201 レインフォルス
ファーガス診療所を退院したルーファスは、自分の身体とゲデヒトニスについて太陽の希望のメンバーと話をします。未だ神魂の宝珠の封印を解いたのは三つで残りは半分以上あるのに、自分の身体に起きる異変にルーファスは、次に封印を解くことへの不安を抱えていました。そんな相談をしていると、サイードから思わぬ提案を受けます。それはルーファスの中にいる黒髪の人物、レインフォルスと話をしてみては、と言うものでした。そしてルーファスはその提案を受け入れることにしましたが…?
【 第二百一話 レインフォルス 】
――『無の神魂の宝珠』の封印を解いてから約一ヶ月ぶりに目を覚まし、ファーガス医師の診断で身体のどこにも異常がないことを確かめた俺は、お世話になった医師達に良くお礼を言って早々に診療所を退院した。
たとえ普通の人間じゃないにしても俺自身の予想としては、封印を解く度に倒れるのは魔力が関係しているのだろうと思っていたので、その原因がわからなかったのは正直言って少し不安だった。
俺が封印を解いた神魂の宝珠はこれで三つ…まだ半分以上が残っているのに、次は自分がどうなるか予想が付かなかったからだ。
ただそれでも幸いだったのは、俺の中から出現した『ゲデヒトニス』という存在が、良い相談相手となってくれたことだった。
ゲデヒトニスについて俺の分身体のようなものだと説明したのだが、彼は同じように俺の中にいる(いた)レインフォルスやアテナと異なり、正にまるで自分がもう一人いるような強い感覚があった。
俺はここにいて自分の意識もここにあるのに、どこか違う部分で別の方向から俺が俺を見ている。
同じ思考を持ちながら、同時に全く別のことも考えられ、右手と左手が自分の意思で別々に動かせるように、ゲデヒトニスは特に意識せずとも俺の意に沿うように行動してくれている。――そんな感じだ。
見たもの、聞いたもの、触れた物、感じたこと…その記憶の全てが共有され、俺は病室で眠っていたはずなのに、その間も隣でウェンリーが無事に目を覚ましたことや、ログニックさんが処刑されたことを知り悲しみに胸を痛めたことも…しっかり頭に刻まれていた。
つまり感覚的にゲデヒトニスは、ほぼ俺自身と言ってもおかしくないほどだったのだ。
それだけに懐かしい願い屋の夢を見て目を覚ました直後には、なにもしなくても寝ていた間に起きた出来事を一瞬で知ることができた。
そして俺自身が知らないこと、失われている記憶や過去に関してのことなどは、やっぱりゲデヒトニスにもわからないようだ。
マロンプレイスの宿へ帰り、診療所へ来られなかったサイードとプロートン達を交えて、俺はそんな風にゲデヒトニスのことを改めてみんなに説明したのだった。
「ゲデヒトニスが出現した理由だけど…神魂の宝珠から自分の力が戻る際に、この身体へ異常な負荷がかかったことが原因だと思う。受け入れきれなかった膨大な力が無理やり器に収まろうとしたせいで、内部から肉体がバラバラに引き千切られそうな酷い苦痛があったんだ。その肉体的な危機を本能で察して、俺は無意識に収まりきれない自分の力を体外へ逃がす措置を取ったんだろう。」
「それがゲデヒトニス、ですか。」
「ああ。」
今俺達は宿に借りている六人部屋のリビングで各々好きな場所に腰を下ろし、俺の身体について今後のことを含めた話し合いをしている。
六人掛けのテーブルには俺とウェンリーにイスマイル、そしてサイードとシルヴァン、リヴが着いており、ゲデヒトニスはプロートン、デウテロンと一緒に予備の椅子に、マイペースなテルツォは一番近い寝台で寝転がっている、という感じだ。
俺がしたゲデヒトニスの説明に、サイードはなにか思案するような難しい表情をして、唇に右手を当て視線を落とした。
ふう、と短く息を吐いて腕を組み、椅子の背もたれに重心をかけたシルヴァンは、また、首をコキリと鳴らす。
「――確かにルーファスはここにいるプロートン達三人のように、余りある膨大な魔力で実体を与えたりすることができるのだ、ゲデヒトニスもその例に当てはめて考えれば不思議はないが…」
「分身体として体外に具現化した理由が大きな問題でするな。」
続いてリヴが険しい顔をする。俺からゲデヒトニスが現れたと言う事実に関しては、みんな既に受け入れてくれている様子だが、それとは別に俺の身体を心配してくれているのだ。
「あのさ、改めて確認するけど、属性で七つの神魂の宝珠に分けて封印したのは、元々全部千年前のルーファス自身が持ってた力なんだよな?それが元に戻るだけなのに、なんでそんなことになるんだ?」
