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とある魔王の無双譚  作者: azl
諸外国との交流
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会談前夜2

今日は二話投稿です。

*あらすじ:明日はいよいよチョウアンです。

 不帰の森からギルレオンに着く頃にはもう日はすっかり沈んでしまい、月が少しづつ顔を出しつつあった。

夕食を取るのに良い頃合いだったので、サノスと一緒に食堂に向かうことにした。


「サノス、食堂で夕食を取ろう。んでその後にちょっとロイド王の部屋に行こうじゃないか」

「畏まりました。しかし何故ロイド王の部屋に?」

「チョウアン王について知っておきたいからだな。情報ってのは結構大事だから」


 情報を制する者が戦いを制す、全部が全部そうだとは言わないが大抵の戦いで通用する格言だろう。尤も腹が減っては戦は出来ぬともいうもので、しっかり腹ごしらえをしてからロイド王の部屋に向かうことにした。

 そしてその夕食の後。


「というわけでチョウアンの王についての情報を教えてくれませんか?」


 俺達はロイド王の部屋にあるソファに腰かけ、彼にそう問いかけた。


「ふむん、ベア王についてだな。とはいえ我もそこまで詳しいわけではないのだよ」

「あれ?そうなんですか?」

「うむん、死んだ前王とは付き合いが長かったのだが新王とはそこまで関わっておらなんだ」


 曰く、チョウアンの前王であるボア王とはそれなりに親しくしていたそうだが、彼は若くして病気で亡くなってしまったらしい。その後を継ぐようにして国王となったのが彼の弟であるベア王なのだが、幾分彼が国王の地位に就いている期間は然程長くは無いため、ロイド王も彼のことはそこまで詳しくは知らないそうだ。

 尤も関りが無い訳ではないらしく、彼の人となりを簡単に説明してくれた。


「齢二十代前半にしてチョウアンの頂点に鎮座する若き国王、切れ者だが若干独断専行のきらいがある。その難儀な性分のせいで齎されたのが現在のチョウアンとギルレオンの関係なのだ」

「なるほど、そういえばチョウアンってどれほどの規模の国なんですかね?」

「ソーン大帝国を除いた人類生息圏の中で、最も大きい国だよ。冒険者ギルド本部に魔法学園、多種多様な人材と文化が彼の地で生まれておるのだよ」


 なるほど、いわばローマみたいな国の様だ。

 全ての道はチョウアンに通ず、みたいな。


「ただまぁ気になるのは会談で何を話し合うかですよね。このタイミングでの話し合いってことは友誼でも結んだりするんでしょうか?」

「ふむん、それもあるでしょうな。ただリュート殿を会談の場に呼んだことを鑑みると、彼らの一番の狙いはチョウアン・ペルティーダ間の二国関係の間にリュート殿の作る国を入れ込むことだと思うぞ」

「なるほど、しかしその狙いは何なんでしょうか?ルーに対して資源の話をした覚えもないですしね」

「むむ、確かにそうだな。我ら三国の狙いは新たなる貿易中継点の確立だった。だが確かに彼らにとってのメリットはあまり無いように思えるな」


 俺たち二人はそうやってうんうんと頭を悩ませる。しかしその場にいたもう一人の男がさも簡単な事であるかのように口を開いた。


「私は単純にソーン大帝国に対する抑止力が欲しいだけだと愚考しますが」


 サノスがそんな風な意見を口に出したのだ。一応的を得た案ではあるのだが幾つかの見落としも否定出来ない気がするぞ。


「いやまぁそれもあるかもだけど、キルクルスとチョウアンは結構離れてるぞ」

「だな、軍を派遣するためには海を渡らねばならんし・・・」

「いえ、抑止力というのは我らゴブリンのことではなくリュート様個人のことです」

「え?俺?」


 不思議に思ってそう聞き返すと、サノスが分かりやすく説明してくれた。


「おそらく我らゴブリンが束になってリュート様に挑んだとしても、よくて傷を一つ付けられるかどうかでしょう。つまり我らゴブリンよりもリュート様の方が強いのです。それにリュート様は空を飛ぶことが出来ますし、転移魔法を使うことも出来る。ですので海を渡るとかそういった常識にとらわれる必要が無い訳です」


 幾ら数を集めてみても、真の強者には届かないわけだ。実際ゴブリンが束になっても赤髪の魔人には敵わなかったという前例がある。

 ベア王とルーが俺のことをどこまで知っているのかは分からないが、サノスの意見を鑑みるとそう言った意図もあり得るのかもしれない。


「なるほど、確かにありえん話ではないな。しかし仮にその推論が真実だった場合リュート殿はどうするつもりなのだ」

「飲まれるつもりです、勿論見返りは要求しますがね」

「ふむん、まぁそれが良いだろうな。他国の政故あまり口を出すつもりはないが、しっかり反芻したうえで結論を出すようにな」

「重々心得てます」


 俺がそう返すとロイド王は満足げにほほ笑んだ。

 とはいえどんな話し合いをするのか知っておきたいところではあるし、それを知る術も一応ある。

 夜も始まりつつあるので遠慮していたが今更そうも言ってられない。というわけで俺はフェルシアからもらった古代遺物(アーティファクト)を使うことにした。


「でもまぁ折角なんでどんな議題が上がるのかちょっと聞いてみますね」

「聞く?誰に?」

「ルーにです」


 俺はロイド王にフェルシアから貰ったブレスレットを見せる。実はこのブレスレット、ガラケーみたいなことが出来るのだ。つまり電話とメールが可能である。

 もっと詳しく言うとこの古代遺物を持っている者同士であれば”魔法通話”と”言語通話”が出来るようになるのである。

 というわけで俺はルーの持つ指輪にアクセスした。


『ルー、聞こえる?』

『おぉ、リュートか。どうした?』


 うし、上手くつながったみたいだな。俺はそのことに安堵しつつ、本題に移った。


『ルーってさ、明日の会談で何話すか聞いてんの?』

『いや、聞いてねぇな。もうちょっと早かったら聞けたのに残念だったな』

『早かったら聞けた?どういうことだ?』

『俺今チョウアン城にいるんだわ。で、ついさっきベアが出ていった』

『出ていった?どこに?』

『港に行ったぞ。明日お前らを迎えに行くためにな』

『ちょっと待て、国王自らやってくるのか?』

『あぁ、多分な』


 マジかよ、多分何か考え合ってのこと何だろうがそれが何なのかがまるで分らない。

 いずれにせよ穏便に事が進むのを祈るばかりである。

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