209 災厄の迷宮
カラミティの後を追って見知らぬ場所に辿り着き、ライ・ラムサスを助けるために、要救助者の信号を目指して砦のような大きな建物へ辿り着いたルーファスは、張られていた隔離結界を破壊せずに通り抜ける方法を考えました。そうして呆気なく中へ足を踏み入れることに成功しましたが…?
【 第二百九話 災厄の迷宮 】
「――それで、どうやってこの隔離結界を破壊せずに通り抜けるのですか?」
目の前で磨り硝子のように輝く障壁を見て、サイードが俺に尋ねる。
それは極当たり前のことだが、『隔離結界』というのは、何者をも障壁を通さないからこそ『隔離』という。
隔離結界は基本的に、施術者が解除するか、強引に障壁を破壊しない限り通ることはできない。
しかも施術者が相当な魔力の持ち主だったりすると、破壊するにもそれを上回る魔力がなければ簡単に行かず、破壊したら破壊したで施術者にすぐばれるので、普通なら気づかれないように通過するのはほぼ不可能だ。
だが俺に限っては、たとえカラミティが張ったものだとしても、この隔離結界を壊さず通り抜けるのはそこまで大変じゃなかった。
なぜなら俺には、それを可能にする数多くの魔法や技能と、膨大な情報が記録されている自己管理システムがあるからだ。
「サイードは各種魔法の完全同質による融合性についてはわかるか?」
「ええ、わかります。施術者から魔力の質、発動する魔法の構築術式まで完全に同様の術であれば、既に発動している魔法と融合させることが可能になるという原理ですね。」
「うん。その条件の一つである『施術者』は異なってしまうけど、俺には『解析複写』という魔法技能があって、他者の使用した魔法を完全に自分の物とすることが出来るんだ。」
「…それも知っています。以前あなたが私の使った魔法を『トレース』して、ちゃっかり自分で使えるようにしていましたからね。」
ぎく…まずい、藪を突いたか?さらりとサイードから嫌味が出たぞ。クリスの家で黙って魔法を覚えさせて貰った時のこと、結構根に持っているんだな…
「う…ま、まあ、そうなんだけど…とにかく、その魔技の応用でこの隔離結界を解析複写して、俺達の周囲に施すんだ。そうして障壁にゆっくり近付くと…」
「――ああ、わかりました、同質の魔法で包まれている私達と、そこの結界障壁がまるで泡のように融合するんですね?」
「そうだ。急いで通り抜けようとすると亀裂が生じてしまい、障壁が破壊される恐れはあるけど、ゆっくり通過すれば障壁は俺達を包んだまま、外障壁の穴を塞ぐような感じで通り抜けられるだろう。後は中へ入ってから俺達の障壁を解除すればいい。」
「なるほど…素晴らしい案ですね。ですがルーファスにかかると、どんな警備も防犯機構も役に立たないとウェンリーから聞いていた通り、あなたの行く手を阻むことと、あなたをどこかに閉じ込めることは叶わないのだとつくづく思いますね。」
「不穏なことを言わないでくれよ…サイードは俺をどこかに閉じ込めたいと思うことがあるのか?」
「ふふ、シルヴァン達の愚痴ですよ。なにせあなたは一つ所にじっとしていることが殆どなかったそうですから、過去に何度そう思ったかわからないと言っていたので。」
シルヴァンめ…サイードになにを吹き込んでくれているんだ。
思わず微苦笑した俺は、気を取り直して軽く咳払いをすると、雑談をここまでにして早速行動へ移った。
「――無事に通れましたね、大したものです。もしこれが私一人なら、時間をかけて破壊するしかなかったでしょう。」
「いや、一人ならって…そもそも俺がサイードだけをこんなところに来させるはずがないだろう。」
「…ええ、そうですね。」
隔離結界を無事に越えた俺達は、その足で真っ直ぐ入口へ向かうと、両開きの鋼鉄製大扉の鍵を『アンロック』の魔法で開けて建物の中へと侵入した。
すると一歩内部へ足を踏み入れた途端、俺の脳内地図がいきなり更新されて、外で表示されていたのとは全く異なる内部地図へ変化してしまった。
「突然探索フィールドの地図が変わりましたよ?」
「ああ。この建物…普通じゃないな、構造がまるで迷宮みたいになっている。」
入口を入ってすぐに広々としたエントランスがあり、そこから続く廊下は左右に聳える極太の堅柱によって狭められている。
そのことからもここが砦のようだと思ったのは、間違いじゃなかったみたいだ。
「差し詰め『災厄の迷宮』と言ったところでしょうか…放たれている敵対存在がいるかもしれませんね。黒髪の鬼神を表す点滅信号はまだ点灯していますか?」
「それは大丈夫だ。彼がいるのは地下みたいだけど、俺の地図だとそこへ通じる階段のある扉は悉く閉ざされている。」
「愈々以てダンジョンのようですね…鍵を見つけるか、仕掛けを解くかしないと辿り着けないかもしれません。」
「そうだな。今のところ敵を示す信号はないから、気をつけて先を急ごう。」
ダンジョンにありがちな、入った途端に敵が襲ってくる…なんていうことはなかったため、俺達は周囲の索敵を怠らずに気をつけて歩き出した。
ここが本当にカラミティの迷宮かどうかはともかくとして、以後この場所を『迷宮』と呼ぶが、眼前に延々と続く廊下に灯りはないのに、どういうわけか困るほどには暗くなかった。