「ウェンリーの疑問は尤もだけど、俺もそれがわからないから困っているんだよ。」
「…わたくしが思いますに、今の時点で考えられる可能性としましては、千年の間宝珠に封印されていた力が、長期間ルー様から離れていたために変質してしまったか…若しくは、ルー様のお身体の方になんらかの変化があられたか、ですわね。」
「うん、俺もイスマイルと同じことを考えた。基本的に神魂の宝珠は厳重に保管されていて、外部の影響は受けないようになっている。そのことから変質したと言うのはかなり考え難いだろう。」
「――となると、ルーファスの身体の方に問題がある可能性が高いと言うことか。」
「断定するのは早いけど、俺はそう考えて原因を探ろうと思い、魔力に関する異常に詳しいファーガス医師を頼ろうと思ったんだ。そもそも俺がヴァハにいた十年間は、サイードに魔力回路を治して貰うまで一切魔法が使えなかったということもある。これだけ膨大な魔力を持っているのに使われなかったせいか、時々異常な現象も起きて、突然見知らぬ場所へ飛ばされる、なんてことが何十回とあったからな。」
「あーそれって、ルーファスがいきなり消えちまう奴?今思うと、あれって転移魔法だよな…ルーファスは使えねえのにさ。――そう言えば自己管理システムが起動してからは起こらなくなったんじゃねえ?」
「ああ、多分もう起きることはないだろうな。とにかくそんな風に異変が起きていたことから、少なくとも魔力が深く関係しているに違いないと思うんだけど、原因は良くわからないんだ。」
「「「………」」」
みんなそれぞれ考え込むような顔をして、黙り込んでしまう。
「一つ、いいですか?」
なにか思いついたのか、暫く考え込んでいたサイードが、顔を上げ真剣な表情をして問いかけてくる。続けて彼女の口から出た意外な言葉に、俺は驚いた。
「あなたの中にいるという『レインフォルス』と、少し話をしてみてはどうかしら。その彼がなぜあなたの中にいるのかはわからないのでしょう?ゲデヒトニスや異霊体、話しに聞いた神霊体とも違うようですし、もしかしたらなにかしらの事情を知っているかもしれません。」
「レインフォルスに…?いや、でも…」
――確かに俺はレインフォルスがいつからなぜ俺の中にいるのか、俺と彼の関係も彼が何者なのかさえ知らない。
わかっているのは年が上で髪と瞳の色が異なり、外見はとても良く似ていて俺の危機に現れ、俺を守るかのように行動していることと、俺と違って身を守るためなら人を手にかけることにも躊躇いがないということだ。
過去のフェリューテラにケルベロスによって召喚された時、俺に『ケルベロスの剣』という短剣を突き立てた信者らしき相手とその仲間を、『邪眼』という未知の力を使って全員皆殺しにしたという一面を持っている。
だが何度か途切れ途切れに声を聞いた限りでは、彼はいつも俺の身を案じてくれている節が見えた。
それだけに俺は、いつの頃からか決して悪い人ではないのだと思うようになり、今ではレインフォルスのことを完全に信用している。
そんな彼に対して感謝はしていても、意思の疎通が出来ないことから、あえて本人と話をする方法を探してまで事情を尋ねようと思ったことはなかった。
それは彼が俺の中にいることで、歪な安心感を抱いていた所為もある。
「なに言い出すんだよ、サイード。前にも話したけど、レインフォルスはルーファスに危険が及んだ時とかにしか表に出て来ねえんだぞ。それにルーファスは中にいるレインフォルスと直接話は出来ねえって――」
「わかっていますよ、ウェンリー。ですが危機的状況でなくとも、催眠魔法を使用してルーファスを深層意識下に深く眠らせれば、レインフォルスが表面に現れる可能性は高いと思うのです。条件はあれど、ルーファスの意識がない時にその身体を使って動いているのですから。」
「だからって…!」
「――待って、ウェンリー。」
「…イスマイルさん?」
「今さらですけれどイシーかマイルと呼んで頂いて構いませんわ、わたくしはサイード様の意見に賛成ですの。――少なくとも千年前のルー様に、レインフォルスさんという『同居人』はおりませんでしたわ。そのことからわたくしは、ルー様のお身体の異変にその方の存在が全く関係ないとは思えませんのよ。」
「イスマイル…」
イスマイルがはっきりとそう言った瞬間に、シルヴァンとリヴが頷いた。
「イスマイルがそう言うのであらば我も異存はない。主の安全が考慮され、間違ってもあのレインフォルスに、身体を乗っ取られる危険がないと言い切れるのであらば賛成しよう。」
「予もシルと同意見である。話を聞いて、その当人には一度会ってみたかったことでするしな。」
