表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
58/246

山本五郎左衛門

 ひとまず俺達は、体の疲労が酷いのと、紅音や琴平の傷の心配もあり、宿屋に戻ることとなった。


 話の続きはそこでしようという話になったのだけれど、雨燕さんからの視線がものすごく痛い。


 今は前を歩いているんだけど、背中に突き刺さるよ、視線が。

 冷や汗が止まらん……。ちょっと、後ろに行こうかなぁ。


「あれ?」


 普段より紅音の歩みが少し遅い?

 いつもは隣をピッタリと歩いているのに、今は琴平と共に雨燕さんの後ろを歩いている。


「紅音、大丈夫?」

「問題は無い」

「でも、足引きずってない? まだ治しきれていないなら、治してから戻ろうか」

「問題ない」

「いや、でも……」

「……これ以上は治せん」


 え、治せない? 

 それほどまでに酷いって事? それやばいじゃん。


『紅音の治癒能力も無限じゃない。必ず体力は無くなり、疲労が体を襲う。何をするにも代償は必ずいるんだよ』

「あぁ、確かにそうか。なら、紅音は誰かがおんぶしようか」


 俺がしてあげたいけど、身長差的に無理だし、琴平は怪我をしているし、この場だったら──


「絶対に嫌」

「何も言ってないけど」


 まぁ、視線が自然と雨燕さんを向いていたから、察したよね。


「なら、俺が──」

「歩ける」

「歩けているが、だいぶ遅いぞ。俺は大丈夫だから、背中に乗れ」


 琴平の男前発揮。紅音の前にしゃがみ、背中を向けている。でも、琴平も肩でしょ。無理しない方が……。


 ん? 雨燕さんが紅音の方へと歩きだした?


「いや、問題なっ──­­─わっ?!」

「これなら問題ないだろう。行くぞ」


 …………わぁお。なんか、お父さん。


 雨燕さんが俺達の会話を見て、我慢の限界に達したらしい。


 紅音を無理やり持ち、歩き始めた。 

 しかも、すごい鍛えているのか、片腕だけで持っている。お父さんがよく子供を持つ時の体勢だ。


 紅音は不満そうだけど……。

 まぁ、自分が歩くの遅いとは思っていたみたいだし、頬を膨らませながらも大人しく抱っこされてる。


「いやぁ。これで少しは安心だね琴平……琴平?」

「…………あ、あぁ。そうだな」


 あれ、どうしたんだろう。

 紅音と雨燕さんをじっと見ていたように思ったけど。


 …………まぁ、いいや。とりあえず、宿屋に向かって体を休めたい。

 お風呂に入りたい、布団と友達になりたい。寝たい、眠い。瞼が重い……。


「早く、宿屋に行こうか」


 ※


 宿屋に着き、部屋で一息。

 琴平と紅音は、宿屋の人に傷の手当をしてもらっているから、部屋には俺と闇命君、雨燕さんの三人。


 めっちゃ気まずい、空気が重い。


「…………眠い……」

『だいぶ力を使ったからね。少し寝た方がいいんじゃない?』

「少し休め。話は次起きた時にでも聞こう」


 んー……。それも、そうだな。

 安心したら急に強い眠気が襲ってきた。


 睡魔が俺を襲うぅぅぅ──……。


 ※


 ……寝たね、畳の上で。相当眠たかったみたい。


 でもさぁ、畳の上で寝るってなんなの。

 体痛くなるじゃんやめてよ。苦しむの君だってわかんないわけ?


「はぁ」


 倒れ込むように眠った優夏を雨燕はじっと見て、鼻を鳴らし立ち上がった。


 なんだ? ──え、かけ布団をかけた? きもっ!?