「思うんだけど…こういう場所で、照明魔法や暗視スキルを使わなくても周囲になにがあるのか見えるのには、なにか理由があるのかな?普通はこれだけ暗ければ灯りなしじゃなにも見えないよな。」
「ええ、そうですね。これはあくまでも推測なのですが、私達生物は皆体内に魔力を有していますよね?それと同じく、特に目には見えなくても大気には魔力が含まれています。」
「うん。」
「その大気中に含まれている魔力を私達は無意識に感じ取り、五感として変換しているのではないかと思うのです。」
サイードの言うことをわかりやすく例えてみると、その仕組みは蝙蝠の探知器官や水面に石を投げ入れた時に出来る波紋に似ているという。
「つまり大気中の魔力を音波や波紋に見立てて、床や壁と言った障害物に反響させ跳ね返って来たものを視覚として捕らえていると言うことか。」
「そう言うことです。ですが広域視認だと壁に描かれた平面の文字や、額縁の絵などの細部まではさすがにわからないので、良く見えない部分があるからこそ『暗い』と感じるのでしょう。」
「なるほどな…と言うことは、大気中の魔力をもっと敏感に感じ取れれば、完全な暗闇でも灯りなしで見えるようになるんだな。」
「理論的にはそうでしょうが、その域に達するには深海生物や地底生物のように、相当長い時間を闇の中で暮らさないと無理だと思いますよ。それにそうなると逆に目が退化してしまうかもしれません。」
「…それは困るな。」
――そんな雑談をしながら、俺とサイードは廊下の左右にある無数の扉を一つ一つ開けて中を確認して行く。
するとどこも同じような長机と長椅子が置かれた、これと言って特徴のない部屋ばかりで、元々あった一室を複製して、ただズラッと廊下の左右に並べただけのような印象を受けた。
「やけに部屋数が多いと思ったら…どこも同じ部屋ばかりだ。」
「それでも確かめないわけには行きませんよ。どこに鍵があるかわかりませんからね。」
「なんだか気が遠くなって来たな…廊下は真っ直ぐなのに、いつまで経っても突き当たりが見えないし、もしかしたら魔法で同じ場所を繰り返し歩き続けているのかもしれない。」
「ふふ、でしたらその魔法を解除しないと、永遠に先には進めないですね。」
「…どうしてそこで楽しそうに笑うんだ?」
その後も三十分近く歩き続けたが、数えきれないほど同じ部屋を調べてもなにもなく、先へ進む手がかりはどうしても見つけられなかった。
「弱ったな…いつもは目的地を示す黄色の点滅信号が導いてくれるから、ここまで苦労はしないのに…」
「常識から見れば、それもどうかと思いますよ。一度エントランスに戻ってみましょうか。入口に見落とした仕掛けがあるのかもしれません。」
「ああ、そうするか…このままじゃ堂々巡りだものな。」
「戻るのも大変そうですけれどね。」
再度楽しそうに笑ったサイードを見て、俺は微苦笑する。そうして来た時と同じように、今度は踵を返してエントランスへ戻ることにしたのだが…
――この後俺達は、この迷宮の真の恐ろしさを知る羽目になった。
最初に異変に気付いたのは、歩いて来た廊下を逆に戻り始めて二分も歩かない内だった。
「……?」
それまでこの迷宮内で全く感じなかったのに、極僅かな空気の流れが俺の頬を掠めて行ったような気がしたのだ。
気のせいか…?今僅かに空気の流れを感じたような――
訝しんだ俺は一旦そこで足を止めると、索敵に全神経を集中する。…が、俺の地図にも敵対存在を示す赤い点滅信号は灯らず、なにかが動く気配も特には感じられなかった。
俺が足を止めたことに気づかずにいて少し先まで行っていたサイードは、俺が隣にいないことに気が付くと振り返って戻って来た。
「どうしたのです?」
暫くじっとして索敵に集中するも、特に俺達の周りにはこれと言った変化は見られない。
«…やっぱり気のせいか…»
「いや…なんでもない、俺の気のせいだったみたいだ。」
「…?そうですか?」
サイードにそう返事をして再度歩き出したその時だ。俺の方を振り返っていたサイードが、なにかに気づいてハッとなり、大きく目を見開いて手を伸ばした。
「ルーファス危ない!!」
「えっ」
――瞬間、サイードは俺の腕を掴んで強く引っ張ると、正面から素早く俺の背中側に回り込み、なにもない空間に向かって身を投げ出した。
「うわっ!!」
サイードに引っ張られた俺は、勢い余ってつんのめりそうになるも踏ん張り、態勢を崩しながら振り返る。直後――
ザンッ
俺の目の前で、サイードはいきなり見えないなにかの攻撃を受けた。
真紅の花びらが吹き飛ぶように鮮血が飛び散り、その衝撃で彼女は背中から俺に向かって倒れ込んで来る。
「サ…サイードッッ!!!」
そのサイードを咄嗟に右腕と身体を使って受け止めた俺は、直ぐさま左手でディフェンド・ウォールを発動した。
すると見えないなにかは、一瞬で現れた俺の防護障壁にぶつかったらしく、障壁越しにバチバチバチンッと無数の雷撃が光った直後、キイッ、と言う短い声のような音が聞こえて弾かれたようだった。
なんだ、敵はどこにいる!?姿が全く見えない…!!