「リヴまで賛成すんのかよ。」
「――僕も良い考えだと思うな。…ね、ルーファス?」
唐突に椅子から立ち上がり、側に来たゲデヒトニスが俺に微笑む。
「ゲデヒトニス。」
「本当は気になってるもんね、レインフォルスのこと。」
「………」
再度言うまでもないが、ゲデヒトニスは俺の分身のような存在だ。どんなに俺が一抹の不安から否定しようとしても、本心ではレインフォルスとの対話を望んでおり、叶うなら直接会ってその存在を確かめてみたい、若しくは確かめた方が良いと心の底で思っていることを隠せるわけはなかった。
「それにルーファスが深層意識下に眠っていても、僕がいるから話は出来るよ。ルーファスがなにを聞きたいのか、なにを考えて彼になにを言いたいのかは良くわかっているからね。」
「…あ、そっか…そう言うことか、ゲデとルーファスの記憶は共有されてんだから、ルーファスは自分のことのように体験できるんだっけ。」
「ちょっとウェンリー、僕の名前縮めすぎじゃない?」
ゲデヒトニスがぷうっと頬を膨らませて突っ込んだ。これは俺の意思とは関係がない、ゲデヒトニス本人の反応だ。
「おまえの名前呼びにくいんだっての。マイルだってルーファスの名前縮めてんじゃん。」
ウェンリーの思わぬ飛び火に今度はイスマイルの目がギラッと光り、指先で眼鏡をくいっと上げると、刹那的に反応して反論した。
「わたくしのは幼い頃の名残です!!それにルー様にはそうお呼びして良いとの許可をきちんと頂いておりますわ!!」
「やーいウェンリー、イシーのこと怒らせた~。」
「うるせえ、テルツォ!ンな時だけ横から口挟むんじゃねえっ!!」
「…いきなり賑やかになったな。」
立て続けの口戦に思わず微苦笑する。
「ふざけている場合じゃないのよ、テルツォ。」
「プロ姉…は~い。」
「ぷっ…プロートンまでテルツォに名前縮められてやがんの。プロ姉って…くくくっ」
「(怒)」
バシンッ
「いだっ!!」
人の感情に敏感なテルツォは、俺の少し不安になった気持ちを察したのか、それを吹き飛ばすようにウェンリーへ突っ込み、透かさずプロートンが窘めるとデウテロンが余計なことを言う。
そして最後はそのデウテロンが、後頭部をプロートンに引っ叩かれてゴールだ。
室内の雰囲気が変わり、俺も心を決めてサイードの提案を受け入れる気持ちになれた。
「――うん、そうだな…わかった、サイードの提案に乗るよ。この状態で対面できないのは仕方のないことだけど、ゲデヒトニスがいるのなら確かに直接会うのと変わりないだろうしな。」
「そうそう。後…ルーファスも『ゲデ』って呼んでいいよ。」
「え?」
「まあ、ゲデちゃん!」
「いきなり〝ちゃん〟付けしよるか、イスマイル…」
「ゲデはルーファスと記憶を共有しておるのだぞ、ちゃん付けはさすがに――」
「はあ…もういいよ、みんな好きな『ゲデ』呼びで。愛称で呼ばれるのはそんなに悪くない気分だし。」
真面目に話を戻そうとしたら、ゲデヒトニスのそんな一言で場が和み、みんな笑い声を上げた。
その時、初めて気がついた。少し意味は違えど、レインフォルスの存在に一抹の不安を感じているのは、俺だけじゃないのだ。
――初めてレインフォルスが表面化した時に、ウェンリーとシルヴァンが酷く不安そうな顔をしたことがあったように、リヴとイスマイルも俺の魂と絆で結ばれている分、同じように感じていてもおかしくない。
それになにより原因がわからないまま、神魂の宝珠の封印を解く度にこれでは、この先俺がどうなるのかと口には出さないだけでかなり心配しているはずだった。
「――大丈夫ですか?ルーファス。」
「ああ、大丈夫だ。…それでサイード、催眠魔法というのは?」
「もちろん、提案した私が行います。あなたの魔法抵抗値は非常に高いですが、私を信頼してくれるのなら上手く行くでしょう。決してあなたを危険に晒すようなことはしません。」
「うん、その辺りは初めから信用しているよ。」
「嬉しい言葉ですね…ありがとう、ルーファス。念のため外部からの邪魔が入ったりしないように、この部屋自体に結界を張って行います。すぐにも可能ですが…どうしますか?」
これはある意味良い機会だ。俺が直接彼と言葉を交わせない以上、誰かの手を借りるなりしなければ、落ち着いて話をすることなどできないだろうからな。
だけど…レインフォルスは出て来てくれるだろうか。
「それじゃあ…頼もうかな。」
「…わかりました、では少し場所を整えましょうか。」
俺が大きく頷くと、サイードは俺を安心させるように優しく微笑んだ。
