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とある魔王の無双譚  作者: azl
諸外国との交流
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飯を食うお話<チョウアン>

*あらすじ:チョウアン城で昼食をご馳走になろう。

 案内されたチョウアン城、その中は事前に聞いていた通り贅の限りを尽くした内装となっており、黄金の国ジパングが実在したならこんな感じなのかなぁと思ってしまうほどであった。

 そしてそれは食堂の装飾も例外ではない。見渡す限りの壁には金箔が張られており、天井に吊り下げられたシャンデリアの光を反射して黄金色に煌めいていた。

 ていうかこの様子だと食器もキラキラしてそうだな。俺みたいな貧乏人にはちょっと敷居が高く感じられる。


「聞いてた通り、本当に豪華ですね」

「そうでしょう? まぁ私としてはもう少し落ち着いている方が好きなんですがね」


 おや、どうやらベア王はもう少し落ち着いている方が好きだったらしい。

 ロイド王も華美すぎるより少し落ち着いている方が好きだったはずなので案外感性は似ているのかもしれない。

 となるとこの城や馬車は先代の趣味ってことになるのだろうか。


「ほう、そうなのか。まぁ俺様はこのくらい派手な方が好きだぜ。お前の先代もそうだったし、チョウアンの血筋にしては珍しい感性してんな」


 やっぱりそうだったらしい。ルーが少しびっくりしたような顔をしている。

 しかし先ほどの発言を鑑みてみると、やはりチョウアンとルーの付き合いは長そうなんだよな。しかし一体どのくらい長いんだろうか?


「なぁ、おまえってどのくらい」

「皆様、お料理をお持ちしました」


 おっと、本人に聞いてみようと思ったらちょうど料理が運ばれて来た。

 まぁ聞こうと思えばいつでも聞けるし、また今度聞いてみることにしよう。最悪古代遺物(アーティファクト)を使えば聞けるしね。


「今日の献立はチョウアンの特産品で作らせてみました」


 ベア王の発言を聞きながら運ばれてきた料理を見てみる。

 そこにあったのは牛乳、黒豆のサラダ、そしてピザである。

 このピザは多分マルゲリータピザかな?あまりピザに触れる機会は無かったのでよく分らないけど、多分正しいと思う。

 ちなみに皿はあまりキラキラしていない。でも装飾は中々に派手なので高そうではある。


「ピザですか。久々に見ましたね」

「おや、ご存知で?」

「はい、前世で少し」

「前世?」


 あれ?ベア王は俺が転生者だって知らなかったのかな。てっきりルーから聞いているかと思ってたよ。


「そういや伝えてなかったな。こいつは死んだ後こっちに来た所謂転生者ってやつなのさ」

「え?マジですか!?」


 ベア王が興奮のあまり口調が取り繕えなくなっている。だがそれにすぐ気が付いたらしく、咳払いをして謝罪の言葉を口にした。


「こほん、失礼致しました」

「良いですよ、気にしてないです」

「はは、お前は心が広いからな。ちなみに今はリュートって名乗ってるが本当の名前はユウキらしいぜ」

「え!?初耳なんですが!?」


 あれ!?思ってもいない所からそんな発言が飛んできたぞ!?

 その出処は後ろに控えていたサノス、てっきり一回伝えたものだと思ってたんだけど・・・。


「言って無かったけ?」

「初めて聞きましたよ。多分ヨミとテスラも知らないと思います」

「あれ~?そうだったかな・・・」


 う~む、まぁサノスがそう言うならそうなんだろうな。まぁ知らなくても問題は無いと思うけど、帰ったら一応伝えておこうかな。


「うし、じゃあそろそろいただこうか。大分腹空いてんだよ」


 ルーがもう我慢できないといった様子でそう叫ぶ。まぁ長話もなんだしそろそろ頂くとしようか。


「いただきます」


 まず頂くのはこのマルゲリータピザかな。給仕さんがピザカッターで上手く切り分けてくれたので、かなり食べやすいサイズになっている。


「うむ、私は初めて食べましたがとても美味しいですな。リュート殿はどうです?」

「はい、とても美味しいです」


 一口食べてみたのだが食感といい味といい、申し分ない出来だった。

 そしてこのカリカリモチモチの生地部分も中々だが上に掛けられたチーズとケッチャプも中々に美味い。双方共に上手く調和しており、相乗効果となって奥深い味がする。


「特にチーズとケッチャプが俺は好きですね」

「はは、そう言って貰えると嬉しいですね。実はチョウアンは野菜や果実といった農耕だけでなく、それらを活かした酪農も盛んなのです」


 俺の感想にベア王がそう返してくれた。

 そう言えば飼料にトウモロコシを使う事もあるんだっけ?いまいち覚えていないがそんな話を聞いたことがある気がする。

 しかし酪農も盛んって事はこの牛乳もチョウアン産なのかな?


「じゃあもしかしてこの牛乳も?」

「お察しの通りチョウアン産です」


 おぉ、やっぱりか。どうも牛乳やチーズといった酪農品が輸出される事はほとんど無いらしく、チョウアン国内でのシェアは高いが他国ではそうでもないと言っていた。

 どうも保存が難しいらしい。まぁ多分低温殺菌法だとかコールドチェーンだとかが上手く発達していないからだろうね。でもまぁこの世界には魔法を活かした魔法道具があるのでやろうと思えば出来なくも無い気がする。


「ふむん、牛乳を飲める機会なんざ農場に行かねぇ限り滅多に無いからしっかり味わっておけよ?」

「はは、だな」

「そういう割にはお前そこまで味わって飲んでないだろ」

「はん!!俺は酒の方が俄然良かったぜ!!」

「「会談の前から飲ませる訳無ぇだろ!!」」


 この男は一体何を言っているのだろうか。思わずベア王とシンクロしてしまったよ。


「はは、軽い冗談さ」

「嘘こけ、絶対本気で言ってただろ」


 間違いを正した所で牛乳に口を付ける。

 美味い、甘いしコクがあって飲みやすい。多分牛乳嫌いな人でも行けそうだな、俺は牛乳嫌いじゃないので上手く批評することは出来ないけど多分飲めると思う。


「この牛乳美味しいですね。喉越しが良い」

「確かに久しぶりに飲むと美味ぇな。でもやっぱ酒のほうが良かったわ」

「あのな・・・」


 ルーの奔放な発言に呆れた笑みを浮かべるベア王。俺はそのやり取りを横目に見つつ黒豆のサラダにフォークを伸ばす。


「この黒豆もチョウアン産ですか?」

「そうです。この野菜は今朝採れた物ですので鮮度も抜群ですよ」

「なるほど、そりゃ美味しそうだ」


 ベア王にそう返しサラダを頂く。

 聞いていた通り瑞々しくてとても美味しい。それに食感も良い感じ、シャキシャキとカリカリが良いアクセントになっている。


「食感が良いですね、これ」

「おや?分かりますか?」

「えぇ、もとになった野菜がかなり良いんでしょうね」

「うむ、我が国の物も中々だと思うがこれもかなり良いな」


 ロイド王が思わずといった様子でそう漏らす。そしてその発言をベア王は嬉しそうに聞いていた。


 そしてその後はチョウアンの料理に舌鼓を打ちながら、無言でその昼食を完食したのだった。

次の投稿は三月三日二十一時です。

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