痛みに顔を歪ませるサイードを支えながら、焦る俺は直ぐさま周囲を見回すも、敵の姿どころかなにかのいる気配さえ全く掴めなかった。
追撃はして来ないか、だったら先に――
「動くな、サイード!!」
「くっ…だ、大丈夫です、大したことは…」
「深き傷を癒せ、『エクストラヒール』!!!」
続く敵の攻撃が来る様子はなかったため、急いでサイードに最上位治癒魔法を施す。
幸いなことに傷は浅く大事には至らなかったが、彼女は剣のような鋭利な刃物で正面から斜めに攻撃を受けており、強化魔法で防御力を上げた軽装備ごと斬られて出血していた。
「一体なにが起きたんだ、敵の姿は全く見えなかった。もしかしてサイードには見えたのか?」
「いいえ、私にも見えませんでしたよ。ただあなたの背後から強い殺気を感じたので、咄嗟に腕を引っ張って前に出たのですが…結局なにも見えなくて攻撃を回避できませんでした。」
「そうか、ごめん…さっき僅かに空気の流れを感じたのに、気のせいだと思ったのが間違いだった。サイードに怪我をさせるなんて…油断した俺のせいだ。」
「なにを言っているのです、気にすることはありませんよ。治癒魔法をありがとう、痛みも引きましたから大丈夫です。」
「俺の方こそ…庇ってくれてありがとう、もう立てるか?」
「ええ、問題ありません。」
サイードは俺を庇ったせいで怪我をしたのにも関わらず、優しく微笑んで何事もなかったかのように立ち上がった。
それから俺達は少しの間その場から動かずに警戒し、ディフェンド・ウォールの中で見えない敵が動くのを待ってみた。…が、一向に襲ってくる様子がない。
「…どうなっているんだ?どうして襲って来ないんだろう。」
「――わかりませんが、私達がここへ侵入して既に三十分以上も経っています。それなのに先程まで襲われることは全くありませんでした。そのことから、相手は警備を担う役割を持つ存在であり、なにかしらの条件によって襲撃して来るのかもしれませんね。」
「襲ってくる条件か…だとすると――」
俺達の取った行動を振り返り、思い当たる節がないか考えてみると、これまで俺達は延々と続く廊下をひたすら一方方向へだけ歩いて来たが、いくら進んでも道が見つからないため、エントランスへ戻ってみようと進路を逆に変えた所だった。
それまで各所の鍵のかかっていない扉を開けて室内を調べたりして来たが、その時にはなにも起こらなかったことから、『来た道を戻る』という行動に反応したのではないかと推測した。
「今はこの場所から動かずに、じっとしているから襲って来ないのかもしれない。姿が見えなくて危険だけど、移動する方向を変えて敵が反応するか試してみよう。」
「そうですね…それならルーファス、防護障壁に反応が出た瞬間、効果消去魔法『ディスペル』を相手に使ってみてはどうかしら?もし隠形系の魔法で姿を消しているのなら、それで解除できるはずです。」
「わかった、やってみよう。」
俺達は先ず、最初に歩いていた方向へ踵を返して進んでみる。…が、暫く歩いても敵が襲ってくる気配はない。
そこで今度はまた、さっき襲われたのと同じく、エントランスを目指して逆方向へと進んでみた。すると――
――サイードが俺への強い殺気を感じたと言っていた通り、なんの気配もなかった俺達の背後から、明らかに強烈な殺気がぶわりと立った。
「来る!!」
一度解除したディフェンド・ウォールを再度発動し、クラウ・ソラスを引き抜いて構える。
俺の斜め後ろでサイードは聖杖カドゥケウスを両手で構え、背後からの襲撃に備えた。
ババッ…バチバチバチンッ
その反応音と共に防護障壁が雷撃を放つ。閃光が瞬き、ディフェンド・ウォールが俺達への攻撃を弾いている証拠だ。だが――
やっぱり姿は見えないか。それなら…
「身隠しの魔法を消去せよ、『ディスペル』!!」
サイードに提案された通りに、俺は確実にそこにいるはずの、見えない敵へ向かって魔法を放った。
ブウンッ
見えない存在の足下に白い魔法陣が輝き、縦方向へと光の柱が伸びて行く。つまりそこにはなにかがいることに間違いなかったのだが、ディスペルを使っても敵の姿は見えるようにならなかった。
「だめだ、ディスペルも効果がない…!隠形魔法で姿を消しているわけじゃないのか…!」