一旦リビングのテーブルを立てて端に寄せ、壁際近くに俺が一人椅子に座り、その正面にサイードが着き、他のメンバーは全員、俺の様子がよく見えるようにサイードの後ろ側へと椅子を運んで回る。
「我らはここにいても大丈夫なのか?」
「ええ、大丈夫ですよ。必ずしもレインフォルスが出て来てくれるとは限りませんが、彼が表に出たとはっきりするまで出来るだけ静かにしていて下さい。」
「だそうぞ、ウェンリー。」
「俺かよ!」
――こうして俺はこの日サイードの力を借りて、初めてこちらの意思でレインフォルスと入れ替わることを試みてみることにした。
「では始めましょうか。ルーファスが意識を失う瞬間、倒れそうになるかもしれませんが、誰も手を出さないで下さいね。無理に支えようとしたり抱き起こそうとして触れてしまうと、催眠が解けてしまう恐れがあります。」
「了解した。」
「予もわかった。」
「俺も了解。」
サイードの注意を聞き、みんなそれぞれに頷く。
レインフォルス…俺の声が聞こえるか?いきなりだけど、出来れば俺はあなたと話がしたい。どうかこの試みに応じて欲しいんだ。
部屋全体に隔離結界を施し、俺の前で呪文を唱え始めたサイードに安心して身を委ねると、俺は俺の中にいる彼にそう呼びかけて目を閉じた。
――ルーファスの承諾を得て催眠魔法を唱えるサイードの手に、無色透明に透けた魔法陣が描かれて行く。
それを黙って見守る面々は、ほんの一瞬だけ各々が不思議そうな顔をしていた。
≪無色透明な魔法陣…?無属性は白っぽいから、違うよな…あんなの初めて見るぞ。何属性の魔法なんだろ…?≫
中でもウェンリーはそう強く疑問に思ったが、今は邪魔をしないように弁えて口をつぐんだ。
「『信頼で結ばれし汝、我が声の誘いに身を委ね、今暫し深き眠りに安らぎを求めよ。ヒュプノス・ディア・アビスアナム・ソメイユ。』」
サイードの手からその魔力が広がり、目を閉じて耳を傾けるルーファスの前髪をふわりと揺らした。――と、次の瞬間、ルーファスはその意識が途絶えて、脱力したように頭と肩がガクン、と大きく前のめりに倒れ込む。
辛うじて椅子からは落ちなかったが、それを見ていたシルヴァン達とウェンリーは、思わず反射的に身体が動いてしまうも、すぐにサイードの注意を思い出して止まり、椅子に座ったまま俯いた格好で両手をだらんと垂れ下がらせる、微動だにしなくなったルーファスに息を呑んだ。
≪――大、丈夫…だよな?オルファランの時と違って、シルヴァンもリヴもマイルだっているんだし…≫
ウェンリーは以前、ルーファスの姿のまま中身だけがレインフォルスに変わっていた時のことを思い出し、長時間ルーファスが元に戻らなかった不安が頭を過る。
だがその直後、ルーファスの髪が頭頂部の旋毛からサーッと急速に変化し始めた。
黒色液に白布を浸したように、ルーファスの銀髪が瞬く間に漆黒へと染まって行く。
ウェンリーとシルヴァンはその姿を目の当たりにしたことがあり、すぐにルーファスがレインフォルスへと変わったことを理解したが、リヴグストとイスマイルに他の面々は、初めて見るその変化に驚いて声を失った。
やがて完全に髪色が漆黒へと変わりきったルーファスは、目を閉じたまま顔を上げて上体を起こすと、ゆっくり、静かにその目を開いた。
ルーファスよりも少し年上に見える顔付きに、青緑ではなく、紫紺の瞳が揺らめく。
普段ルーファスは誰にでも優しい眼差しを向け、唇を結んでいる時も口角が少し上がり微笑んでいるような印象を他者に与え、見る者の警戒心を解き心を穏やかにしている。
だが目の前の漆黒髪に紫紺の瞳を持つ人物は、ルーファスにとって親しい間柄であるはずの仲間に、見知らぬ他人を見るような目を向け、どこか冷ややかで冷めた感じの、一見すると酷く取っ付きにくい印象を与えていた。
ここまで受ける印象が異なれば、レインフォルスに初めて会うリヴ達も、ルーファスと彼は全くの別人だと思わざるを得なかった。
「ルー様の瞳が、紫紺に…」
「顔はそっくりだが、確かにルーファスよりも年上に見えよる…」
小さく呟くイスマイルとリヴグストの前で、ルーファスの正面に置いた椅子に腰かけているサイードは呼びかけた。
「――レインフォルス…あなたが、レインフォルス…ですね…?」
無表情のままサイードに視線を移すと、少し間を空けてからレインフォルスは返事をした。
「ああ…そうだ。――まさかこんな方法で俺を呼び出すとはな…予想外だ。」
レインフォルスは目線を落とし、淡々とした声でそう告げる。
「ルーファスと私達はいくつかあなたに聞きたいことがあって、深層催眠による表層意識の交代を試みました。――ゲデヒトニス。」
