第4話 出発の日
どうも、こんにちは!
寂しがり屋のサンタクロースです
本日も本作をご覧いただき、ありがとうございます!
この作品は、戦うつもりなんてなかった元社畜が、のんびり農民として暮らそうとした結果――気づけば世界最強になっていたという、スローライフ系異世界転生ファンタジーです
今回のお話は、【 リンドウの“農民としての誇り”と“新たな決意”が明確に 】です。
主人公・リンドウの視点から、少しずつ広がっていく世界や、キャラクターたちの小さな変化を楽しんでいただければ嬉しいです!
それでは、【第4話】をお楽しみください!
――寂しがり屋のサンタクロース
――出発の朝は、思っていたよりも静かだった。
空は雲ひとつない青空。
昨日までと同じように、鳥の鳴き声が聞こえ、村の風は心地よく頬を撫でていく。
けれど、今日だけはすべてが少し違って見えた。
「……今日から、俺は“農民”じゃなくなるのか」
荷物といっても、農具と最低限の着替えくらいしかない。
戦うための装備なんて一つもないし、鎧も剣もない。
だが、王都へ行く以上、“冒険者候補”としての人生が始まるのだ。
◇
「リンドウ、もう起きてるのね」
母が優しく声をかけてきた。手には温かいパンと野菜スープ。
“最後の朝食”だと思うと、胸の奥が少しだけ痛んだ。
「うん、ありがとう。……なんか、実感わかないな」
「当たり前よ。昨日まで畑を耕してた子が、今日から王都行きなんだもの」
母は少し笑って、それから寂しそうな目で俺を見た。
「……でもね、誇りに思ってるの。あなたは、この村の希望だから」
「俺は、ただの農民だよ」
「“ただの農民”が、オーガを倒して、王都から呼ばれたのよ? 胸を張りなさい」
母の言葉が、静かに心に染みた。
◇
家の外に出ると、父と弟妹たちが待っていた。
皆、笑顔で手を振っている。けれど、その目はやっぱり少しだけ寂しそうだ。
「父さん、今までありがとう」
「何を言ってるんだ。まだ終わりじゃないだろう。……行ってこい、リンドウ。畑は俺たちに任せろ」
「兄ちゃん! ぜったい帰ってきてね!」
「お土産、絶対買ってきてよ!」
「……おまえら、王都ってそんなに気軽に行ける場所じゃないんだぞ」
笑いながら頭を撫でると、みんなが声を上げて笑った。
――ああ、やっぱりこの村が好きだ。この空気が好きだ。
だからこそ、必ず帰ってこよう。
強くなって、胸を張って、この道をまた戻ってこよう。
◇
「――リンドウ殿」
村の入り口で待っていたのは、王都から来た騎士・ギルバートだった。
あの時の威圧的な雰囲気は少し和らぎ、今は穏やかな顔をしている。
「準備は整ったか?」
「ええ。……まぁ、心の準備はまだですけど」
「心など、旅の途中でできるものだ」
ギルバートはわずかに笑って、馬車の扉を開けた。
「王都までは五日の道のりだ。道中は我々が護衛する。安心して乗るがいい」
「……はい」
振り返ると、村人たちが大勢集まっていた。
手を振る人、涙を流す人、声を枯らして名前を呼ぶ人――その全てが、俺の背中を押してくれているようだった。
「リンドウ! 頑張れよー!」
「帰ってきたら自慢させろよー!」
「今度は“農民の勇者”だ!」
……勇者って、そんな大層なもんじゃないけどな。
でも、心の奥でほんの少しだけ、胸が熱くなっていた。
◇
ゴトゴトと馬車が動き出す。
見慣れた景色がゆっくりと後ろへ遠ざかっていく。
「……行ってくるよ、みんな」
小さく呟いた言葉は、風に乗って消えていった。
――ただの農民として生まれた俺が、いま新しい世界へと踏み出す。
この旅の先に何が待っているのか、まだ何もわからない。
だが一つだけ確かなことがある。
「……絶対、帰ってくる」
畑の土の匂いが残る手を握りしめながら、俺は静かに誓った。
ここまで読んでいただき、ありがとうございます!
寂しがり屋のサンタクロースです
今回のお話は【 家族・村人たちとの温かい別れが描かれる 】でした。
リンドウの“のんびり農民ライフ”はまだまだ始まったばかりですが、今後も少しずつ世界が広がっていきますので、ぜひ楽しみにしていてください
次回は【 舞台は王都…の街道? 】になります。
感想・ブクマ・評価など、どれかひとつでもいただけると作者は泣いて喜び、鍬を振り回しながら原稿が爆速になります
応援してくださる皆さんと一緒に、ゆっくりと物語を育てていけたら嬉しいです!
それでは、次回もどうぞよろしくお願いします!
――寂しがり屋のサンタクロース