そうこうしている内に敵の攻撃が激しくなり、やがてその数も増えて来たのか、ディフェンド・ウォールがミシミシと崩壊音を立て始めた。
「ディフェンド・ウォールが壊される…!?敵は異界属性持ちか!!」
「ルーファス、エントランスへ走りましょう!!恐らく先へ進むにはそちらが正解です!!」
「!」
サイードの声に俺は崩壊寸前のディフェンド・ウォールを張ったまま、踵を返して走り出した。
「なにか気が付いたのか!?」
「ええ、このダンジョンを進むには、敵が襲ってくる進行方向へ歩を進めるのが正しいと推測します。姿が視認できない以上、戦うのは得策ではありません。」
「――ディスペルをかけても姿は見えないままだった。それに俺の防護障壁を破壊できるのは、異界属性持ちの敵だけだ。襲われる直前までどこにいるのかもわからないんじゃ、戦闘を避けるしかないのか…!」
視認できない上に自己管理システムも反応しない。いつもなら攻撃を受けた時点で解析してくれて、敵対存在の赤い点滅信号がすぐに表示されるのに…魔法や魔技を無効化する敵なのか?
敵に背を向けて走る俺達を追って来ているのか、再度掛け直したディフェンド・ウォールが激しく反応して周囲に雷撃を迸らせる。
やがては左右からもその反応が起こり始め、どうやら俺達は相当な数の敵に追われているようだった。
それでもどうにかエントランスの両柱に辿り着くと、そこを通過した瞬間にボウワンッ、という鈍くくぐもった音がして身体が浮き上がり、目の前に入口の大扉が見えていたのに、いきなり周囲の景色が切り替わった。
「「!?」」
「なんだ…エントランスに入った途端、転送された…!?」
「ルーファス!!」
ブオンッ
周囲を確かめる間もなくサイードの呼び声で顔を上げると、その大きさだけで軽く二メートルはありそうな、巨大ななにかの影が頭上から降って来る。
「うわあっ!!!」
ドゴオオオオンッ
「な、な…」
近距離で発生した轟音に、キィーンと耳鳴りがする。叩き潰される寸前でどうにか躱すことはできたものの、すぐ脇で砕けた石床に深くめり込んだそれを見てゾッとした。
«――巨大な、棍棒…!?»
打頭部だけで優にエヴァンニュの軍用車両ぐらいはある、無数の鉄針が生えた棍棒。
至極当たり前のことだが、これが俺達の頭上から降って来たと言うことは、これを武器にして振り下ろした〝なにか〟がいると言うことだ。
冗談じゃない、直撃していたらいくら俺でもぺしゃんこじゃないか…!!
一体、なにがこれを?…と思う暇さえなく、続いてサイードの緊迫した声が響く。
「フォ、フォースフィールド・ガードプラス!!――立ちなさい、ルーファス!!早くッ!!!」
「!!」
俺と反対の方向へ逃げたため、少し離れた位置で先に態勢を立て直したサイードは、聖杖カドゥケウスを手に全能力強化魔法を発動する。
その声に俺は身を飜して立ち上がると、とにかく二人で固まらないように駆け出した。
ズズズ…
床を穿った巨大な棍棒が、なにかの力でずるずると引き摺られて行く。その形を辿るように走りながら視線を動かすと、くびれた持ち手を握る、これもまた超巨大な手が見えた。次の瞬間――
ブウオオオオオオッ
「ぐうっ…!!」
――壁に反響し、ビリビリと空震を引き起こした雄叫びに、思わず左手で片方の耳だけを塞いで身を捩る。
続いて、ズシィン、ズシィン、とその足音が聞こえて来て、固い地面が震動を伝えて来た。
サイードから大分離れた位置で、その足音の主を遥か頭上へ見上げると、そのあまりにも形容し難い姿に呆気に取られた。
濃い青灰色の肌をした、小山ほどもある巨体。以前カイロス遺跡で魔物化した巨人、『サイクロプス』と対峙したことはあったが、これは優にそれの倍の大きさはある。
頭には長さの違う三本の角が生えており、青い電撃のような光を帯びていた。
「これは…サイクロプス、なのか…?」
丸顔で顔の上部に一つだけある大きな目と、人のそれに似た鼻と牙のある口。全身は筋骨隆々で、もしもその手に囚われたなら易々と握り潰されそうだ。
それによくよく見てみると、首に鎖の付いた小瓶をぶら下げており、その中に赤く光るルビーのような楕円形の宝石が入っている。
――いくらなんでも大き過ぎる…しかもあの宝石、もしかしてここを出るために必須とか言わないよな…?
