第2話 村の英雄(?)
どうも、こんにちは!
寂しがり屋のサンタクロースです
今日も本作をご覧いただきありがとうございます!
今回の第2話は、「オーガ撃退後の村の反応」が描かれます。
ただの農民として静かに暮らすはずだったリンドウですが、村の人々の評価は一変し、ついには王都までもがその力に目をつけることに……!
本人は「畑耕したいだけ」なのに、周囲だけがどんどん大事にしていく、この**“ギャップコメディ感”**を楽しんでいただければ嬉しいです
ここから物語は、少しずつ“日常”から“世界”へと広がっていきます。
農民最強伝説、まだまだ序章! 感想・ブクマ・評価などで応援していただけると、作者が大喜びしながら鍬を振り回します
それでは、第2話をどうぞ!
――寂しがり屋のサンタクロース
――昨日のことは、正直、自分でもよくわかっていなかった。
畑の近くでオーガが暴れていて、子どもが危険な目にあっていた。
だから鍬を握って飛び出して……気がつけば、俺はあの化け物を“吹っ飛ばしていた”。
いや、待て。吹っ飛ばしたってなんだよ。鍬一本で。
自分でも「は?」ってなるだろ、普通。
◇
「リンドウー! お前昨日すげぇことしたんだってな!」
朝から近所のじいさんが、家の前まで走ってきた。
畑の手入れ前に顔を出した俺に、いきなり肩をバンバン叩いてくる。
「いや、すげぇことって……別に、子どもを助けただけだよ」
「助けただけって……あのオーガだぞ? 普通は十人でも勝てねぇんだ! 鍬で一撃って、お前人間か!?」
「いや、人間だよ……たぶん」
笑ってごまかすが、周囲の目は明らかに昨日までとは違っていた。
「村の英雄だ」「冒険者でも勝てない相手を」「救世主だ」
そんな言葉が勝手に飛び交って、なんか知らんが、俺の評価が爆上がりしていた。
――違う、そうじゃない。俺はただの農民なんだ。
昨日はたまたま、ちょっと力が出ただけで……。
「リンドウ兄ちゃん、すごかったんだよ! オーガが“ドーン”って飛んでった!」
「リンドウさん、あの時の姿、まるで“武神”みたいでした!」
「いや、違うって。鍬の角度がよかっただけだって」
……通じない。
◇
昼過ぎ、村長の家に呼び出された俺は、真面目な顔の老人にこう言われた。
「リンドウ、お前……もしかしたら“加護”を授かっているのかもしれん」
「加護、ですか?」
「神々からの祝福だ。強き力を持つ者は、まれに授かる。だが、それは“選ばれた者”だけが得られるものだ」
加護なんて、俺は授かった覚えがない。
そもそも神様と話した記憶もなければ、祈ったことすらない。
「……いや、そんな大層なものじゃないですよ。たぶん、ただの筋トレの成果です」
「筋トレでオーガは吹き飛ばん」
ですよね。
◇
夜。星空の下、ひとり畑に立ちながら、俺は自分の手を見つめていた。
「……俺、なんなんだろうな」
この世界の常識が、少しずつ壊れていくのを感じる。
ただ畑を耕して、水をやって、作物を育てていただけだ。
特別な訓練もしていないし、戦ったことだってない。
それなのに、オーガを倒せる力を持っている。
これは本当に“偶然”なのか?
それとも、俺の中に何か“理由”があるのか?