「…うん。」
サイードに呼ばれるとゲデヒトニスは進み出て、デウテロンが追随して運ぶ椅子に座り直した。
「初めまして、かな…僕はゲデヒトニス。ルーファスの分身みたいな存在だ。」
ゲデヒトニスの挨拶にレインフォルスは視線を逸らしたままで、なぜかその顔を真っ直ぐに見ようとしなかった。
≪あいつ、また…オルファランの時もそうだったよな、人からわざと顔を背けてるみてえな…なんなんだよ、あの態度…!≫
〝人と話す時は相手の目を見てちゃんとしろ。〟
子供の頃、当たり前にそう両親に教えられたウェンリーは、レインフォルスの態度に苛立ちを覚える。
「先ずはいつもルーファスを守ってくれてありがとう。ずっとお礼が言いたかったんだ。」
「…別に礼を言われる筋合いはない。」
返事はするものの少し前屈みになって床へ視線を落としながら、レインフォルスは不機嫌そうにぶっきら棒な声を出す。
「…どうして?」
「その必要があったからそうしただけで、ルーファスのためにしたわけじゃない。」
「でも…そうだとしても、ルーファスは感謝しているよ。」
ゲデヒトニスは少し悲しげな表情で微笑んだ。
お礼を言うゲデヒトニスに対してレインフォルスは、落ち着かない様子で上体を起こすと、ルーファスは普段しない仕草で、右手を首の後ろへ当てて顔だけを左へ向ける。
そして続くゲデヒトニスの質問には、突然返事をしなくなった。
「――ねえ、あなたはいつからルーファスの中にいるの?」
「………」
「どうしてルーファスの中にいて、ルーファスに危険が迫ると入れ替わるんだい?」
「………」
「ルーファスの身体の異変について、あなたはなにか知っている?…もし知っているなら教えて欲しいんだ。」
「………」
――室内がシーン、と静まり返るほど、ゲデヒトニスの問いに対して、レインフォルスは表情も変えずに黙り込んだままだった。
「ええと…」
ルーファスの中では時折優しい声をかけてもくれていた彼が、今はどうしてなにも答えてくれないのかと、ゲデヒトニスは戸惑った。
ルーファスはレインフォルスが表に出て来てくれるかと不安に思ってはいたが、知りたいことに答えてくれないとは予想していなかったからだ。
「どうしてなにも答えないのです?」
困惑するゲデヒトニスの横で、サイードが問い質すように口調を強め、レインフォルスに問いかけた。
「ルーファスは記憶を失っています。あなたが知っている事情を話してくれなければ、ルーファスがあなたのことを思い出してくれる可能性はかなり低いでしょう。それでも構わないのですか?」
「………」
レインフォルスはサイードの問いにも、是とも否とも返さなかった。
「サイード、良いか?」
尚もだんまりを続けるレインフォルスに、後ろからシルヴァンが口を挟んでくる。
「ええ、どうぞ。」
「――気になっていたのだが、そなたはルーファスの身に危険が及ぶと表面化していたが、カイロス遺跡でのアクリュースとの一件と、シエナ遺跡での封印解除の際には出現しておらぬ。それはなぜだ?」
シルヴァンの質問にもまた答えないのかと思いきや、今度はシルヴァンを見てレインフォルスは返事をした。
「俺はルーファスが動けなくなるような苦痛を感じている時、ルーファスの中で同時に同じ苦痛を味わっている。――アクリュースの一件とシエナ遺跡での際は、ルーファスよりも俺の方が先に昏倒していたために、動くことは出来なかった。」
「なに?ではカラミティの時と、1002年のケルベロス襲撃の際はどうなのだ。」
「俺はルーファスよりも遥かに闇と暗黒、冥属性などに耐性がある。カラミティの時は闇の守護神剣マーシレスを手にしたことが原因となり、ケルベロスの時は強度の闇属性を帯びた短剣で刺されたことでルーファスは意識を失った。同じように身に受ける苦痛でも、それには耐えられた俺が表層に出られたと言うだけの話だ。」
「なるほど…」
「――つまりあなたは、自分の意思で表に出ることは一切出来ないと言うことですか?」
「………ああ。」
長い溜めの後、サイードの問いかけにレインフォルスは頷いた。
「ではゲデヒトニスの質問ですが、いつからルーファスの中にいるのですか?あなたはルーファスの別人格というわけではないでしょう。それなのにどうしてそのような状況に陥ったのですか?」
「………」
「おい、はっきり言えよ!!」
「ウェンリー!?」
「おまえが表に出てくると、俺はルーファスが消えちまいそうで不安になるんだよ!!なんでルーファスの中にいる?おまえはルーファスのなんなんだよ!!」
「こら、落ち着けウェンリー!そのように熱り立っては、あの者とて答えたくても答えられぬであろうぞ…!」