『ルーファス…この目で見ても信じられませんが、これは巨人族の亜種、ススブス・キュクロプスです…!』
『知っているのか!?』
距離があるからか、サイードは思念伝達を使って巨人の正体を告げて来た。
『インフィニティアの限られた地域の門を守る、番人だとされる巨人です。』
『異世界の巨人か…!!』
『あれの攻撃を受けたら一溜まりもないのは当然ですが、その上にススブス・キュクロプスは魔法を使って来ます、気をつけて下さい…!』
『いや、気をつけろって…その前にこんなの、どうやって倒せばいいんだ…!!』
ズシィン、ズシィン、とその巨体を揺らしながら、キュクロプスは俺に向かって歩いて来る。
身体強化魔法で能力値を上げていても、あっという間に追いつかれてしまいそうだ。
『こっちに来る…!!どこか隠れられる場所はないのか!?対策を考える暇もないじゃないか…!!』
とにかく踵を返して背中を向け、相手が近付いて来る前にどこか身を隠せそうな場所がないか探した。
走りながら周囲を見回すと、どうやらここは巨人に侵入者を撃退させるための場所のようで、まるで俺達が小人にでもなったかのような、無駄にだだっ広い闘技場に似た空間だった。
――インフィニティアの巨人族じゃ、俺のディフェンド・ウォールでも一撃で破壊される…俺は不老不死だから、多分掴まって潰されても死にはしないだろうけど、死ななくても無事には済まないよな…!?
『ルーファス、弱点は目です!!巨人族に共通する急所の、〝一つ目〟を潰して下さい!!』
『駄目だ、そんなことをしたら暴れて手がつけられなくなるぞ!!』
『ススブスには例外です!!武器である棍棒を振り回されても、標的である私達は小さく、そう簡単には当たりません!!寧ろ視認によって必中となる、単体魔法の方が脅威なのです…!!』
必中の…単体魔法!?あの巨体で、そんなのちょっと卑怯じゃないか!?
『わ、わかった、なにか策を考えてみる…!!』
――とは言ったものの、どうやって目を狙う…!?
小山の麓から頂上を狙って魔法を放っても、届くはずがない。それと同じようにクラウ・ソラスで狙うにしても魔法で射貫くにしても、巨人の身体を登るかなにかして、顔に近付かなければどうしようもなかった。
ルクサールでアテナに足場を作って貰った時のように、ソル・スキャッフォルドで空中を駆け上がるか…?――いや、それもさすがに無理だろう…!!
『あなたに注意が向いている間に、頭部へ近づけないか私も試してみます!!』
え…
『だ…駄目だ、止せっサイード!!あなたは俺と違って不死じゃないんだ!!』
唐突にそんなことを言い出したサイードに、俺は血の気が引いて慌てた。俺とサイードの距離は間に巨人を挟んでいることもあり、かなり遠く離れている。
この距離からじゃ俺のディフェンド・ウォールは届かないし、もし届いたとしても、異界属性を持つ相手にどれだけ耐えられるかさえわからないのだ。
対策を考えあぐねている場合じゃない…!!俺が動かないとサイードが無茶をしかねないぞ――!!
そう思った俺は、意を決してススブス・キュクロプスから逃げるのをやめ、くるりと方向転換をして、これまでとは逆に巨人へ向かって走り出した。
だがその時既にサイードは動き出しており、風魔法を使って少しだけ浮き上がった後、更に続けて高位風魔法を下方へ放つことで、巨人の胸ぐらいの高さまで一気に上昇していた。
サイード…!!風魔法であんな高さまで…そうか、ああすれば一気に高く飛び上がれたのか…!