「……ま、考えてもわかんないか」
空を仰ぎ、ゆっくりと息を吐く。
俺は戦士でも、冒険者でもない。
ただの“農民”――のはずだ。
けれど、その“ただの農民”という言葉は、もうこの村では誰も信じていなかった。
◇
翌日、村の掲示板に一枚の紙が貼られた。
【王都より冒険者選抜の使者が来訪予定】
【村の勇者、名簿に推薦】
……勇者? え、俺? いやいや、なんでだよ。
「……やばい、畑耕してただけなのに人生がズレてきた」
俺の“のんびり農民ライフ”は、どうやら平穏では終わらなさそうだった。
◇
村の広場に集まった村人たちの前で、立派な鎧を着た壮年の男が馬車から降りた。
背筋がピンと伸び、眼光は鋭く、声は雷のように響く。
「辺境アーベント村の者たちよ! 王都より来た、第一騎士団副隊長――ギルバート・エインズである!」
広場がざわつく。
王都の騎士団……それはこの国で最も強く、最も格式ある組織の一つだ。
そんな人物が、なぜこんな片田舎へ?
「この村に、“オーガを鍬一つで討伐した若者”がいると聞いて参った!」
……出た。
絶対その話が広まってると思ってたけど、まさか王都まで届いてるとは。
「名は……“リンドウ”だな?」
「……は、はい。俺です」
全員の視線が一斉に集まる中、しぶしぶ手を挙げると、ギルバートと名乗った男がじっと俺を見つめてきた。
「なるほど……見た目はただの農民だが、眼の奥が違うな。貴殿、冒険者としての道に興味はないか?」
「いや、ありません」
即答。
間髪入れず返した俺に、広場が一瞬静まり返った。
「……な、なぜだ? 貴殿ほどの力があれば、王国の未来をも変えられるのだぞ!」
「すみません。畑を耕すので忙しいんです」
ギルバートの眉がピクピクと動く。
周囲の村人も「はぁ!?」と叫び声を上げた。
「お前、王都行き断ったのか!?」
「ちょ、ちょっと考え直せ! 名誉も金も地位も手に入るんだぞ!」
「でも俺、別にいらないし……」
本気でそう思っていた。
俺はただ、畑で作物を育てて、平和に暮らせればそれでいい。
戦いなんて御免だ。社畜時代、出世も競争も散々味わってもう懲りている。
◇
「……だが、これは“王命”でもある」
「……え?」
「貴殿は正式に“冒険者候補生”として、王都へ出向してもらう。これは義務だ」
ギルバートの声は容赦がなかった。
ざわつく村人たち。俺の背筋が、嫌な予感でぞくりとする。
「いや、義務って……俺、農民ですけど?」
「農民であろうと、国の脅威となる魔物を討ったのは事実。王はその力を見過ごさぬ」
「……マジかよ」
逃げ道、なし。
◇
その夜、家に帰って家族に報告すると、みんなが大喜びしていた。
「リンドウが王都へ!? すごいじゃないか!」
「きっと立派な冒険者になるよ! あのオーガを倒したんだから!」
「……いや、俺は農民でいたいんだけど」
だが誰も聞いていない。
気づけば家中が“出発祝い”の準備で慌ただしくなっていた。
――こうして、俺の“のんびり農民ライフ”は、思ってもみなかった方向へと動き出したのだった。
ここまで読んでいただき、ありがとうございます!
寂しがり屋のサンタクロースです
今回のお話は【ただの農民だったリンドウが“村の英雄”として注目され、王都の使者から予想外の使命を告げられる転機の回。】でした。
リンドウの“のんびり農民ライフ”はまだまだ始まったばかりですが、今後も少しずつ世界が広がっていきますので、ぜひ楽しみにしていてください
【次回予告】
王都からの“冒険者候補”任命に戸惑うリンドウ。
本当に自分が行くしかないのか――迷いながらも、村の神殿で初めての「ステータス鑑定」を受けることに。
そこで明らかになるのは、常識では考えられない“とんでもない数値”と、“未知のスキル”だった……!
次回、**「鑑定と真の力」**──物語が大きく動き出す!
感想・ブクマ・評価など、どれかひとつでもいただけると作者は泣いて喜び、鍬を振り回しながら原稿が爆速になります
応援してくださる皆さんと一緒に、ゆっくりと物語を育てていけたら嬉しいです!
それでは、次回もどうぞよろしくお願いします!
――寂しがり屋のサンタクロース