レインフォルスの態度に苛立ちを募らせたウェンリーをそうリヴグストが宥めると、彼は口の端を歪めて苦笑し、ウェンリーをギロリと睨み返した。
「――相変わらず直情的で馬鹿みたいに短絡思考だな…俺を呼び出したのは勝手だが、質問に答えてやらなければならない義務はない。ルーファスが俺に応じて欲しいと頼むから出ては来ただけだ。」
「なんだと、この野郎…!!」
「はあ…少しウェンリーを黙らせて下さい。」
手のつけられない騒ぎになりそうな予感がしたサイードは、溜息を吐き吐き誰とはなしに頼んだ。するとイスマイルが素早く反応する。
「了解しましたわ、声を封じよ『サイレンス』。」
「(あっ!!)…(酷えぞ、マイル!!)」
魔法でイスマイルに声を封じられたウェンリーは、抗議しようとするも喉を押さえて口をパクパク動かすだけになった。
「ふ…いい気味だ。」
そのウェンリーを見て、レインフォルスは嘲る。
「…どうやらあなたはルーファスと違って、ウェンリーが嫌いみたいだね。」
「ふん、嫌いという感情は相手に関心があるからこそ持てるものだ。俺はあいつがルーファスの…延いては俺の傍にいることが不満なだけだ。」
「嫌いなわけじゃないと言うこと?」
「どうでも良いことを穿り返して聞くな。」
ゲデヒトニスの突っ込みに、一時レインフォルスの無表情が崩れる。
「――それで、僕の質問に答えては貰えないのかい?」
その隙を突くようにしてゲデヒトニスが尋ねた瞬間に、レインフォルスは心底嫌そうな顔をして眉間に皺を寄せた。
「策士だな…今は答えなければならない必要を感じない。――だが、身体の異変に関しては解決策がある。」
「なに!?」
「それはどうすれば良いのだ!?」
身を乗り出すシルヴァンとリヴ、そしてサイードを順に一瞥した後、レインフォルスは一呼吸置いて告げた。
「ルーファスには既にラ・カーナへ行けとだけ断片的に伝えたが、次に神魂の宝珠の封印を解く前に、フェリューテラ東部に位置するラ・カーナ王国へ行き、そこで『クラーウィス・カーテルノ』という名の人物を探せ。」
「――『クラーウィス・カーテルノ』?」
「名前だけで人を探せと言うのですか…その人物は女性ですか男性ですか?年令や背格好は?ラ・カーナ王国は十年ほど前に滅んでいます。生存者は殆どいなかったそうですが、その人物は亡国のどこで無事なのですか?」
矢継ぎ早に尋ねるサイードに、レインフォルスは気分を害したようにムッとした顔をした。
「そんなことは知らない、俺も会ったことはないんだ。ただその人物を見つけ出せれば、身体のことは解決するだろう。」
「…なぜそうはっきりと言えるんだい?」
ゲデヒトニスにそう聞かれるも、レインフォルスは彼を無視して続けた。
「――クラーウィス・カーテルノを見つけたら、今と同じようにサイードの催眠魔法で俺を呼び出せ。いいか、もう一度言うが、次に神魂の宝珠の封印を解く前に、だ。でなければこの身体がどうなるかは俺にもわからない。ルーファスを失いたくなければ、とにかく先にラ・カーナへ向かえ。…俺が言えるのはそれだけだ。」
そうしてレインフォルスは、ゲデヒトニスが引き止める間もなく一瞬でルーファスの中へ戻ってしまう。
「待ちなさい、レインフォルス!!」
これに慌てて椅子から立ち上がったのはサイードだった。
レインフォルスが引っ込んだルーファスの身体は、再びガクン、と前のめりになる。それを椅子から滑り落ちる前にサイードが支えて、椅子に座り直させた。
「自分の意思で表には出られなくても、深層意識下へ戻ることは可能なのですか。まだ聞きたいことがあったのに…」
溜息を吐き吐き元の椅子へ戻るサイードの呟きに、全員が視線を向ける。するとルーファスから目を離したその間に、ルーファスの髪は元の銀色へと戻って行き、程なくして間を空けずにルーファスは意識を取り戻したのだった。
「ルー様…!」
ルーファスが戻ったことに最初に気づいたのはイスマイルだ。ほぼ同時にウェンリーも気づいていたが、魔法で封じられているために声は出せなかった。
右手で額を押さえ、ゲデヒトニスから流れ込んでくる記憶を瞬時に受け取ったルーファスは、レインフォルスとのやり取りを思い起こす。
「ルー様、大丈夫ですか?」
「イスマイル…ああ。」
駆け寄ったイスマイルは、ルーファスの前にしゃがんで膝に両手で触れると、下から俯いているその顔を覗き込んだ。
すると――
「…ルー様?…なぜ、泣いていらっしゃるのですか?」
「え…?」
上体を起こして顔を上げたルーファスは、元の優しげな青緑の瞳から、頬を伝う一筋の涙を流していたのだった。