鮮やかなサイードの機転に感心し、ほんの一瞬だけ俺の気が緩んだ瞬間だった。
――それまでずっと俺に狙いを定めていた巨人が、巨体に似合わぬ素早さで突然向きを変えた。
「「!?」」
ハッとしたサイードと巨人の一つ目が合ったその時、俺の目にサイードが驚愕して身構える態勢を取った姿が飛び込んでくる。
――が、次の瞬間、巨人の角に青い光が輝いて、サイードの身体を呪文字で形作られた球体が包み込んだ。
『いけない、ルーファ――』
バシュンッ
――俺に思念伝達で、なにかを言おうとしたサイードの声はそこで途切れ、サイードを包んだ球体が中心に向かって集束したかと思うと…
『……サ、イー…ド……?』
…その場でサイードの姿は、消滅してしまったのだった。
『サイードォォ―――ッッッ!!!!!』
* * *
――見渡す限りの紫色に煙る瓦礫の山が広がっている。
鼻と口に宛がった覆布をしっかりたくし上げ、崩れて転がる元は家屋だった石壁の欠片を乗り越えて、歩くのも困難な地面の抉れた坂をハアハア言いながら、俺はやっとの思いで上って行く。
幼い頃、毎日あいつと一緒に下っては駆け上がった坂道…この辺りまで来れば、俺達の家だった『ソル・エルピス聖孤児院教会』と、敷地の丘に一本だけ生えていた大きな『精霊木』が見えたはずだった。
現在この地には、人どころか雑草の一本さえ生えることが出来ねえほど、濃い瘴気が充満している。
おかげで魔法で身を守っていても、なかなか呼吸が苦しくなってくるほどだ。
今でこそ浄化魔法なしじゃあまともに息も出来ねえぐらい酷え廃墟だけど、俺が十三の年まで住んでいたこの場所には、かつてラカルティナン細工の職人街として有名だった、『ヘズル』って名前の街があったんだ。だが…
精霊と伝承と神々への信仰を尊ぶ、古代期から続いてた大国『ラ・カーナ』…俺の生まれ故郷は、どれほどその歴史が長くてもたった一日で滅んじまった。
俺は生まれた直後に捨てられて、親の顔を知らない子供だったから、俺の名前…『シン』ってのは、拾ってくれた人が名付けてくれたものらしい。
当然家名なんてもんはねえし、俺はただの『シン』だけど、恐れ多いことにそれは、月の輝く夜に拾われたから月神様に因んで頂いたんだそうだ。
ああまあ、由来なんざ本当はどうでもいいんだけどよ…実はつい最近、俺の名前にはもう一つ別の意味があることを知っちまったんだ。
遥か昔、まだラ・カーナ王国が出来る前、ここから北東のゲラルド王国辺りにあった地方では、『シン』とは『罪』を言い表す言葉だったらしい。
それを知った瞬間、なんてこった、と思って笑わずにいられなかった。
――だってそうだろ…俺は名前からして、罪を犯す人間だったってことなんだから。
こんな俺の手にかかって死んだジャンは、きっと浮かばれねえことだろう。もうライに会わせる顔もねえし、いっそのことこのままここで野垂れ死んじまおうかな、なんて思う。
生きてたって良いことなんか一つもねえ…俺はただ、ライを助けたかっただけなのに…
「これからどうすっかなあ…」
――亡国ラ・カーナのヘズルという街があった廃墟で、シンは一人ポツリと呟きながら、かつて自分の家があったその場所に大の字になって寝転んだ。
銀色の光を宿す魔眼を静かに閉じると、孤児院で一緒に育った兄弟達の笑顔が浮かんでくる。
その中には、漆黒の猫っ毛に左右色違いの瞳を輝かせた、幼い頃のライの姿もあった。
彼は自分に瘴気を浄化する魔法を施し、人が近付くことも出来ない、全てが薄紫色に染まった孤独な世界で涙を流す。
ここには瘴気に耐性のある高ランクの魔物と、浄化魔法を使える自分ぐらいしか来られないため、人目を気にせず好きなだけ泣くことが出来るのだ。
…と、そう思っていたのに、数分後シンは予想外の出来事に見舞われた。
「…?」
どこからか強い風が吹いてきて、ラ・カーナ王国が滅んで以降、万年瘴気で澱んでいるヘズル(の廃墟)が、空からの日の光でサアーッと明るくなって行く。
「なんだ…?瘴気が薄くなって――」
周囲の異変に上体を起こしたシンは、空を見上げる。すると上から降って来るようなその鳴き声が聞こえてきた。
「クウゥゥオオーン…ッ」
泣いていた目を擦り擦り確かめると、遥か上空を旋回する巨大な白竜を見つけてあんぐりと口を開けた。
「……はあ!?…おいおい、嘘だろ…あんだけあちこち探し回ったのに、なんでこんなとこにいるんだよ…!!」
聞き慣れた竜の声と風に流れて若干薄まった瘴気の中、徐々に高度を下げて近付いて来る、青白く光る巨体を見てシンは立ち上がった。
「クレスケンスーッッ!!!おま、こんなとこでなにしてやがるーッッ!!!!」
地上からそう叫んだシンの声は、降下体勢に入っていたクレスケンスの耳にもはっきり届いた。
