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とある魔王の無双譚  作者: azl
諸外国との交流
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ペルティーダへ

すけべな話書いてるときに一番筆が乗る。


*あらすじ:いざペルティーダへ

 ペルティーダ共獣国は深い渓谷に囲まれた熱砂の大地に建つ獣人達の国である。その首都はオアシスを中心として築かれおり、石とレンガ造りの建物が迷路のように建ち並んでいるのが特徴だ。

 前述したとおりペルティーダは過酷な地に建つ国家であるため、その食料を自らの国だけで補い切るのは非常に難しい。故にその食料の内訳は隣国であるチョウアンからの輸入品が大部分を占めており、食料自給率は他の国と比べてみてもかなり低い数値を記録している。


 ただし食料以外の資源は中々の物だ。特に有名なのは宝飾類であろう。ペルティーダを覆う渓谷には幾つもの坑道が築かれており、そこで産出する様々な宝石は世の金持ちを魅了する魔性の宝となっていた。

 そして香辛料の栽培も盛んである。他国に輸出される機会はほとんどないため知名度は宝石ほど高くは無いものの、この香辛料を使ったペルティーダの郷土料理は”美味い”と各国の食通の間で実しやかに囁かれている。


 昼は酷暑で夜は極寒、そんな過酷な環境に置かれながらもペルティーダは、砂漠に残るどんな伝承の国々よりも大きな発展を遂げてきた。

 そしてそれは民に英雄と称される名君ルーのおかげでもある。

 かつてペルティーダに現れた災禍の魔人、家族や同胞が討たれながらも挫けること無くそれと戦ったルーの勇姿は、語り手によって脚色されてペルティーダの少年少女達に御伽噺として語り継がれている。

 英雄の下に栄える砂上の都市ペルティーダ、その街並みと人民の営みは宝石の如く美しい。



 ペルティーダを覆う深い渓谷に架けられた石造りの橋、そこを渡りしばらくするとペルティーダの街並みが見えてきた。石とレンガで作られた建造物群はなんとも情緒を感じられる佇まいである。


「綺麗な街並みだな」

「だろ? ちなみにペルティーダに関所は存在しない、だからスムーズに入国出来ると思うぜ」

「夕飯時だからそれは助かるな。だけど関所が無いって結構不用心じゃないか?」


 ルーの発言にあてられて確認してみると、確かにギルレオンやチョウアンにはあった関所が何処にも見当たらなかった。これじゃあ危険人物が入り放題な気がするんだけど。


「獣人は鼻が利くから変な物を持ち込まれてもすぐに気が付くんだよ。んでそいつが武器を持った危険な奴だったとしても問題は無ぇ。なぜなら俺達獣人は強いからだ」


 そんな俺の疑問にそう答えるルー。不用心だと思ってたけど結構自信満々にそう言い放っていた。だけどかなり穴の多い論理な気がするんだけどな、例えば個体差だとかが丸で考慮されてない。


「むむむ、個体差とかありそうだけど・・・」

「当然ある。が、子どもならともかく大人の獣人が人間に負けるなんざありえねぇ。その辺にいる大人なら誰でも対処出来るだろうぜ。んで同族の獣人だったら確かにちょっと怪しいだろうけど日和る奴はいねぇだろうな」

「え? 獣人って武器を持った危険な奴に日和らねぇの?」

「お前らの感性では不思議に思うかもしれないが、俺達獣人はそう思わないんだよ。元々獣人は戦いを好む種族でな、むしろそういった奴はボコボコにして良いっていう法令が出てるから意気揚々として立ち向かって行くと思うぜ」


 俺の質問にそう答えるルー。

 どうも獣人というのはかなり好戦的な種族だったようだ。尤も普段はそれを束縛する法の下に置かれているため喧嘩が頻発するようなことは無いらしい。

 ただその本能は個体によっては相当に強力なものになる場合もあるらしく、それを発散してやる機会を設けないと駄目だそうだ。そしてそれを発散するための方法がペルティーダでは確立されているとのこと。


「安寧のためには秩序が必要だ、だがかといって抗い難い闘争本能を縛り続けるのは少し申し訳ない。ということで築かれたのがペルティーダの北にある闘技場な。週に一回闘技大会が開かれてて誰でも参加可能、安全性度外視のヤバい祭だぜ」