――イスマイルになぜ泣いているのかと聞かれ、手で自分の頬をなぞると、涙で手の平が濡れて光っていた。
理由は自分にも良くわからない。ただ、ゲデヒトニスから記憶を受け取った際に、俺を見ようとしないレインフォルスを見て、胸が締め付けられるような辛い思いがした。
漆黒の長い髪に紫紺の瞳…確かに彼は俺より六つ七つは年上に見える。その顔は感情を押し殺したかのように何も表さず、不機嫌な態度と無愛想な声を出すことでわざと印象を悪くしていた。
ウェンリーは目を合わせないことで腹を立てたようだが、俺にはわかる。レインフォルスのあれは、自分を守るための防衛手段なのだ。
きっと俺以外には誰にもわからないだろう。彼は自分を良く思っていないであろう俺の仲間に囲まれて戸惑い、酷く居心地の悪い思いをしていたのだ。
そんな不器用な感情を無表情の仮面で隠し、敵意さえ煽って他人という存在を遠ざける。
方法は違えど、過去に俺も無理に笑顔を作って、他人との関わりを無難に避けていた時期があったから良くわかる。
俺は初めてレインフォルスを見て、なによりもその存在が確かなのだと、会えて感じられたことが嬉しかった。
たとえ直接会話を交わすことは出来なくても、彼は俺の中に存在している。
俺がレインフォルスと入れ替わる前に感じていた不安は、ウェンリーやシルヴァン達が感じていたものとは少し違った。
俺の呼びかけが彼に届き、本当に応じてくれるのかが不安だったんだ。
「――ラ・カーナ王国へ行け、か…以前にもそう言われて俺自身目指すつもりだったけれど…十年ほど前に戦争の巻き添えで滅んだ大国に、一体なにがあるんだろう。」
「わからぬが…レインフォルスは答えなかった問いもあったが、嘘は吐いていなかったであろう。」
「うん。診療所のファーガス医師が言ってたよね…滅んだラ・カーナ王国には、遥か昔の太陽の希望という救世主の伝承が残っていたって。やっぱりそれとなにか関係がありそうだ。」
「でも『クラーウィス・カーテルノ』という名前の人を探せだなんて、かなり大変なんじゃないか?どこに住んでいるのかもわからないだろうし…」
「彼の亡国は距離も遠いでするぞ。間にアンフアング・シリディナ山脈が立ち開かっており、国をここから北へ幾つか越えて迂回しながら向かわなければなりませぬ。」
「――それでも行くしかないでしょう、ルーファス。レインフォルスは次に神魂の宝珠の封印を解く前に、と念を押しました。…あなたは私達に心配をかけないように黙っているのでしょうが、本当は自分の身が危ないという自覚もあるのではないですか?」
「…サイード。」
俺とシルヴァン、リヴとゲデヒトニスにサイードが話す横で、声を封じられたウェンリーが、イスマイルに身振り手振りで魔法を解いてくれと必死に頼んでいる。
「本当はすぐにもあの安置場所を探し出して、少しでも早くユリアンを神魂の宝珠から解放したいと思っていたんだ。――だけど…サイードの言う通り、今のままで次に封印を解いた時は、意識を失うぐらいじゃ済まないかもしれないと思っている。」
「やっぱりかよ!!」
サイレンスの魔法を解除して貰うなり、ウェンリーのその声が響いた。
「だから大丈夫なのかって何度も聞いてんのに…っ」
「ルー様は強がって仰っているわけではありませんのよ。その証拠に、千年前のどんなに困難な時も、ルー様が大丈夫と仰ってそうならなかったことはありませんでしたもの。」
口元に両手を合わせて俺への信頼を向け、イスマイルは優しく微笑む。
「――そうだな、不安に思って心配ばかりしていても何も良いことはない。レインフォルスがくれた情報を頼りに、今は滅んだラ・カーナ王国へとにかく行ってみよう。かなり遠いけど俺達にはきっともう、あまり時間はないはずなんだ。」
こうして俺達は話し合いの末、再度みんなでログニックさんの墓参りをして冥福を祈ると、翌朝にはこの宿を引き払い、一月ほどに渡ってお世話になったマロンプレイスから、遥か遠い亡国ラ・カーナへとまた永い旅路へ出発したのだった。
* * *
「はあ…遠いなあ、もう…エヴァンニュってどこなのさ…クレスケンスのせいでルーファスお兄さん達のところへは、どうやっても戻れなくなっちゃったじゃないか。」
――紫の瘴気漂う広大な大地を見下ろし遥か上空を飛ぶ、翼を広げると二十メートルもの体躯を持つ青白き巨竜の背に乗って『クリス』はぼやいた。
『そんなに怒らないで下さい、クリスティン。あなたと離れて千余年ですよ?私が生きていることから、あなたもどこかで生きているとわかっていても、永い間フェリューテラ中を探し回って見つけることが出来なかったんです。歓喜のあまり空を無茶苦茶に飛び回ってしまっても、仕方ないでしょう?』