『まあ…なにしてやがる、とは心外ですね。彼を振り落とした際に、あなたとはもう一緒にいられませんと、きちんと別れを告げたはずなのに。』
「ふうん、そうなんだ。シンって人族なのに、竜の言葉がわかるんだね。名前もちゃんと正しく呼んでるし。」
『いいえ、あなたのように私の言葉を正確に理解しているわけではないようですよ。ただ私の方は人語を理解出来るので、名前だけは色々な手段を使って正しく呼べるようになるまで暴れただけです。』
「ええ…暴れちゃったの?」
『当然です。あなたと共に母から付けられた本当の名前以外で呼ばれるなど、耐えられませんからね。さあ、そろそろ降りますよ。瘴気が濃いので私から離れないで下さいね。』
「うん、わかった。」
クレスケンスは浄化魔法を身に纏い、大きく翼を羽ばたかせながらシンのいる地上へと降り立った。
神竜には周囲の環境を自分好みに整える力があるため、瘴気によって紫色に見えたヘズルの廃墟は、一時的にその辺りだけ浄化された空気で澄み渡った。
「クレスケンス!!」
クレスケンスが地上へ降りたことで、シンは嬉しそうに駆け寄って来る。
「随分探したんだぞ、戻って来てくれたんだな…!!」
『はい?なにを言っているんです、違いますよ!!』
数年に渡り行動を共にしていたことから、シンはクレスケンスを自分の竜のように思っており、これまでと同じように彼女を撫でようとして手を伸ばした。
だが次の瞬間、シンの言葉に腹を立てたクレスケンスは、伸ばされた手を避けて牙を剥き、彼を威嚇する。
シャアアッ、と蛇に似た威嚇音を出され、鼻筋に深々と連なる皺を寄せられたことで、驚いたシンは飛び退いた。
「クレスケンス…?」
「ちょっとクレスケンス、そんなに怒らなくたって良いじゃん!!可哀想だよっ」
クリスはそう言ってすっくと立ち上がると、クレスケンスの背中からシンを見下ろした。
「わあ、真っ白で綺麗な髪だ…あなたがシンだよね?ボクはクリス。クレスケンスがお世話になったみたいで、ありがとう!」
「な…なんだ、おまえ…!どうやってクレスケンスの背中に乗ったんだ?こいつは気難しくて、俺達だって仲良くなるのに何ヶ月もかかったってのに…!!」
「へえ、そうなの?」
クリスはクレスケンスに問いかける。
『まあそうですね。竜を愛玩動物のように手懐けようとしたので、最初は全く相手にしませんでしたから。近くに来ただけで翼で突風を起こし追い払っていましたよ。』
「あはは、風で吹き飛ばしたんだ?それなのに良く許したね。」
『あなたが見つからなくて退屈だったので、長い竜生の中、時々気まぐれに人族を相手にすることがあっただけですよ。シン達が初めてだというわけでもありません。』
シンの前でクリスと会話するクレスケンスは、クアッ、クオッ、クエエエ、と声を出して訴える。
«…なんだあの女…ひょっとしてクレスケンスと会話してる…?竜の言葉がわかんのか…!?»
驚いて呆気に取られるシンの前に飛び降りて、クリスは大きく伸びをした。その整った顔立ちと綺麗な群青色の髪に青い瞳を見て、シンはドキッと胸を打たれる。
«逆光でわからなかったけど、すす、すっげえ美人…!!そ、それに…なんつーけしからん妖艶な身体してんだ…!?む、胸が…でで、でけえっ!!!»
サイズの合っていない冒険者のような軽装は、胸元がはちきれんばかりにボインと膨らんでおり、シンはその谷間に目が釘付けとなった。
細くきゅっと締まった掴みやすそうなくびれに、スラッと伸びたしなやかな手足と腰布の巻かれた臀部は、下心丸出しの好色な男なら、こっそり手を伸ばしてしまいそうになるほどぷりんっとしている。
「んー!!ねえねえそれで、こんなところでなにしてたの?」
「へっ!?」
クリスの胸をガン見していたシンは、話しかけられて素っ頓狂な声を出す。
「この辺りって、どこまで行っても紫の靄で地上が全く見えなかったんだ~近くに人が住んでる様子はなかったし、君に会えたのって奇跡だよね。」
「奇跡…?おまえ…じゃなくってあんた、どこの国の人間だよ?」
«まさかこいつ、ここがラ・カーナ王国だってことも知らねえのか…?»
「ボク?どこの国でもないよ。」
「はあ?」
首を傾げて怪訝な顔をしたシンに、クリスはクレスケンスの顔へ近付いてこっそり耳打ちをする。
「ねえ、ボクが竜人族だって言っても大丈夫かな?」
『問題ないでしょう。シンがあなたになにかするようであれば、私が彼を食い殺します。』
瞬間クレスケンスは、その龍眼を鋭く細く縦にして、わざわざシンをギロリと睨んだ。
「それは駄目だって、もう…」
苦笑いを浮かべて、クリスはシンに向き直る。
「うーんと、言い難いけど…ボク、人族じゃないんだよね。」
「え…人じゃねえって、それじゃあんた、なんなんだよ?」
«竜と言葉を交わせるし、そこらじゃお目にかかれないほどの美人だし…まさか魔物が人に化けてるとか…!?»
