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とある魔王の無双譚  作者: azl
ギルレオン建国祭
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第一回建国祭執行会議<後編>

*あらすじ:ハズレくじは誰の手に?

「えぇ~、大変不本意ですが皆様。今年度の執行委員長は不肖なる私め、ロメオが務めさせて頂きます・・・」

「シャキッとしろシャキッと!!」


 ギルレオンの会議室にそんな声が響く。叱責を送ったのがリンダ、送られたのがロメオである。

 今年度建国祭執行委員長に当選したのはロメオだった、日頃の行いがハズレクジを齎したのかもしれない。 

 尤も怠惰な彼がそんな面倒な役職を真面目にやるはずも無かった。彼の前挨拶は余りにも覇気が無く、会議の始まりに言うにしてはあまりに不適応な物である。だがそれも仕方の無い事であろう、何せ今の彼の顔は最早死んでいると言っても過言ではないくらい生気というものを感じないのだから。

 つまりどういう事かと言うと、やる気という物が丸で無いのである。


「クソッ、何だって私が?確率だって一番低かったはずなのに・・・」

「それなんだがロメオ、クジを戻さない時は何番目に引いても確率は同じだぞ」

「え!?」


 ロメオのボヤキにそう返すリュート。それを聞いたロメオは驚きの余り叫んだ。


「だって一番最初が十分の一でその次が九分の一なんじゃ・・・」

「それは前の奴が外す可能性を考えてないだろ。それを含めて考えると何番目に引いても確率は十分の一から変わらないよ」

「そんな、じゃあ全然フェアじゃないじゃないですか。じゃんけんで勝った所で意味が無いなんて・・・」

「結局公平な所に落ち着くんだから良いじゃん。てか気付いてないとは思わなかったよ」

「あはは、まぁ魔法学だと確率はほとんど役に立たないから、その辺間違えても仕方ないかもな」

「くぅ、ライナス様のお慈悲の言葉が心に染みます・・・」


 そう言って大げさな反応を取るロメオ。しかし他の皆からしてみると早く会議を進行してくれというのが疑わざる本心であった。この会議が開始されたのはそこそこに遅い夜であったため、もうすでに深夜と呼んでも差し支えない時間帯となっているのだ。

 現にラガルトとアリナに至っては余りの眠気にほとんど目が開いていない。もう良い子は寝る時間なのである。


「ロメオ。とっとと進行して頂戴。寝不足は美容の敵なのよ」

「ははっ、手厳しいですねウルスラ様」

「笑っとる場合か。早くせんか」

「そんなに言わなくてもいいじゃんか・・・」


 リンダの発言にそう愚痴を漏らすロメオ。尤も彼としてもとっととこの会議を終わらせて、途中で切り上げてきた研究に帰りたい所であったため、それ以上文句を言う事無くおとなしく会議の進行へと移った。


「では今年度のギルレオン建国祭におけるテーマを決めていきたいと思います。何か案がある人は?」

「ふむん、毎度の事ながら中々に難しい・・・。かく言うお前は何か案は無いのか?」

「無いですよ。司会やってるんだから当然でしょ」

「その理屈は意味が分からんが・・・。まぁ案が浮かばないというのは同意見であるな」

「我も特に思い浮かばんな・・・。そうだ、リュート殿はいかがです?」

「まぁ無くは無いですね」

「お!?本当ですか!?」


 リュートの発言にロメオが喜色立つ。実は会議が一番紛糾するのがこのテーマ決めなのだ。このテーマこそが、建国祭で行われる全ての行事の基礎になると言っても過言では無いのだから仕方ないと言える。


「さてリュート殿。そのテーマというのは?」

「異文化交流なんてどうでしょう」

「異文化交流ですか・・・」


 そう言ってロメオが物思いに耽り始めた。実は数年前のギルレオン建国祭において、異文化交流というテーマの下に祭りが開催されたことがあったのだ。


「実は異文化交流というテーマを数年前に使っちゃったんですよね」

「あえ?本当ですか?」

「うむん。キルクルス三国の特産物を一堂に会させてもらった」

「キルクルス三国ってことは本大陸の方は?」

「それは無かったな」

「だったら大丈夫でしょう」

「大丈夫?大丈夫ってまさか!?」


 リュートの反応を聞いてある結論へと至ったロメオが、思わずといった様子で叫ぶ。


「そのまさか。魔王連中にも協力を要請しようかと思ってます。流石にこれは歴代の国王達でもやってこなかった事ですよね」


 名案思いついたりとうきうきした表情でそう提案するリュート。

 実際歴史を振り返ってみてもその様な計画が建てられたことも実行に移された事も無かった。魔王という存在は人間達にとっての恐怖の象徴なのだから当たり前といえば当たり前である。

 しかし今もそうかと言われればそれもまた違う、少なくともこの場にいる彼らは魔王を皆一様に恐怖の象徴として見做す様な事はしていない。何故ならこの場にいる心優しき魔人は魔王だから。故に魔王という理由だけで一括りに考えるのは間違っているというのがこの場にいる者達の共通認識だったのだ。


「確かに歴史を振り返ってみてもその様なテーマの下で祭りが開かれた事は無かったな。まぁ思い付いた所で実行されることは絶対に無かっただろうがね」

「けど今はリュートさんがいらっしゃるもんね。もしかしたら本当に実現できるかもしれない・・・」

「うむん。ソーニャの言う通りである。それにこのテーマの下に建国祭を実行出来たのなら、ギルレオン史上最高の祭りとなる事はほぼ間違いないだろう」


 会議室でリュートへの賛辞が飛び交った。彼はそれを受けて嬉しそうに顔を赤らめる。

 しかしその意見に難色を示す者がいた。執行委員長ロメオ・アズリアである。


「いやまぁ私も素晴らしい案ではあると思いますよ。ですがそれをやろうものなら私の仕事量がとんでもない事に・・・」

「だから何だ?」

「貧乏くじ引いたんだから黙って働きなさいな。この場にいる者達の大半がリュート殿の意見に賛成なんだから、あなたのそのくだらない反論は何があっても通らないわよ」


 しかし執行委員長の意見に賛同する者は誰一人としていなかった。

 当たり前だ、仕事が嫌だからという理由だけでこの素晴らしい案を却下するなどどう考えても有り得ないのだから。そもそもロメオは滅多に真面目に働かないので、偶には一生懸命に働いてくれというのがこの場にいる数人達の願いだったのである。


「じゃあ分かりましたよ。今年はキルクルス三国含め、本大陸の国も含めた異文化交流がテーマで宜しいですか?良いと思う人は拍手をお願いします」


 ロメオの発言を聞き皆一様に拍手を行う。つい先程まで眠っていた二人もいつの間にか目を覚まし、他の人に倣って拍手を行い始めた。

 何で拍手しているのかは分かっていない、けど取り敢えず拍手していた。人間はそういう生き物である。


「じゃあテーマはこれで決定、今日の会議はここまでで。明日の昼にもう一度会議を行いましょう。そこで建国祭で行う催しについて詳しく話し合う事にします。メンバーについては別途連絡させてもらいます」

「承知した。所でゴケンコウとショクチェンドゥには前もって伝えておいた方が良い気もするが、どうしようか?」

「じゃあそうしておきましょうか」

「分かった。では大使を通じて前もって伝えておこう」

「じゃあよろしくお願いしますね。それじゃあ本日は解散です、お疲れ様でした」

「「「「「「「「「お疲れ様でした」」」」」」」」」

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