「ほう、祭りか。青い法被の男を呼んでみたいな」

「誰だそいつ? 人間か?」

「そう、人間」

「じゃあやめとけよ、多分死ぬぜ。獣人でも死ぬんだから人間じゃ生き残れる方が奇跡だ」

「おい、死人が出るのかよ!?」

「偶にな。やってることはただの殴り合いだから、獣人みたいに硬い骨と皮膚を持ってねぇとまぁ生き抜くのは難しいだろうな」


 そう言ってルーがニヤリと笑う。ただあくまで”偶に”なのでそこまで頻発する事例では無いとのこと。まぁそうだったら大分ヤバいので当たり前なんだけどね。


 そしてそんな風な話を聞いていたらいつの間にかペルティーダの街に到着していた。


「さてと、そんなこんなでペルティーダの中に入れたな。城に馬車を停めた後飯を食いに行くから忘れ物が無いようにしといてくれ」

「わかった」


 ルーの喚起にそう返す俺。

 ペルティーダの街並みは遠目で見るよりも近くで見るほうがずっと美しかった。恐らくここでしか見られないであろう独自の建築様式の建物が規則的に立ち並んでおり、ペルティーダの風景に対するこだわりが見て取れる。


 だけどそんな物、俺からしてみれば大したことでは無い。ここペルティーダにはもっと素晴らしいもの、それこそ神が作り出した至高の存在と言っても過言では無いものがあるのだから。


「もふもふ・・・」

「お?」


 異世界風ファンタジーの定番にしてオタクの夢。眼前に広がる光景なのに絶対に手が届くことのないまさに鏡花水月たる神の造物。そう獣人の少女のお尻付近に生える、ふさふさでふかふかの尻尾である。

 女の子×尻尾は最高の組み合わせなんだよね!!マリアージュだよね!!


「へへへっ」

「おい、お前の主が変態みたいな笑みを浮かべてんだが・・・」

「うむむ、なにか良いことあったんでしょうか・・・」


 外野が何か言っているが気にしない。それよりも尻尾だよ、ここペルティーダでは多種多様な尻尾を選り取り見取りで選び放題なのだ。

 やっぱ生で見ると違うね、動きに連動して尻尾が動くのが素晴らしい。特にあの狼の獣人の少女の尻尾はとても良い、歩くたびにもふもふの尻尾が揺れてとてもとても・・・。


「お前さっきから女見てんのか?」

「ちっ、なんだよ」


 だがそんな至福の時間は野郎によって阻止される。全く、夢にまで見た光景なんだから邪魔はしてほしくないものだ。


「お前女がいるんだろ?案外ムッツリなんだな」

「お前と一緒にするんじゃねぇよ。俺はただ尻尾を見てただけだ」


 別に少女に対して性欲の視線を向けていたわけではない。俺は単純に眼前に広がっていた奇跡の光景に心奪われていただけ。だから変態だとかムッツリだとかと言われる筋合いは一切無いのである。


「尻尾だぁ?んなもん見て何が面白いんだ?」

「俺の夢は獣人の尻尾をもふもふした後その中で眠ることなのさ。この世界の住人たるお前からすれば珍しく無い光景だろうが、俺にとっては夢にまで見た光景なんだよ」


 想像するのは容易いのに絶対に手が届かない至高の存在、それが獣人の尻尾。そんな憧れが目の前にあるのだから心奪われてもしょうがないと思うんだよね。


「あぁ? じゃあなんだ、お前はあの尻尾を触りたいがために舐め回すような視線を送ってたと?」

「その通りだよ。何か文句あるのか?」


 俺は開き直ってルーにそう言い放つ。そしてそれを聞いたルーは面白そうに笑った。


「はははっ、正直なのは良いことだぜ。ちなみにお前はどんな尻尾が好みなんだ? ほら、太いのとか細いのとかあるだろ」

「俺はふさふさで大きいやつが好きだな。だって肌触りが良さそうじゃん」

「そうかよ、だったらお前もイズナ争奪戦に参加し無ぇとだな」

「あ?イズナに尻尾なんか無いだろ?」

「それがあるんだな。普段は邪魔だから隠してるんだと」


 はぇ〜、そうなんだ。狐要素が無いって思ってたけどそれは単に隠してただけなんだね。これは良いこと聞いたな。

 ちなみにそういった獣要素を隠せる隠せないの違いが”妖人”と”獣人”の違いそうだ。まぁだからイズナは”妖狐”の”妖人”ということになるね。妖狐ってことは狐の尻尾と耳を持っているのだろうか?


