表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
とある魔王の無双譚  作者: azl
諸外国との交流
84/145

ソーンという脅威2

*あらすじ:秘密を暴露させられました・・・

「・・・なるほどな」


 ルーに洗いざらい吐かされ、吐き終わった後に呟かれたのがその一言である。

 礼を言え礼を、なるほどなじゃないんだよ。


「”至天能力(イデアルスキル)”ですか・・・。これは少しガレオス殿に紹介してみたい事案ですね」


 そしてそれを隣で聞いていたベア王が小さな声でそう呟いていた。

 彼には別に吐けと脅されていないので礼は必要ない、ただ気になるのはそのガレオスという人物についてである。


「そのガレオス殿というのは?」

「”魔法学の父”とも称される魔法学研究家です。今はチョウアン魔法学園を創設した後、その学園長をなされてますね」

「超有名人だよな。ちなみにこいつは物理会のガレオスと呼ばれてんだよ」


 ルーがベア王の方を指差しながらそう言った。どうも王の地位に就くまでは物理学を専攻しその道を突っ走っていたらしい。彼の兄が病気で死ぬことが無ければ、恐らく稀代の物理学者として名を馳せていただろうとルーが言っていた。


「買い被り過ぎな気もしますけどね」

「いんや、それは無いな。まぁ確かにガレオスに匹敵する発見をするのは難しいだろうけど、少なくとも学者として名を残していたのは間違いないだろうよ」


 ルーがベア王の発言をそう言って否定した。

 しかしルーがこう言っている当たりガレオスって人は相当賢いんだな。でも彼って魔法学研究家なんだよね? 魔法学がどうして”至天能力”と関係があるんだろう?


「ところでそのガレオスさんって魔法学研究家なんですよね? それがどうして”至天能力”と関係があるんです?」

「彼は今魔法学から身を引いて能力学に専攻しているんですよ。ただ最近はその研究すら行っていない様子でしたが、もしかしたら再び興味を持たれるかもしれませんので一応ね」

「はぇ~、そうなんですか」

「はい、ガレオス殿はチョウアンの人間国宝とでも称すべき人物です。ですからそんな彼をそのまま腐らせておくのは勿体無いと思うわけですよ」


 なるほどね、そういう意図があったわけか。


「でしたら紹介の件を前向きに検討してくださると嬉しいですね」

「おや? 良いんですか? むしろこっちからお願いしたいですよ」

「えぇまぁ、少し学園というものに興味があるので」


 多分国づくりの参考になると思うのだ。

 国家の基本は国民であろう。そして彼らをより高い場所へ導き得る教育は、より良い国家運用に関して絶対に避けられない物だと思うのだ。

 向こうの世界の手腕がこっちでも通用するかどうかは分からないし、単純にそのガレオスさんと話してみたいという思いもあった。だって魔法だとか能力だとかのスペシャリストなわけだから、謎に包まれているこの世界の真理についても詳しいかもしれないし。


「でしたらチョウアン王朝からそのことについての書面を送っておきます。返事が返ってくるには少し時間が必要だと思いますが・・・」

「待ちますよ」

「でしたら問題ないでしょう」


 うむ、ベア王の返答も聞けたし大満足である。


「じゃあ本題に戻るとするが、”至天能力”には”至天能力”か”究極能力(ウルティマスキル)”でしか勝てないと。となるとチョウアンとユウキの防衛同盟は必須ってことになるよな」

「そうですね、そうしないと対応できませんから」


 そして話は本題に戻る。

 ルーの意見はかなり的を得ていた。”至天能力”や”究極能力”を持つ者なんてそうそういないだろうからその判断は正しい。もしかしたらこの情報の真偽を疑われるかもとも思ったけどそんな事は無くて一安心であった。

 そしてそんなルーの意見を聞いたベア王だが、意外にも事も無げにそう返事を返していた。まぁ最初から俺との間に同盟を結ぶ予定だった訳なのでその点に関しては問題視していないのかもしれない。


「まぁ同盟を結ぶという点に関しては問題では無いですよ。チョウアン側の戦力で防衛するのが絶望的になったのは非常に残念ですが、防衛同盟に関しては初めから結ぶつもりでしたから」

