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いせかいノ歴史  作者: アワアビ
3/4

ランスイセン島の戦い・炎の舞

 残り時間30分。無人島生活で体力の自信がある彼は少し気持ちが楽になった。エルフであるウイネルの攻撃が激しくなった分、全部避ける事が出来ず何ヵ所か傷が付く。疲れているはずなのに休む事なく攻撃が続く...


 徐々にウイネルの顔に余裕がなくなりはじめてきた。致命的な攻撃が中々当たらずイライラし焦りが見え始めたのだ。その分無駄な動きが増え、所々簡単に避けられるようになる。


 しかし、ウイネルがイライラしている理由は他にもあった。周りの障害物が一切ない。これだけはウイネルにとって有利ではあるものの、不利な条件があまりにも多かった。


①相手に逃げられないように回り込みながら戦わないといけない事。

②砂浜で地面が柔らかくバランスを崩しやすい。

③時間制限がある。

④とにかく狭い。

⑤攻撃が激しくなった分、砂煙が充満してしまい目の妨げになる。

⑥素っ裸の男性1人に手こずっている事実。


 ウイネルの表情にだんだんと余裕が無くなり険しくなっていた。この辺りから息切れもするようになった。


「邪魔だぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ...」


突然の怒涛の叫びが当たりに響く。彼と天使の子供ソフィは思わず耳を塞ぐ。ウイネルが手を止め思いっきり叫ぶ事で多少はスッキリしたのか、冷静になる。呼吸を整え再び彼を見る。


 いくら槍で攻撃を仕掛けても彼には届かない。これ以上続けても時間を無駄にするだけ...そう判断したウイネルはジャンプで後方に下がり彼から距離を取る。


 持っていた槍を天に掲げる。刃先が赤くなりやがては火に変わる。


『炎槍・炎の舞』


 槍を片手で器用に激しく回し始めた。自身もダンスをするような感じで舞う。火の玉がひとつ、またひとつ出現し、やがては島全体を覆うくらいの数になった。


 『炎陽光乱槍』これがウイネルが扱う武器の名前だ。槍を再び天に掲げ、ゆっくりと槍を彼に向けた。


 『溶炎球』そう言うと全ての火の玉が彼を襲う。こうなったら海へ逃げるしかない。一瞬の判断で無我夢中で海へ走り飛び込もうとするも火の玉の方が速く背中に命中する。彼を襲う火の玉は容赦なく次々と彼を襲い続け這いつくばってでも海へ避難しようとする彼の動きを止めてしまうほどで彼はただじっと耐えるしかなかった。


 爆発による爆風と熱により無人島の気温が一気に上昇する。火の玉の攻撃が終わる頃には無人島全体を覆うように砂煙が充満する。槍が元の姿に戻るとウイネルは歩きソフィ隣に立ち砂煙が晴れるのを待つ。


残り時間20分。


 待っている間、ウイネルがソフィに落ち着かない様子でチラチラと目を向ける。


ソフィは不思議そうにウイネルを見つめる。


 ウイネルは槍を地面に突き刺し、両手で砂がついた髪を払う。


 実は大人であるウイネルは子供であるソフィにお金を借りていたのだった。


 ある日、修理にだしていた槍を2人で買い物ついでに取りにきていた。その道中スリに遭ってしまい、ソフィにお金を借りる事になってしまった。


 ソフィはお金を取られなかった。理由は単純に子供だったからだ。ソフィが1人でいたのなら子供を誘拐してお金を取ろう。などが遭う事もあるだろう。しかし、大人と子供がいてお金を持っているのはどっちか?と2択になった場合子供が持っているとは普通思わない。だからこそソフィのお金は無事だったのだ。


 ソフィがウイネルをお金を返さないで良い代わりとしてこの島に連れてきた。おそらく本当にこんなんでいいのか?と聞きたいのだろう。ソフィはもちろん。と短く返事をしたのだった。


残り時間17分。


 ようやく煙が晴れようとする。2人は倒れて気絶していると思われる彼を運ぼうと彼に近寄る。がらその歩はすぐに止まる。彼は敵に背を向けたまま立っていたのだ。


 数百発ほど命中したであろう火の玉を受けて一度は倒れ込んだのにも関わらず平然と立っていた。まだ立てるのか?タフなのか?それともあまり効いていないのか?いくつか疑問が出てくるがこの時の2人は頭があまりまわらず、ただ唖然としていた。


 彼が振り向き前へ進む。2人は一瞬、彼を恐れたのか1歩下がる。島の中央辺りまで進むとそこで立ち止まった。彼はただじっと2人の様子を見ていた。


 彼はなぜ逃げないのか?今なら逃げる事が出来た。勝つ手段があるのか?いや、ひとまず考えるのはよそう。ウイネルも前へ進み再び槍を構え戦闘態勢にはいる。


残り時間15分


お互いに緊張が走る。槍の先端が再び炎に変わる。


 『火炎槍』そう叫ぶと彼に向かって槍を右肩からナナメに大きく振るう。彼は右手で槍の太刀打ちと呼ばれる部分の少し後ろの部分に手を掴む。お互いに見つめ合い鍔迫り合いが始まる。


 2人の気合いの叫びが響く...彼が槍を払い除けるとウイネルに殴りかかる。彼が初めて反撃した瞬間だった。ウイネルも彼に斬りかかりその場で攻防が激しく続く...まるで戦いを楽しんでいるかのように2人の顔が引き締まる。


 さっきまで邪魔だった砂を利用し槍で砂煙を起こす。目眩しで自分が相手から見えなくしその隙をついて真っ直ぐ相手を突く。しかし攻撃を外す。彼の姿はなくいつの間にか背後にまわっていた。彼は腕を振るうもそれをソフィはそれを交わす。


残り時間4分


 ウイネルは一度距離を取り槍をソフィにパスをするようかのように投げる。彼女は最後の手段に出る。

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