ええ格好しい
「なんか1日見てて分かったよ。」友美がバイクを降りて呟く。
「エッ、誰?」頼政が質問する。
「あの清子さんて言う人。」「ああ〜あの化粧オバケ?」頼政が全くどうでも良い人なので興味がないようだ。
「スゴい見栄っ張りなんだよ。
人に認められたくて人に良く思われたいんだよ。」友美が話す。
「エエッ!全く反対じゃないの?不機嫌ハラスメントしてたら、人に嫌われて遠ざかられるだけじゃん!」頼政が驚く。
「あの人、きっと囲いのない場所を知らないんだよ。
学校とか会社とか家とか。囲いがあって、機嫌悪くても嫌々でも人が離れない場所しか知らないんだよ。
フキハラで人が離れると知らないんだよ。」家に帰り母親の安心した顔を見ながら話す。
「へ〜ッ、友達付き合いとかどうしてるんだろね。知らんけど。」頼政が興味が無いので反応薄い。
「さあ、愚痴聞くの好きな人も居るから、話す事に困らないんじゃない?
それにあの人、良い所の奥さんなんでしょ?
ねえ」母のミキに話を振る。
「そうそう、ここらで唯一没落してない元華族の家柄で大豪邸に住んでるよ、まだ。
でもね〜旦那さんは70だし、義母は100近くでボケてるのに施設にも入れさせて貰えないって。
いつも嘆いてるよ〜可哀想なんだよ。」母が同情してる。
「そこだよ!本当なら色々調べて施設見学でも自分だけでもすれば良いんだよ!
電話で話聞くだけでも、パンフ送ってもらったりさ。
それもしないで学童来て憂さ晴らしするだけ!
つまり旦那さんや元嫁とかに薄情な嫁って言われたくないだけでしょ?
特に義母さんが好きでも世話したい訳でも無いのにさ。
だいたい相続で1ミリも関係ないんだから、全てボランティアなんだよ?
ええ格好しいしかやらないよ〜そんな事!」友美の年齢から見たら、そうしか見えないのだ。
「そうか!あのハデハデなメイクも香水も、人に良く思われたいから飾るんだもんな!鳥も人間も!
フキハラするのは、人間として認めてない下々だから好かれなくて良いのか?
俺らはその他なんだな!理解した!」頼政が面白がる。
「もう〜っ、ヒドい言い草ね!でも、あの家も土地も旦那さんと息子さん達が継ぐんだもんね〜そうか!」友美母が合点する。
「エッ、息子さん達は清子さんと相続争うんじゃないの?将来?」友美が驚く。
「良い家柄てのは、相続に孫も入るのよ〜
義母さんと旦那さんで分けた時に義母さんが亡くなったら、その相続はお孫さん達で分けると公正証書作ってるの。
まあ、つまり嫁さんに後々持っていかれないための防護柵ね。そして、義母さんは土地と家を全部権利持ってるから、それがお孫さんに全て行くの。
確か清子さんの旦那さんは株券と現金しかお父様から相続してないのよ。
代々続く家は、そうするものよ。税金をすぐ払う立場の人に現金を寄せるの。夫婦の相続は持ち家に税金掛からないからね。
だから、あの家と土地はお孫さん達が現金化して3等分して引き継ぐはずよ。
確か〜台湾の富豪と商談してるはず。」友美母は、元が華族の家系なので屋敷の売り買いは生前から進めるものだと知ってるのだ。
そこをちゃんとしない孤立した富豪老人が、犯罪者集団に狙われるのだ。
頼政と友美は呆然とする。
「じゃ、前の奥様が義父が亡くなった時にそれを知って離婚したと言う事?」友美が他人事ながらヒドい話で震える。
「そう!そして、それは新しい奥様に話す義務もないしね。義母さんが亡くなった後にあの家屋敷を追われてビックリするんじゃないかな?」頼政も震える。
「ヒエ〜ッ!金持ちの家って怖い!俺、サラリーマンの家の子で良かったよ〜」頼政がため息をつく。
「でしょ!母も私も財産失くして家屋敷失くして、結構6畳1間生活気に入ったのよ〜持ってて父が死んだら、泥沼の相続争いに巻き込まれるはずだったから。」友美の母がニコニコしてる。
「あのさ…それ、清子さんにお母さん話してないの?
なんで?」友美は気になる。
「えっ、だってお金の話なんて清子さんしないし。質問もされた事ないし〜
お金だけはあるって、いつも話してるし〜
私は介護の苦労話聞くだけで質問された事ないもん。
だいたい金持ち同士は結婚する時に弁護士税理士挟んで細かい契約を決めるものだし。
要らないお世話だわ。」と当然のように元華族の孫はふくれた。




