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憑依転生した先はクソ生意気な安倍晴明の子孫  作者: 文月朔夜
第三章 水仙家

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旅路

「それじゃ、行ってきます」

「気をつけてくださいね」

「はい。紫苑さんも、いろいろありがとうございます。あの、すべての資料を解決できずすみません……」

「いえ、そもそも期待していませんでしたので」

「…………え?」


 昨日もらった服を着て、陰陽寮の出入口で別れを惜しんでいると、引っかかる言葉があった。


 ……期待されてなかったの?


「元々、貴方達には旅に出てもらう予定でしたので、あの資料は時間稼ぎです。ですが、まさかあそこまで大きくなるとは思っていなかったので、驚きましたよ」

「あ、そうなんですね……なんか複雑です」

「そう言わないでほしい。さぁ、皆が待っているよ。行きなさい」

「あ、はい」


 振り返ると、馬車の中で紅音と夏楓が待っている。御者席には琴平。


 ……なんでもできるな、琴平よ。うらやましいぞ。


「それじゃ、行ってきます。本当に、ありがとうございました!」

「気をつけるんだよ」


 手を振り、馬車に乗り込む。

 同時に、ゆっくりと動き出した。


 窓の外を見ると、紫苑さんの隣に陰陽頭と陰陽助の姿。


 ……今来る?


 まあいいか。見えてないだろうけど、手を振っておこう。


「とうとう、やってしまいましたね」

「不安?」


 夏楓が荷物を撫でながら呟く。


「少しだけ。でも、今回は優夏さんがいますから」

「え、俺? 闇命君じゃなくて?」

「闇命様がいる安心感はもちろんあります。ですが……私達は一度、挫折していますから」


 ……ああ、なるほど。

 過去がよぎるのは仕方ない。


「問題ない」

「紅音さん?」

「今回は違う。自由に動ける。それに他の陰陽寮とも繋がった。前進している」


 短いけど、力強い。


「……そうですね。ありがとうございます」

「弱音を聞きたくないだけだ」

「そうですか」


 ……素直じゃないな。


「しばらくは長旅だ。ゆっくり行こう」

『その前に漆家へ手紙だ。体を返して』

「あ、はいはい……」


 筆に慣れていない俺は、この世界では文字すらかけない。

 任せるしかないんだよなぁ、悲しい。


「よろしくお願いします」

『早く』

「はいはい」


 意識が落ちる。


 ※


「……ん、終わった?」


 ……終わってる。


 早すぎない?


 ――って、何これ!?


 闇命君はぐったり。

 紅音は椅子に突っ伏してる。

 夏楓は顔を押さえてぶつぶつ。


「あぁ、闇命様……今日も美しい……ありがとうございます……」


 ……は?


 ただ手紙書いただけだよな?


 なんでこうなった?


 というか、なんで馬車止まってるの?


 恐る恐る御者席を見ると――


「……もう、俺がやる。あいつに任せるのは危険だ……」


 琴平、撃沈。

 顔覆ってる。


 ……いやほんと、どんだけ闇命君のこと好きなんだよ。

ここまで読んでいただきありがとうございます

次回も読んでいただけると嬉しいです


出来れば評価など宜しくお願いいたします( *´꒳`* )

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