野蛮人
「そうよ!アナタ、元は警察の野蛮人なのよね。
焚き付けてやろうと煽ったのに無視して、つまんなかったわ。
もっと遊びたかったのに〜」ケタケタと清子さんが笑う。
本当に学童を憂さ晴らしの場所だと思っていたのだ。
「分かってたから無視してんたんだよ!この化粧オバケ!
香水でババアのうん◯の臭い消えてないんだよ!
金に目がくらんで、良いように使われて利用されて!
みっともない女だよ!ちゃんと裁判でもぎ取れよ!
勝てる自信ないから、学童へ来たのかよ!」
恭子さんは、こんなガラの大変悪いヤクザみたいな人だったとは…
「うるさい!うるさい!だまれ!だまれ!
どうしても排泄物の臭いが取れなくて…寝ててもずっとトイレで寝てるみたいで…
私がどんな思いで介護してきたと思うのよ!
夜だってまともに寝られたことないのよ!この10年!
毎晩10回以上トイレ連れて行って、でも漏らして、私の顔に塗りたくるのよ!あのクソババア!
旦那が陰で秘書とあのクソ臭嫁と笑っていたのも知ってるわよ!
あの老いぼれに!
金のためじゃなきゃ、世間体の為じゃなきゃ!
嫁ぐ訳ないじゃん!
クソックソックソーーーーーッ!」
清子さんの身体が、どんどん変化していく。
身体中に毛が生え、顔はしわしわと赤ら顔の猿に。手は大きな爪が生え、身体は四つんばいの虎に。
尻尾がみるみる伸びて蛇のように。
叫ぶ声も鳥のように…
「ヤバい!」恭子が竹刀で清子さんだった者のノドを一突きにした。
スゴい力だったのか?ノドに穴が空いた。
学童の玄関扉のガラス戸に竹刀ごと鵺が張り付けにされた。
受付後ろの窓から友美を連れて上履きのまま逃げ出した。校庭に飛び出す。
「友美!」バイクのまま、頼政が校庭に乗り込んできた。夜空に巨大なスフィンクスのようなシルエットが浮かぶ。
ノドの穴が塞がらないのか声は聞こえない。
が、フゴーフゴーと風切音はする。
「アレが鵺なのか?スゴい!不死身なのか?ノドに穴が空いてるのに!」ノドだけ後ろの月が見える。
「恭子さん!」有間も校庭に入ってきた。
「連絡はしたけど、アキラが本当にダウンしてるんだ。地霊が鵺に味方してる。
いつもはアキラ寄りなんだが…」有間が困惑してる。
死者達はいつもアキラに味方してたのに。
「鵺は、家制度の為に犠牲となった女達の怨念ですからね!仕方ないですよ!それより、穴がどんどん塞がってきてませんか?
声を聞いたら全員死にますよ!」恭子はジリジリと焦るが、高く飛ばれて、もう攻撃できない。
必死で考えるが、このままでは皆殺しだ。




