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とある魔王の無双譚  作者: azl
諸外国との交流
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チョウアンへの船路

 ブックマーク登録ありがとうございました。


*あらすじ:チョウアン行きの船にベア王が乗り込んでいるらしい・・・。

「すみませんでしたっ!!」


 俺とロイド王の眼前に、腰を九十度曲げる若い男の姿があった。俺達が乗組員さんに案内されて部屋に入るや否や、彼はそう叫び謝罪したのである。そしてこの謝罪をする男こそが、チョウアンの王ベア・チョウアンだった。

 ロイド王から事前に聞いていたが、思ったよりも若かった。少し痩せていて童顔、あまり目立たないシックな服装をしている。


「ベア王よ、王族がそう簡単に頭を下げない方が・・・」

「重々承知しています」


 ロイド王がそう指摘したが彼の態度に変化はなかった。依然頭を下げた姿勢を取り続け、それはロイド王が容認の意を表するまで続いていた。


「相分かった、謝罪を受け入れよう」

「すいません、ありがとうございます」


 ベア王がほっとした表情で顔を上げた、心の底から安心してそうである。

 しかし何故チョウアン側はギルレオンを遠ざけるような対応を取ったんだろう。聡明な王と聞いているのでそれなりに考えた故の行動だと思うけど・・・。


「あの、何であんな対応を取ったんです?後々厄介なことになるって分かりそうな物ですが?」

「それに関しては私の経験不足です」


 俺の質問にベア王はそう返し、説明を続けた。


「チョウアンの統帥権は、そのほぼ全ての権力を軍部大臣が持つことになっています。そしてその軍部大臣がいつの間にか暗殺されて、ソーン大帝国の人間に成り代わっていたのです」

「それには気が付かなかったんですかね?」

「気が付けませんでした。政治体制の立て直しのために皆一心に働いていましたから、そこまで気を回すことが出来なかったんです。そしてそんな中に飛び込んできたのがソーンによる侵攻、暗殺された軍部大臣はベテランでしたから、それに関する全ての問題を彼とその周囲の人間に任せようという話になったのです」


 なるほど、忙しくて気が回らず、降りかかった問題の判断を軍部大臣に委ねたわけか。

 しかもその委ねる人物は結構なベテランだったと。多少無理があった案だったとしてもそれには理由があるのだと周囲が勝手に勘違いするわけだ。

 ただベテランなら顔を見れば違うって分かる気もするけどね、それとも顔は変わってなかったのかな。


「顔の変化はなかったんですか?」

「はい、無かったです」

「なるほど、じゃあどうやって気が付いたんです?」

「昨日ルーが指摘してくれたんですよ、ただその後に成り代わった人間が姿を消してしまって詳しい事は分からないんです」


 ほう、ルーが気付いたのか。そういや城にいるって言ってたな、多分その時に気が付いたんだろうね。

 だけど何で気が付けたんだろう?顔に変化がなかったなら猶更だ。


「あの、ルーが何で気が付いたのかは分かりますか?」

「当人曰く鼻が利くからと・・・」

「鼻、ねぇ・・・」


 絶対嘘ついてるよね、そもそも顔を変幻自在に変えられるやつが、自分の匂いも操れないとは思えない。

 さて、姿が消えたという点を鑑みると、恐らくはそれ関係の権能を有する”能力”、あるいは転移魔法ーすなわち空間魔法ーのどちらかを使ったと思われる。

 ただどっちにしろその成り代わっていた人間が手練れなのは間違いない。転移魔法は相当に高度な座標計算を行う必要があるし、”能力”だったとしたらその”能力”は非常に強力なものだと推測出来る。


 ちなみに空間魔法は水、風、力魔法の応用のわけだが、これを扱うにはこの三つ全てに対するそれなりの練度が求められる。

 だから空間魔法などの”複合魔法”は名が知られ渡ってはいるものの、その使用者自体は非常に少なくなっているそうだ。


 さて、それらを踏まえた上でちょっと考えてみようか。

 人の姿を別人に見せる、これは幻覚魔法か”能力”によるものだと”赫イ智慧”が言っていた。

 でもそれが特定に繋がる情報に成り得るかと言われたら頷くことは出来ないな。ていうかしたところで意味もないか、結局たどり着けるのはその成り代わった人間が手練れだと言う事実だけだろうからね。実際誰にも気づかれずに成り代わるなど常人技ではないのである。