「んじゃあその尻尾は狐みたいな見た目してるのか?」

「その通り、綺麗な毛並みで滅茶苦茶でかい。乳は小さいのに不思議だぜ、ガハハハハ!!」


 こいつ言いやがった!!本人が聞いていたら殺されそうな発言である。

 まぁ俺は優しいのでチクらないでおいてやろう。俺まで巻き沿いくらいそうだからね。


「ま、アイツの尻尾を触るなんざよっぽど気に入られないと無理だろうだろうけどな」

「あぁ、あの人男嫌いだもんな」

「それもあるが・・・、お前さては他人に尻尾を触らせるという意味を理解してないな?」

「え?何かあんのか?」

「あるぞ、なんだと思う?」


 な、何ですか・・・。

 いやまぁ、異世界ファンタジーに生ける獣人の尻尾は、その、大抵はせ、性感帯だし。それってつまりは・・・。


「す、スケベな行為とか?」

「ハハッ、顔真っ赤だぜ。ムッツリかと思ったがそうでもなかったな。んでお前の答えに対する返答は”間違いでは無い”だ。場合によってはその意味を帯びることもある」


 クソ、恥も承知でそう答えたのにルーに笑われてしまった。

 しかし今のが正解じゃないとなると全く案が浮かばないな。”間違いでは無い”ってことは掠ってはいるのだろうか?


「ヒントとか無いの?」

「じゃあヒント、尻尾を触らせるってのは何も好き合ってる恋人同士がやるだけじゃなくて、家族同士で触らせることもある。まぁ親しい間柄なら結構やるんじゃないか」

「あぁ、キスみたいなもんか」

「御名答」


 俺がそう答えるとルーが大きく頷いた。


「今ので良く分かったな」

「まぁ間違いじゃないって言われてたから・・・」

「あ、何? スケベするときにやる行為を思い出してたの? もしかして細かく想像しちゃった?」

「っるせぇなぁ・・・」

「ガハハ、顔真っ赤だぜお前!!恥ずかしいのか? それとも怒ってんのか?」


 あぁ言えばこう言うなこいつ。まぁ俺は寛容な大人なので醜い言い争いはここで終わらせてやった。


「ま、軽く正解を伝えておくと、尻尾を触らせるってのは親愛だとか恋慕とかを表す一種の愛情表現だな。人間で例えるとキスと同じ、だから信用してない奴相手には触らせない。尤も人によって考え方は様々だけどな」

「はぇ〜、そうなんだ」

「その通り。ちなみに尻尾を触るのもキスみたいに色々やり方があってな。厭らしく触ってやると厭らしい気分になってくる。だから俺が嫁の尻尾を触るとぐしょぐしょに」

「言うな!!」


 危なぇなこいつ!!このまま喋らせていたら色々不味そうなのでそう叫んで黙らせておいた。やはりこの男は色好きの変態ドスケベ野郎なのかもしれない。


「ははは、ま、これで俺の言ってた意味が分かったろ?」

「イズナの尻尾を触るのは難しいって話な、十分に理解したよ。確かに彼女が色恋に現を抜かす姿は想像し難いもんな」

「あいつの理想のタイプは白い鎌鼬に乗った王子様だからな。ま、誰よりも速く俺がそいつを捕まえてイズナを手に入れるとするぜ」


 そう言うとルーは歯をむき出してワイルドに笑った。でもその前にお嫁さんを大事にするべきだと思うんだけど。


「お前な・・・。ちゃんとお嫁さんは大事にしてんの?」

「ふむ、まぁイズナが俺の所に来るまでは大事にするとするよ」

「あのなぁ・・・」

「ガハハ。ま、あいつが白い鎌鼬の王子様に憧れている限り、イズナが俺の女になることは無さそうだから安心しろよ」

「どういう意味だよ?」


 俺がそう訪ねると、ルーがその理由について話してくれた。


「鎌鼬ってのはティカルの伝承に登場する言わば架空の生物なんだわ。まぁその伝承について詳しく知ってる訳じゃねぇから鎌鼬についてどうのこうのとは言えないんだが、少なくとも言える事実としてそんな奴に乗れる王子様なんざこの世界にはいないだろってお話さ」

「まぁ確かに架空の存在だもんな・・・」

「だろ?だからお前、至上の尻尾の持ち主たるイズナのそれに触るのは生半端な覚悟じゃ成し得ないぜ?」

「むぅ、じゃあ諦めるか」

「早いな。ていうか尻尾が触りてぇなら手頃な奴捕まえればいいだろ?」

「体目当てみたいで嫌じゃんか」


 ルーの案をそう否定すると、彼は呆れながらもニヤけた。


「ふん、初心な奴だぜ。ま、その感性を大事にしておくこったな」

「言われるまでもないよ」

「ならばいい。さて、そろそろ終点だ、忘れ物が無いようにな」

「分かってるよ」


 馬車は城の門をくぐり厩舎に泊まる。そして俺たちは客車を出た後、ペルティーダの街の中へ飛び込むのだった。

次の投稿は三月十八日です。

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