「こっちとしても拒否するつもりは無いです。勿論報酬次第ではありますが」


 こっちは命を懸ける訳なのだから半端な報酬で受けるつもりは毛頭ない。

 尤も明確なラインがあるわけでもないので、この辺の線引きは相手側に委ねられている。まぁチョウアン側が俺に対して舐めた対応を取るとは今の状況を鑑みると有り得ないだろうし、ベア王は聡明な男なのでその辺の判断はしっかりしていると信じている。


「ふむん・・・」

「ははっ、お前でも難しいか?」


 ベア王にそう尋ねるルー。だが以外にも彼はすぐに答えを出した。


「・・・いえ、決めました。金貨五千枚でどうでしょう?」

「は!?五千枚」


 ベア王の発言を聞いてルーが驚愕のあまり叫んだ。

 えっと金貨五千枚ってことは・・・。


「五千万!?」

「えっ五千万枚ですか!?それは少し・・・」

「あっ、違います違います。癖で前世の相当金額に直しちゃったんです」


 五千枚と五千万枚じゃ全然違うからね、困らせてしまって申し訳ない。

 ちなみに五千万枚っていくらなんだ?一万が十の四乗で千が十の三乗、そこからさらに一万を掛ける訳だから・・・。


ー大体五千億ですね。


 あっ!!分かってたのに!!

 まぁ先を越されたものは仕方ない、今更インテリぶっても意味はないだろう。


「では金貨五千枚でいかがでしょうか」

「そうですね・・・」


 契約条件としては申し分ない、金貨五千枚は膨大な量の金である。後は天秤に掛けるだけだ。

 この契約に頷けば俺は人を殺さなければならなくなる、だが拒否すればその必要は無い訳だ。しかしこの問題を無視出来ないのもまた事実、ソーンが領土拡大を繰り広げていればいつかは必ずキルクルス半島にたどり着くだろう。

 ・・・いや、もう決まっていたか。見ず知らずの人間よりも知っている人達の命の方が大切なのだから。


「問題ありません。それでいきましょう」

「それは良かった。ではまた後日書類に署名していただきます」

「分かりました」


 別に待つことに対して不満がある訳ではないのでそう返しておいた。

 まぁその書類を用意している間にソーンによる侵攻が開始される可能性もあるが、多分書類を用意する方が早いだろう。


 さて、これにて大事な話は終わった訳だ。この後は国交関係の話でもするのかね?


「んで、大筋は終わったけどこの後はどうすんだ?貿易関係の話でもするのかい?」

「それはもう少し後で。まずは今分かっているソーンの戦力についての情報をまとめておこうかと」


 俺の疑問をルーが代わりに口にしてくれた。

 確かに情報をまとめておくというのは必要なことだからね。だって戦いにおいて相手方の戦力を知るのは大事なことだから、そうしておかないと作戦の立てようがないのである。


「つってもむずくねぇか?ソーンの情報なんざあるのかい?」

「それに関しては問題ないよ、もうじき彼らがやってくるだろうからね」

「彼ら?」


 ルーが訝しげにそう聞いたその時、会議室の扉がノックされた。


「国王陛下、尋問内容をまとめた紙をお持ちしました」

「分かった、入れ」

「はっ!!」


 そう言って入ってきたのはチョウアンの尋問官だった。その手には何枚かの紙が抱えられている。そしてその紙の内容は先程の会話から察するに捕えた賊から得た情報だろう。


「・・・ご苦労、しばらく休んでおいてくれ」

「はっ!!」


 そしてその尋問官はベア王に書類を渡した後迅速に部屋から立ち去って行った。なんとも練達された仕事ぶりである。


「・・・一読した感じ、かなり有用な情報が得られたようですね」

「おっ、そりゃよかった」


 本当にね、ルーの発言に思わず頷いてしまう。

 意外なことに捕えた賊は黙秘や抵抗などすることなく従順に尋問に対して答えたらしい。俺がかなり痛めつけていたのでそれが結構効いたのかもしれない。

 ちなみにサノスが相手した賊たちは未だに気絶しているそうだ。結構深刻なダメージを負っているらしく、目を覚ますにはもう少し時間がかかるらしい。

 まぁ申し訳無いという気持ちは微塵もないけどね。放っておいたらもっとたくさんの被害が出ていただろうからな。


「ふむむ、かなり色々書いてありますが、一番気になるのはこの体に”古代遺物(アーティファクト)”を埋め込むというものでしょうか」

「え? 危険じゃないんですか? 一歩間違えれば死んじゃいそうなものですけど・・・」

「場合によりますね。現在は医療での使用を目的にした”古代遺物”の開発が進んでいますので一概には否定出来ないのです。そして今回のケースはそれによく似ている、つまり埋め込んでも生命活動には問題ない”古代遺物”なのでしょう。ソーンは戦力増強を目的としたこの”古代遺物”の埋め込みを、末端の兵士たちに義務化していたそうです」

