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憑依転生した先はクソ生意気な安倍晴明の子孫  作者: 桜桃
第二章 死絡村

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調書室

 紅音達に頼んだものの、俺も調べておきたくて、陰陽寮の資料室――通称、調書室へ向かっていた。


 ただ、極秘資料も多く、入室には上司への報告が必要らしい。

 紫苑さんに伝えると、「君なら大丈夫だよ。自由に使ってくれ」とあっさり許可が下りた。


 ……信用されてる、でいいんだよな?

 まさか「どうせ分からないだろ」とか思われてないよな?


 まぁいいか。


 教えられた通り進むと、暗い廊下の先に大きな襖があった。


 ……重々しいな。

 とりあえず、開けるか。


 ────暗っ。


 光は蝋燭だけ。淡い光がぼんやり広がっている。


『件の資料なら、奥の本棚だよ』

「うおっ!? 起きてたのか、闇命君」

『気配で気づきなよ。阿呆。件、調べるんでしょ?』

「いや、なんで分かるんだよ……」

『僕だから』

「それで納得できるか……? できるか。闇命君だもんな」


 相変わらず意味が分からない。


 奥に進むほど暗くなる。

 本の背表紙すら読みにくい。


『紙が多いからね。火事防止で最小限の灯りしかないんだよ。奥に予備の蝋燭があるから使って』

「なるほど、ちゃんとしてるな」


 言われた通り奥へ行くと、蝋燭とマッチが置かれていた。

 壁には燭台も備え付けられている。


 火を灯し、慎重に立てる。


 少しだけ視界が開けた。


 広さは図書室と同じくらいか。

 本棚は多いが、机や椅子はない。


 ……立ち読み前提かよ。不親切だな。


 本や巻物が整然と並び、表紙には内容が記されている。

 探しやすいのはありがたい。


 件についての資料も、思ったよりすぐ見つかった。


「件の資料、多いな」

『伝承や仮説がバラバラだからね。それすべてをまとめてるんでしょ』

「地方で名前違う、みたいな感じか」

『知らないけど、たぶんそんな感じ』


 とりあえず一冊手に取る。


 ……文字、びっしり。


 これはきつい、寝る。


『耳、噛むよ』

「すみませんでした」


 脅されながら読み進める。


 内容はやっぱり、予言と短命について。

 それ以上の情報はほとんどない。


 牛から生まれた奇獣だの、人と牛の雑種だの……。

 いや、さすがに無理があるだろ。


 ……いや、この世界だとあり得るのか?

 やめよう。考えたら負けだ。


 結局、分かったのは「予言する」「すぐ死ぬ」くらい。


「……進展なしか」

『そりゃそうでしょ。件は予言しかできない雑魚だし』


 雑魚って。

 未来予知、普通に怖い能力だと思うけどな……。


 まぁいい。

 件単体じゃこれ以上は出ない。


 ほか、なにを探せばいいんだろう……。


『なら、周囲を当たれば?』

「周囲?」

『件を見た人とか、その年に何があったかとか』

「ああ、なるほど」

『頭使って』

「すみません……」


 先が長い。


「頑張れ俺、負けるな俺」

『いいから手動かして』

「はい」


 ……さて。


 件が出た村や、その年の記録。

 そこから当たっていくか。


 別の本棚を見てみると、各地の村がまとめられた本を見つけた。

 何冊もあるが、資料にあった村を探すか。


「あ、見つけた。奇跡」


 適当に手に取った一冊に、ちょうど目当ての村が載っていた。運がいい。


 中を開くと、村の見取り図や家の配置、井戸の位置などが細かく書かれている。

 ……普通の村紹介だな。


「…………よし。怪しいところはないな」

『阿呆なの馬鹿なの間抜けなの? 馬鹿なのは仕方がないけど、少しは自分が恥ずかしいとか思った方がいいよ。誇りを捨てたら終わりなんだから気をつけなよ』


 うるせぇよ、クソガキ。


『気になるとこ、あるでしょ』

「え、どこ?」


 もう一度見るが、やっぱり分からない。


『全部信じるなって言ってんの。ほら、ここ』


 闇命君が半透明になり、本の一点を指す。

 ……井戸?


「井戸がどうした?」

『物を隠すのにちょうどいいでしょ』

「……ああ」


 隠す――井戸の中に何かあるの?

 でも、それが件とどう繋がるんだ。


 ……まさか、探し物? それを、予言で場所を特定しようとしている、とか?