クレスケンスが『クリスティン』と呼んだクリスのその姿は、ルーファス達とエヴァンニュの王都で逸れてからもなぜか一定の年齢まで成長を続け、ウェンリーよりも年上の二十代半ば程まででピタリと停止した。
この現象には竜人族特有のある事情が関係しているのだが、クレスケンスとクリスはそのことを知らず、不思議に思っていた。
以前にも故ヴァシュロン・オーサがウェンリーに話したことがあったが、竜人族の子は同一性で生まれ、後に思春期を迎える年令の頃までには自分で性別を選んで決める。
そこには好きになった相手がいるとか、家を継ぐ必要があるなど、本人の環境や心中で思いがけず無意識に意識して選んでしまうこともあった。
そのため、インフィニティアで怨嗟の呪縛をかけられ、様々な要因から痩せて男の子みたいだった彼女は、きっと自分は男になると思っていた予想が大きく外れ、最終的に性別はウェンリーがお婿に行けなくなるかもしれない『女性』となった。
その上に怨嗟の呪縛による苦痛からあまり物も食べられず、少ない栄養しか得られていなかったにも拘わらず、クリスの身体つきは出るとこは出て締まる所は締まっている、老若男女問わず誰もが振り返らずにはいられないほどの美女へと変貌を遂げていた。
しかし中身は相変わらずのボクっ子で、その言葉遣いにもほんの少し変化があるくらいだ。
「仕方なくない!!大体にして王都まで飛んで来たのに、なんでクレスケンスはエヴァンニュ王国の場所がわからないのさ!?竜種の聖域までは真っ直ぐ帰って来られたのに!!」
『聖域へは帰巣本能で、なんとなくこっちへ飛べば良いとわかったからですよ。第一神竜の私が人族の作った街の場所など、正確に覚えられるわけがないでしょう。いつもは〝シン〟の行きたい方向へただ飛んでいただけなんです。彼は転移魔法が使えましたから、わざわざ地上に降りなくても勝手に背中へ転移していましたしね。それにあなたは忘れたのですか?私は方向音痴なんですよ!!』
「自慢するな!!」
『自慢ではありません、事実です!!』
「ムキーッ!!…はあ、もうどっちでもいいよ…でもさあ、クレスケンス…行けども行けども紫の靄で見えないこの下界って、一体どこの国なの?」
『わかりません。』
「…だよね~…こんなところに誰か住んでるはずもないし、どこかに誰か一人でも人族がいないかなあ…くすん、ルーファスお兄さん、ウェンリーお兄さん…サイード様も、会いたいよぉ~!!心細いよお~!!うえ~ん!!」
――クレスケンスとクリスは、ドラグレア山脈内の〝竜種の聖域〟にあるクリスの故郷『パリヴァカ』跡地へ着いた後、暫くの間二度と会えない家族への悲しみに暮れるクリスが立ち直るまで、隔絶されたその場所で過ごしていた。
やがて気力を取り戻したクリスは、竜人族の女性最後の一人として、ルーファス達の仲間にいると言う同族と対面することを考え始めたが、エヴァンニュ王国から再会した半身の愛竜クレスケンスによって故郷まで一気に運ばれてきたことで、帰り道は疎か、連絡を取る手段さえわからなかった。
そうして毎日聖域の集落跡地から出てクレスケンスの背に乗り、ある程度の範囲を飛んで空から人の住む集落か、旅人の一人でも見つからないかと探しているのだが、方向音痴のクレスケンスと右も左もわからないクリスのペアでは、そう遠くまでは行くことができないでいたのだ。
半身の愛竜とは再会出来たものの、ルーファスとウェンリーから離れてかなり経ち、人恋しさからクリスの寂しさも限界に来ていた。
――そんな時クリスは、何者かの定めた悪戯な運命に導かれる。
『…あら?この気配は…』
「なに?クレスケンス。なにか見つけたの?」
『ええ、意外にもそう遠くない場所に、良く知る気配を感じるのです。――これは…ええ、間違いないわ、どうしてこんな瘴気だらけの場所に…?』
「なんでもいいよ、気になるならその気配の元へ行ってみようよ、生き物なんでしょ?」
『はい、人族ですよ。ほら、私がずっと面倒を見てあげていた――』
「人族!?やったあ!!もしかしたらエヴァンニュ王国への行き方を知っているかもしれないね、すぐ行こう、今すぐ行こう、早く行こッッ!!!」
『ふふ、現金ですね。わかりました、飛ばしますよ。』
「おう!!」
そうしてこの日、とある国の辺境の地へクレスケンスと共に舞い降りたクリスは、犯した罪の重さから立ち直ることが出来ず、失意の底に沈む白髪銀瞳の暗殺者…『シン』と出会ったのだった。
次回、仕上がり次第アップします。