「ほぉ~、知らなかったぜ。だが俺だったら絶対拒むけどな、まぁあの国じゃ個人の意思なんざ関係無さそうだけど」

「ですね。現にあの賊達もこの義務を拒んだ結果、国を追放されたようですし」


 むむむ、そりゃまた強気だな。そんなことしてもデメリットの方が大きい気がするけど。


「えぇ、本当なんですかねそれ? そんなことしたら兵力が落ちそうなものですけど・・・」

「それに関しては私が叩きのめした賊も同じことを言っていましたので、間違いない情報でしょう」


 おっと、俺の疑問にサノスがそう言って答えてくれた。

 となると所謂選民みたいな感じなのかもしれないね、ソーンからしてみれば従順な兵士以外必要ないのだろう。

 そしてその兵士たちの勢いが増したのもほぼ間違いなく”古代遺物”の影響だと思われる。


「じゃあ兵士達が勢いを増したのは”古代遺物”の影響と判断しても間違いないかもしれませんね。しかしこちら側から言い出しておいて何ですが、本当に大丈夫なんですかね?」

「問題無いですよ。何とかします」


 ベア王が不安気に覗き込んできたのでそう返しておいた。

 しかし今まで通り楽観視を決め込める問題でもないのもまた事実である。”至天能力”の登場に”古代遺物”によって強化された兵士達、俺も本格的に訓練を始めた方が良いかもしれない。


「我が軍も動きはしますが、まぁその辺は実際に直面した時に決めましょう。それでサノス殿が相手したという暗牙衆ですが確かに実在する組織だそうで、ソーン軍における最強軍団としてその名を轟かせていたそうです」

「・・・ふむ、大したこと無かったですがね」


 おっと、中々に自信満々だなサノス君。でも負傷はしていたので絶対に気は抜かないよう釘を刺しておかなければ。


「でもお前怪我してただろ?大したこと無いってのは無いだろ」

「・・・確かに能力は強力でしたね。発言を訂正させていただきます」

「む?能力は?」

「はい。実力は大したことはありませんでした」


 サノスの発言が少し気になったのでそう聞いてみた。

 曰く”超直感”が通用しなかったので一発食らってしまったそうだが、サノスが敵の位置を把握し接近戦に持ち込んだ後はほとんど一方的な試合となっていたらしい。

 しかし”超直感”が通用しなかったのか。となると相手も”特質能力”を持っていたのかな?


「じゃあそいつも”特質能力”を持っていたのかもしれないな」

「同意見だな。その”超直感”が”特質能力(ユニークスキル)”を主とする物なのなら、相手方が持っていた”特質能力”は隠密系の能力と見て間違いないだろう。まぁさっきまでの話を含めると”至天能力”だとか”究極能力”だとかの可能性もあるわけだが、それを持ってる奴が”大したこと無い”はずがないからな」

「確かにその通りだな。ところでサノス殿、その暗牙衆の男は他に何か言ってませんでしたか」

「言ってました。以前チョウアンに潜伏していた諜報員の名はセクンダというそうです。尤もそいつの口から聞いた情報なので、絶対に正しいとは言い切れません」


 ベア王の問いかけにサノスがそう答える。

 しかしそう安易に隠密の名前をばらしたりするものかね?


「ただそう簡単に隠密の名前を漏らしますかね?それとも漏らしても良いから漏らしたのか・・・」

「或いは単純な嘘だったのかもな。そのスリスというやつ、他になんか特徴は無かったのか?」

「・・・確か気を失った後顔が霞がかってましたね」

「「何!?」」


 サノスの発言に反応を見せたのはベア王とルーの二人である。

 一体どうしたのだろうか?


「どうかしましたか?」

「いや、そのセクンダも顔が霞がかっていたんですよ」

「ふむ、じゃあそいつも同じ”能力”を持っているって事ですかね?」

「・・・そう考えるべきでしょうね」


 そう呟きベア王が物思いに耽り始める。

 しかし同じ能力か。まぁ有り得なくはない説だもんな、全く同じってのは考え難いけど同じ系統の能力なら十分にあり得るし。”赫イ智慧”はどう思う?


