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憑依転生した先はクソ生意気な安倍晴明の子孫  作者: 文月朔夜
第三章 水仙家

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暴力は良くない

 俺達がここにいる理由を、重要な部分だけ簡単に話した。

 男は終始無言、相槌もない。普通に怖い。


「事情は理解した。だが残念だったな。見れば分かる通り、それどころじゃなくなったのは理解できるな?」

「……はい」


 男は俺を見ず、崩れた村を見つめたまま。無表情なのに、どこか悲しそうに見える。


「つーか、聞いてた話と全然違ぇな」

「え?」


 急にこっち向くな、びっくりする。


「安倍家の天才少年は、自由奔放でわがまま、人を見下して礼儀もない――そう聞いてたが、噂が一人歩きしてただけか?」

「紅音、琴平、夏楓。拳戻して」

「「「はい」」」


 やっぱり怒るよな。


「それには理由があるんです。今は詳しく話せないので、勘弁してください」

「そうか。俺には関係ねぇしな」

「は、はぁ」


 ……意外とあっさりしてる。


「あの、自己紹介お願いできますか? 名前が分からないと呼べなくて」

「それもそうだな。詳しい話は陰陽寮でだ。名前だけ言うぞ」


 男は軽く息を吐いた。


「水仙家、陰陽頭。水仙水分(すいせんみくまり)だ。よろしくな、安倍闇命」


 ※


 水仙家の陰陽寮へ向かう。

 薄暗い道に人影はない。……死体もない。全員、屍人にされたのか。


「あの」

「なんだ」

「この村は、もう駄目ですか?」

「駄目とは?」

「復興は……」

「やろうと思えば出来る」

「え?」


 できる、のか?

 こんな、もう誰も残っていないような、村を。


「全員が逃げ遅れたわけじゃねぇ。生きてる奴もいる。むしろ――もっと大きくしてもいい」


 水分さんは淡々と続ける。


「他の村から人を呼ぶのもありだな。技術者増やして、建物も拡張して……陰陽寮ももっと面白くできる。仕掛けも増やしたいしな」


 なんか、悪い顔を浮かべてない? 大丈夫?

 ………………深くは考えないようにしよう。


 周りはどんどん寂しくなっていく。村の裏手、田んぼだった場所だろうか。

 ぶつぶつ呟く水分さんを横目に、魔魅ちゃんの手を握る。


 少し、震えている。


「魔魅ちゃん、大丈夫?」

「大丈夫……慣れてるから」


 慣れてるのも、それはそれで問題だ。


「……闇命く――」

『問題ないけど、何心配してるの?』

「ですよね」


 こっちは本当に平気そうだな。


「あの、水分さん」

「なんだ」

「さっきの少女、心当たりは?」

「それも含めて着いてから話す。その代わり、お前もさっきの話を全部しろ」

「え? だから詳しくは――」

「時間はある。……等価交換って知ってるか?」


 あぁ、そういう事か。


「ほ、他の情報とか……」

「帰りたきゃ勝手に戻れ。俺はどっちでもいい。決めるのはお前だ、餓鬼」

「こんの……」


 口悪いくせに、やたら頭が回る。


『別に話しても問題ないよ』

「え、いいの?」

『進まないよりマシでしょ』

「そっか」


 肩に乗っている闇命君が言うなら、いいかぁ。


「何一人で喋ってんだ。気持ちわりぃ」

「そのうち分かります」

「分かるならいい。はぐらかしたら殴る」

「暴力で解決するのやめて!」


 本当にやりかねないから怖い。

 後ろの三人もいるし、最悪血の海だ。


「……話だけで終わりますように」


 ※


 無事に陰陽寮に到着。今まで見た中では小さい方だが、それでも十分大きい。


 木製の建物で、見た目は神社の本殿のようだ。

 中は意外と明るい。廊下の壁には蝋燭が三本ずつ設置され、道を照らしている。

 幅は二人並ぶのがやっとで、今は縦に進んでいる。


 巫女や陰陽師たちが行き交い、水分さんが通るたびに一礼している。

 それだけ慕われているのか、それとも無理やりか……。


「陰陽頭様」

「どうした」


 一人の陰陽師が声をかける。手には資料のようなもの。


「ここは比較的、腐ってはいないみたいだな」

「そうだね。陰陽頭が話の通じる人だからか、空気も悪くない」


 琴平も同じ印象らしい。


 周りの人達も俺達を避ける様子はない。むしろ歓迎しているようで、目が合えば笑顔が返ってくる。手を振ってくる巫女までいる。……居心地がいい。


「待たせたな。報告を受けていた」

「あ、いや。大丈夫」

「んじゃ、行くぞ」


 再び歩き出す水分さん。周囲の視線は一切気にしていない。

 ……もし闇命君がこんな環境にいられたら、何か違ったのだろうか。


「はぁ……」

「どうした?」

「いや、何でもない」

「……やっぱり噂と違うな。話を聞くのが楽しみだ」


 悪い顔だ。これは覚悟がいる。

 しばらく進み、水分さんが一つの襖の前で止まる。


「ここなら問題ないだろ」


 中は六人でも余裕の広さ。整っていて、畳の匂いが落ち着く。


「スイ、出てこい」


 三枚の札が水に包まれ、弾ける。


 現れたのは、小さな子供が三人。


『ごしゅじんさまぁぁ』

『しゃまぁぁ』

『まぁぁ』

「座布団、頼む」

『『『はーい』』』


 ……座布団のために式神?

 てきぱきと動く三人。水色の着物がよく似合う。


「これ、何の妖?」

『人型の式神だね。あいつの創作だよ。戦闘力はないはず』

「そんな事できるの?」

『君もやったでしょ。猫刃の時に』

「あ……闇命君の姿を作ったやつか」

『多分それ』


 なるほど、便利だな。


「飲み物は?」

「大丈夫です」

「俺が飲む。スイ、茶」

『はーい』


 三人が出ていく。

 自由だけど、不思議と嫌な感じはしない。


「茶が来るまでに話せ」


 いや、時間短くありませんか?

 って、あれ?


「え、暑いんですか?」

「この方が楽だ」

「まぁ……確かに」


 上着を脱いだ水分さん。鍛えられた体が見える。


 座布団に座り、俺達も続く。水分さんは胡坐。


「で、まずはお前だ。噂と違いすぎる」


 ……説明が難しい。


「――その鼠、ただのじゃないな」

「えっ」

「気配が違う。憑いてるだろ」


 見抜かれた。

 闇命君が姿を現す。


『正解。僕が本物の安倍闇命』

「やっぱりな。噂通りの糞餓鬼だ」

「貴様——」


 紅音を琴平が止める。


「じゃあ中身は誰だ?」

『長くなるけど、聞く?』

「聞かない理由がねぇ」

『予防線だよ。信じるかは任せる』

「いいから話せ」

『……楽でいいね、君』

「頭使うな。餓鬼らしくしてろ」

『それが出来たら良かったんだけどね』


 襖が開き、お茶が運ばれる。

 全員が揃い、静まる空気。


『これから話すのは全部事実だ。よく聞いて』


 水分さんが頷く。

 そして、闇命君が語り始めた。

ここまで読んで下さりありがとうございます!

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よろしくお願いします(*・ω・)*_ _)ペコリ

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