ家って…普通の建て売りじゃん!」頼政は何回かお邪魔してる。
「だ〜か〜ら〜、祖父が超道楽でお屋敷売っちゃったんだよ〜
でもおかげで親戚が集まらなくなって祖母は嬉しかったって。文化住宅で6畳1間暮らしになって、あの家は
父が買ったんだよ!」友美が解説した。
「つまり〜友美の母さんは親戚の集まりで鵺の鳴き声を教えて貰っていたと?」頼政が聞くと友美がうんうんとうなづく。
「そこでだ!」頼政がニマッと笑う。
「今度の応神祭に俺らは『鵺は今も存在するのか?』って研究発表しね?」頼政が胸を張って話す。
「エ〜ッ、そんなに調べられるかな?文献も多くないよ?どうするの?」友美が不安がる。
「ちがう!俺らは文献調べる力ないだろ?
だから〜現地調査するんだよ。
毎晩、音を探して東三条院つまりお前の家の周りを探るんだよ。
だから、俺をお前の家に置いてくれよ!頼む!」頼政が頭を下げる。
「…もしかして、家賃滞納したの?」友美が気付く。
「パチンコとマージャンでスッたんだよ〜そしたら、大家が怒って出てけ!って。」頼政が媚を売る。
「ほら、お父さんが北海道に単身赴任中だろ?女だけだと心配じゃん!俺がお母さんと友美を守らないと!」友美が難しい顔をして腕を組む。
友美と頼政は付き合っていないのだが、母と父は勝手に誤解してる。
で、調子の良い頼政は、男兄弟の末っ子なので入婿したいと父と母を籠絡しているのだ。
丹波のド田舎らしく京都に家を持つのが憧れらしい。
「言っとくけど、私達そういう関係じゃないからね!
私は昔保育園帰りに見た憧れのお兄さんをまだ探してるからね!分かった?」友美が念を押す。
「学祭で発表するまでだよ?いい?分かった?」再度念を押す。