ーその説もあり得ますがそれとは別に、何らかの個人が他人の顔を自由に変えられる能力を所有している可能性もあります。


 俺の質問にそう答える”赫イ智慧”。じゃあ何、頑張って顔を覚えたところで意味がない戦士達を無限に産み出せるってことか?


ー変える対象の許可や代償の魔素は必要になるでしょうが、概ねそういう意味です。


 マジかよ、でもあり得る説だよな。仮に身内の顔に化けられるなら大分ヤバそうだ。これは他の人達にも共有しておいた方が良いかもしれない。


「もしかしたらその二人が似た能力を所有してたんじゃなくて、ソーン大帝国に他人の顔を自由に変えられる”能力”を所有する者がいる可能性もあります」

「・・・有り得なくなさそうだ。一応この二つの線で話を進めておきましょうか」


 ベア王がそう纏めこれにて一旦の結論が出たかと思いきや、最後に彼が尋問で得られたある情報を補足した。


「少し最後にお伝えしておくことがあります。どうも置かれた環境に大きな変革があったのは末端の兵士達だけではないようで、彼の国の精鋭達、即ち序列上位の者共、闘星の環境も大きく変化しているようです」


 序列、そして闘星、前後の文から察するに軍団内の強さの順位なのだろうか?


「その闘星というのは強さの順位と考えていいんですかね?」

「そうなります」


 俺の質問にそう答えたベア王。そしてその後闘星の変化についての詳しい情報を補足した。


「闘星とは一から十二位で成るいわば戦士たちの階級ですね、一般的に十三位までが序列でそれより上が闘星と称されるそうです。そしてこの闘星の六番から上はここ数十年程一切の変動が無かったのですが、ミツヒデの就任と同時に大きく変わったとのことです」

「変わった? ミツヒデが何かしたんですかね?」

「分かりません、ただ新しい異世界人が現れた事に関係があるんじゃないかとあの賊達は考えているようです」

「なるほど、少し動向に気を付けておきたいですね」


 むむむ、異世界人ですか・・・。可能であれば気に掛けたい所ではあるな。

 当然敵として出会ったなら容赦するつもりはないが交渉くらいはしてみても良いかもしれない。


「異世界人、同郷の方がいるかもしれませんので難しいかもしれませんが、油断だけはしないよう気を付けて下さい。なお一闘星であるフィストだけは依然として頂点に君臨しているそうです」

「なるほどな。ま、いずれにせよその異世界人たちが数十年変わってこなかった闘星の序列を変えたって事を鑑みるに、そいつらがべらぼうに強い奴ってのは間違い無ぇだろうから注意しておかないとだ」

「だな」


 ルーの発言に頷き返す俺達。

 しかし困ったな。これは俺だけじゃなく俺の仲間達にも質の良い訓練を提供する必要があるかもしれない。

 彼らも自発的に訓練を行っているとサノスが言っていたが、もう少し効率的に行いたい所ではあるのだ。


ーでしたら”魔王の盾”及び”能力付与”を使用して戦力の底上げを行いましょうか?


 そしてそんな俺の呟きに答えたのが”赫イ智慧”である。

 そういえばそんな”能力”もあったな。やっておきたい所ではあるがそれはまた後日、そういうのは許可を取ってからやりたいからね。

 まぁ出来るのならこの場でやりたい所ではあるが、この会談の場で自分の能力について話すのも良くない気がするし、”念話”も場合によっては盗聴される事もあるので念には念を入れておきたいのである。


 ちなみに”魔王の盾”と”能力付与”の違いって何なの?


ー”魔王の盾”は貸借、”能力付与”は永続的な付与です。どちらを適応するかは対象となる能力との相性で選ばれます。


 なるほど、用は誰でも能力を行使できるって訳では無いってことか。そしてその能力を十分に扱えるかは対象のセンスによって異なってくると。


ーその通り。なお後者の方が実行には時間がかかります。


 まぁそれもそうだろうな、しっかり刻み付けるわけだから当然だろう。


「さて、ソーンのお話はこれくらいにして次は国交関連に移りましょうか」


 そして情報をまとめ終わったその時に、会談も次のステップへ移行した。

次の投稿は未定です。今週中に一回はします。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