 いや、それなら普通に探せばいい。予言なんて言うものを使わなくても。


『中身は分からない。でも、確認する価値はある。……関わりたくないけど』

「関わりたくない? なんで? さっき、雑魚だって言ってたのに」

『関わらなければ雑魚。でも、関わったら終わり』

「どういうこと?」

『予言されたら必ず当たる。死の宣告されたとしても、逃げられない』


 ……っ。

 それは、嫌だな。


『封印しても殺しても無駄。すぐ転生するし』


 なおさら関わりたくない。


 ……紫苑さん、これ面倒なやつ後回しにして押し付けてないよな?


『考えるだけ無駄。イラつくだけだよ』

「……だな」


 闇命君も諦め顔だし、やるしかない。


『この村に行くしかない』

「でも外に出る方法は? また紫苑さん頼るの?」

『それは避けたい。今以上のことを頼まれるのは、正直はらわたが煮えくり返る』


 じゃあ、あの頑固オヤジか。


 ……名前なんだっけ。

 ああ、貛雨燕(まみこじろう)さんだ。


 無理だろ。あの人に頼むの。

 というか関わりたくない。


 なんで琴平、ただの陰陽師なんだよ。

 あの実力と人柄なら、もっと上でもいいだろ。


「……行くしかないか」

『それしかないね』


 はぁ。

 本を棚に戻し、部屋を出る。


『火、消して』

「あ、はい」


 蝋燭の火を消して、廊下へ出た。


「問題は説得だな」

『方法もね。どうせ話は聞かないだろう。ロバ耳だし』


 辛辣すぎる。

 紙に書くとか、資料に紛れ込ませるとか……。


 ……あ。


 前から人が来る。


「……はやっ?!」


 一瞬で闇命君が鼠に戻った。

 早すぎるだろ。


 拾って肩に乗せる。


「あ、闇命様」

「どうも……」


 男は複雑そうな顔で頭を下げた。


 立場が下なのは、態度で分かる。

 でも、闇命君への印象は良くない……そんな顔だ。


「では、失礼します……」

「あ、うん」


 猫背気味で去っていく。

 いかにも気弱そうだ。


『あいつ、使えそう』

「え、使えそう? 何に? というか、人をそんな言い方……」

『一番下の雑用係、直丁だろうし。動かしやすい』


 物騒なこと言うな。


『あいつ経由で手紙だね。戻るよ』

「はいはい……」


 ……手紙?


 ※


『お前。まず字を書くところから練習ってどういう所業? 今までどうやって生きてきたの。筆すら使えないってどうなの。なに、この蛇みたいな文字、なんて書いてあるの? 下手にもほどがあると思うけど、馬鹿なの? 君がこの世界に来る前でも筆ぐらいは触った事あるでしょ。なんで書けないの?』


 ・・・・うるせぇ!!!


 なんで部屋に戻った瞬間、筆持たされてんだよ。

 しかもこの罵倒ラッシュ。


 闇命君が書けないから、俺が代筆してるんだけど。

 筆なんて無理に決まってるだろ……。


「無理……」

『はぁ。じゃあ、体ちょっと貸して』

「え、ちょ──」


 あっ、意識が遠のっ――……。


 ※


『起きろ』

「……ん?」


 いつの間にか、俺は眠っていたらしい。


「あれ、手紙……書けてる?」


 目の前には、びっしりと文字。


 内容は──


『拝啓 陰陽助様

 僕を外に出せ。出さなければこの陰陽寮は破滅する。出せば何も起きない。僕の直感は外れない。従わないなら責任を取ってもらう。以上。敬具 安倍闇命』


 ……脅迫状じゃねぇか。


「これ、渡すの?」

『当たり前でしょ』

「いやいやいや、これ手紙じゃないって!!!」


 脅迫状ですよこれ!!


『さっきの直丁に渡す。届くのは四日後くらいかな』


 聞けよ人の話。


『ほら、早く渡してきて。たぶん調書室にいる』

「……うん」


 ……ごめんな、直丁さん。

ここまで読んで下さりありがとうございます!

出来れば次回も読んでいただけると嬉しいです!


出来れば☆やブクマなどを頂けるとモチベにつながります。もし、少しでも面白いと思ってくださったらぜひ、御気軽にポチッとして頂けると嬉しいです!


よろしくお願いします(*・ω・)*_ _)ペコリ

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