「ちなみにその軍部大臣は強かったんですかね?」

「はい、我が国でも上位に類する強者でした」


 なるほど、こりゃ警戒を一層強めないといけないかも。多分俺達の仲間に紛れ込んだとして、それに気が付けるのは俺くらいだろうからな。今はまだ俺たちに敵対するメリットはないだろうが、この先もそうとは限らないので心には留めておいた方が良いだろう。


「ふむん、であれば少し警戒を強めねばならないな」

「ですね、所で今日の会談では何を話し合う予定なんですか?」


 先程の話題に一区切り付け、俺はベア王にそう問いかけた。


「それも重要な話題ですね。今回の会談で提案させていただく議案は二つあります。一つはギルレオンとの友好条約、そしてもう一つがリュート殿が起こす国家と結ぶ軍事同盟及び友好条約締結の約束を結ぶ提案です」


 なるほど、事前に考えていた通りだな。

 問題なのは何処と結ぶかである。俺か、それとも我が国にできるであろう軍隊か。


「なるほど、では一つはっきりさせていただきたい。その軍事同盟は”俺個人”を目的とする物ですか?それとも俺の国で作られるであろう”軍”を目的とするものですか?」

「・・・流石は魔王、この世界における理をちゃんと理解している」


 俺がそう聞き返すとベア王がそう呟いた。となると答えは・・・。


「我々はリュート殿個人、ひいてはリュート殿が選抜する強者たちとの間でのみ同盟を結びたいと考えています」

「なるほどね、だったら報酬次第で考えることにしようか」

「分かりました、ではその報酬については会談の中で考えましょう」

「だな」


 聞いておきたいことは聞き終わったちょうどその頃、甲板の方から声が聞こえてきた。


「陸が見えてきたぞ!!うまく風にのって港へ運べ!!」


 その声は長かったようで短い船旅を告げる叫び声、俺達はちょっとした話し合いを終え甲板へ向かった。



「おぉ、すげぇ!!」


 水平線の先に広がるのはチョウアン最大級の港、シーカイの街並み。レンガ造りの倉庫と超巨大なガレー船が何艘も停泊しており、まさに貿易の中心地って感じがした。

 そしてその港に近付いていくごとに、チョウアンが霊峰国と呼ばれる理由も明らかになってくる。


「大きな山ですね」


 見上げるほどに大きく、美しい山だった。

 山頂に広がるは白銀の雪、その下には秋の始まりを知らせる紅葉と楓。その様はまるで赤黄色のドレスを纏う淑女のよう。


「あれが我々が崇拝する山、エンバリ山です。今はまだ見えませんが、あの周囲に低い山が連なる低連山地帯があります」


 景色に見入る俺達にベア王がそう説明してくれた。

 しかし本当に綺麗な光景だった、会談もいいけどそれが終わったら観光もしてみたいな。


「皆様、もうじきに港に着きますので準備をよろしくお願い致します!!」

「分かった」


 船乗りさんの呼びかけにベア王がそう返す。

 ま、観光もいいけどまずは会談だね。しっかり気を引き締めていこう。


 ちなみに今回全く会話に参加しなかったリンダさんとサノスだが、リンダさんに関しては他の船員さんたちと一緒にガレー船の櫂を掻きに言ったそうだ。全く衰えを感じさせないね、結構なお年のはずなんだけど。


 なお、サノスくんに関しては船に乗り込むや否や船酔いを起こして医務室に運ばれてしまった。俺達がベア王の部屋に行くまでに五分と掛からなかったはずなのだが、その一瞬のうちに船酔いを起こしてしまったのである。

 まぁ俺も乗り物酔いはしょっちゅうしてたけどここまで酷くはなかったね。これからチョウアンの首都に行くために馬車に乗るわけだけど、大丈夫なのかな?

 チョウアンの首都につくには後二話かかります。

 ちょっと設定周りがごちゃごちゃしてきたので、建国祭編に入る前に設定をまとめておこうかと思います。多分幕間の後に入ると思います。


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