『ナニシテンノ』

「風邪をひかれたら困る。それだけだ」

『ソウデスカ』


 いや、気持ち悪いって。なんなの。


 雨燕が再度座り直し、真剣な眼差しで見てきた。


 あぁ、ここから質問攻めになるのか。

 めんどくさいな。琴平、早く戻ってきてよ。


「とりあえず、いつからお前はその姿になっていた」

山本五郎左衛門さんもとごろうざえもんに出会った日だね』


 あれは、忘れたくても忘れられない記憶だ。


『山本五郎左衛門は妖怪最強と記載があり、妖怪の眷属達を引き連れる頭領。魔王に属するモノとされるんだったよね、たしか。そいつと出会い、僕達が全滅させられる手前、こいつをこの世界に呼び込んだ』


 見た目はただの烏天狗だったのに、一瞬にしてやられた。


 いや、あの妖力を感じ取ってしまった他の連中は、足が竦んだり、腰が抜けたりして、戦闘どころではなくなった。


 僕も、最初は足が震えて何も出来なかった。

 でも、負けたくなかったんだ。


 負けたくなくて、周りの人が出来なかった事が出来たら、《《今度こそ》》と思ったんだ。


 今更、考えても無駄だけどね。

 結局は負けたんだ。僕は、負けたんだから。


「なるほどな。やっと腑に落ちた」

『腑に落ちた?』


 何が気がかりだったんだ?

 こんな話、もう知っていたんじゃないの?


「貴様があれだけの傷を負っていた理由だ」

『報告書は届いてなかったわけ?』

「届いていた。だが、詳細は書かれておらず、相手の名前すら記載がなかったのだ。直接聞こうにも、生きているものが少なく、今だ目を覚ましていない者もおる」

『ふーん』


 んで、僕に聞くのは無駄に備わっている自尊心が許さなかったと。くだらないな。


「では、今も尚、山本五郎左衛門は現世をさ迷っていると。そういう事だな」

『他の陰陽寮からの報告がないのならそうなんじゃない? あんな大物、倒したり封印したら報告が来るはずだよ。まぁ、倒すなんて絶対に無理だろうけどね』


 山本五郎左衛門の記載は少なく、どのような力を持っているのか、どんな存在なのかがまだ分かっていない未知な存在。


 ただ、"妖怪最強"という言葉が歩いているだけの、存在。


『そんで、話は戻るけど。それから僕は、なぜか幽体離脱してしまいこの状態になったの。戻ろうにも、なんかの力によって弾き出される。だから、違う人格を呼び寄せ僕の体を預けているの』

「それが、この、牧野優夏という小僧か」


 目線を寝ている優夏に向けている。

 今の話で予想はできるか、普通。


『そういうこと。とりあえず、こいつは僕より年上らしいよ。頭脳や精神年齢、体力などは僕の方が何倍も優っているけどね』

「相変わらずだな。なら、今までの貴様らしくない言葉は、全て優夏とやらが発していたということか」

『当たり前だろ。僕が言う訳が無い言葉が沢山あったはずだ。そこで気づかないなんて、よく陰陽助が務まるものだな』


 まったく、あれだけの違い、すぐその場で気づいてもいいと思うけど。

 いや、気づかれたら困るんだけどさ……。

 なんか、複雑なんだけど。


「貴様の今までの行いが周りをそうさせていると考えはしないのか。少しは改めろ」

『改めさせたいなら、まずあんた達が改めなよ。そしたら、参考にはしてあげる』

「ふんっ。そんな事する訳が無いだろう。我々は間違えていない。改めるところなどない」

『なら、僕も改めるところなんてないよ。僕は僕が正しいと思った行動をしているだけだからね』


 このままじゃ堂々巡りになりそうだな。

 さて、どうやって話しを切り出すか。


 こいつは、この村で今まで何をしていたのか。今度はこっちが質問攻めしてやるよ。

ここまで読んで下さりありがとうございます!

出来れば次回も読んでいただけると嬉しいです!


出来れば☆やブクマなどを頂けるとモチベにつながります。もし、少しでも面白いと思ってくださったらぜひ、御気軽にポチッとして頂けると嬉しいです!


よろしくお願いします(*・ω・)*_ _)ペコリ

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