「ボクは竜種の聖域にあったパリヴァカの生き残りで、竜人族なんだ。」
「ド、ドラグーン…??…て、なんだ??」
「うわあ、現代人には知られてもいないんだ…竜人族は神竜と魂を同じくする者。同じ命を半分に分け合って生まれてくる、千年前に滅んだ種族だよ。」
クリスは竜人族の証である、生まれつき身体にある『半身竜と同じ鱗』を見せて人族でないことをシンに信じさせた。
「竜人族は母親から生まれてくる時に、半身の竜の卵を抱えて産まれるんだ。クレスケンスはそのボクの半身竜で、理由あってとても長い間離ればなれになってた。つい最近、やっと再会出来たんだよ。」
「――半身の、竜…つまりクレスケンスは元々、あんたの竜だったのか…?」
「ボクの、と言うよりも、ボクらは本来離れては生きて行けない種族なんだよ。だから元通りの在り方に戻っただけと言う方が正しいかな。」
「………。」
クリスの話を聞いたシンは、クレスケンスがもう自分の元へは戻らないことを知り、俯いて黙り込んでしまった。
「…どうしよう、黙り込んじゃったよ。」
戸惑うクリスは再びクレスケンスにこっそり話しかける。
『どうしようもなにもありません。さっさと本題に入ってはどうですか?エヴァンニュ王国へ戻りたいんでしょう。私もあなたをフェリューテラへ戻してくれた御方に会って、お礼を言わなければなりません。』
「そうだけど…」
«…もしかしてシンは、クレスケンスを自分の竜だと思ってたのかな…?ボクが愛竜を奪うと思ってる…?»
「あ、あの…シン?ごめんね、クレスケンスはあげられないんだ。ボク達は二人揃って一人前で、離れると本来の能力を発揮できない。それにボク達はどちらかが命を落とすと、どちらも死んでしまうんだ。」
「えっ…そうなのか!?そうか、同じ命を分け合うってそう言う意味なのかよ…」
「う、うん、そう…だからお互いにお互いを守りながら生きて行く、それが竜人族本来の姿なんだよ。」
「そっか…それじゃあ俺は、これまでみたくクレスケンスと一緒にはいられないよな…」
「ご、ごめんね…」
「や、俺の方こそ悪かったな…てっきりクレスケンスは仲間だと思ってたから、いきなり振り落とされてそれっきりになるとは予想もしてなかったんだよ。半身を見つけたんじゃ仕方なかったんだな、良くわかったぜ。」
クワアアッ、とクレスケンスはシンに向かって鳴き声を発する。クリスは微苦笑して愛竜を見ただけで、なんと言ったのかはシンに告げなかった。
「そ、それでね、シン…ボク、友達のお兄さん達と離れちゃって、困ってるんだ。クレスケンスは方向音痴で、ボクは現代のフェリューテラはよくわからないし、どうやって逸れた場所に帰ったらいいのかわからないんだ。」
「クレスケンスが方向音痴?あっ、だからおまえに任せるといっつも変なとこばっか飛んでたんだな!?散歩してえのかと思ってたのに!!」
『煩いですよ、大きなお世話です!!』
「今のはわかるぞ、煩いって言ったなこいつ…まあいいや、それで?どこで逸れたんだ?戻る方法が知りたいんだろ?」
「教えてくれる!?あのね、エヴァンニュ王国!!」
パッと顔を明るくしたクリスが、『エヴァンニュ王国』と口にした瞬間、シンはビクッと身体を揺らした。
「王都が魔物に襲われた日にクレスケンスと再会して、友達にはなにも言わずにここまで飛んで来ちゃったんだ。」
「……エヴァンニュか…そうか、クレスケンスに俺が振り落とされたのも、あの国の王都だったもんな。」
「そうなの?じゃあ、シンはエヴァンニュ王国がどこにあるのか知ってるよね?良かったらクレスケンスに一緒に乗って、案内してくれない!?」
「………」
シンは再び俯いて黙り込んだ。
「…シン?」
そうして長く深い溜息を吐くと、右手の握り拳を眉間に当ててクリスから目を背ける。
「――悪い…俺、エヴァンニュには行けねえ。」
「え…どうして?」
不思議そうに問い返したクリスに、シンはごくり、と息を呑む。
「……子供を、誤ってこの手で…殺しちまったんだ……」
辛そうに顔を歪め、シンはクリスにそう告げるのだった。
話の飛び具合に混乱されるかも知れませんが、話の都合上です。できるだけ早くアップしたい所ですが、重要な場面に入っているので、時間がかかって申し訳ありません。次回、仕上がり次第アップします。ところで、関東の梅雨入りはどうなったのでしょう?(笑)




