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とある魔王の無双譚  作者: azl
諸外国との交流
67/145

服を買うお話 <前編>

ブックマーク登録ありがとうございました、嬉しかったです。


*あらすじ:街に出ました。

 ショクチェンドゥ武装国家はキルクルス半島の歴史の中で、他に類する物がないほどの発展を見せた超巨大国家である。

 ショクチェンドゥは別名服とガラスの国と呼ばれていて、その名の通りショクチェンドゥは服の生産が盛んであり、その服は様々な国に輸出され、各国で高い評価を得ているそうだ。またその服の原材料となる綿花や麻、羊毛なども周辺国家に輸出されているらしく、現にギルレオンもショクチェンドゥから綿花を輸入しているとのこと。

 そして前述した通りショクチェンドゥはガラスでも有名である。特にガラス細工が人気なのだが、それは繊細な品物のため輸出されることがほとんどない。それ故世界各国からこのガラス細工を買い求める旅行客がやってくるらしい。


 有名所はこの二つだが、他にも特産物は色々ある。特筆すべきは火薬だろうか、あまり他国に輸出することはないらしいが、火薬といえばショクチェンドゥみたいなところがあるらしい。

 そしてこのショクチェンドゥ、火薬を用いた武器がかなり発達している。特に大砲が顕著な例だ、ショクチェンドゥを囲うように築かれた城壁、そこに大量の大砲が並んでいるのである。全部が全部火薬を使うタイプのものではなく、一部魔法を発射する物もあるそうだが、それでもあの量はかなりすごいと思う。


 さてさて、そんな感じのショクチェンドゥ城下町、一体何が待っているのやら。



「いやぁ。凄い人ですね」


 見渡す限りの人、人、人。ギルレオン城下町も中々の物だったが、こっちもこっちで凄い人だかりである。全身キラキラの宝石類を身に着けたお金持ちっぽい人だとか、剣だの杖だのをぶら下げた冒険者っぽい集団だとか、多種多様な人々がこの町を訪れていた。

 けどその理由も十二分に分かる、このショクチェンドゥ城下町、見てて飽きないのだ。店が多いのもその理由の一つ、しかもそこで売っている物を店の外から見ることが出来る。分かりやすく言えばウィンドウショッピングが出来るのだ。そう、このショクチェンドゥにはショーウィンドウがあるのだ。


「これ凄いですね・・・」

「おや、そう言っていただけるとありがたい」


 ホーク王が嬉しそうにそう言った。

 ちなみにこの町に駆り出すにあたって付けた護衛はサノスだけだ。不用心じゃないかなぁって思ってたんだけど、王族三人衆が変装すればバレないと言っていたので黙ってそれに従うことにした。彼らが言っていたように今の所バレてはいないのだが、街を歩くお姉さん達がちらちらとサノスの方を覗き見ているので、その内バレるんじゃないかなと内心ひやひやである。


「まぁ我もこれは結構な発明品だと思っておるよ」

「だろ?我が国の技術の結晶だからな」

「本当にね、輸入できないのが残念だよ」


 輸出できないのは単純に貿易路が整っていないからだ。どこを通ってもガタガタ道なので、着くまでに砕けてしまうのだと。海路は波で揺れて割れる可能性があるし、空路を使うには少し大きすぎる。それ故中々思うようにいかないのだと、ロイド王が話してくれた。


「ところで俺らってどこ行ってんの?お前ら二人に取り敢えず付いて行ってんだけど、俺ら」


 そしてそんな折、オルカ王がそんなことを口に出した。

 ちなみにこのオルカ王、ロイド王やホーク王と同い年らしいのだが、全く以てそうは見えない。人によっては親子かと見間違うくらいには年が離れて見える。ちなみにロイド王とホーク王はどちらも同じ感じ、中年男性って形容するのが一番近いだろうか。二人並べば仕事の同僚かパパ友に見られることだろう。


「うむむ、そう言えば決めてなかったの」

「だな、どうしようか・・・」


 そしてそんなオルカ王の発言を聞いて、彼ら二人が頭を悩ませ始める。そしてそれを見たオルカ王、俺の方を向いてあることを聞いてきた。


「リュート殿は行きたい所無いんですか?」

「えっ、行きたい所?」


 行きたい所、行きたい所か・・・。そうだ、一個あるわ。


「あの、服屋に寄りたいです」

「服屋?」

「はい、俺って持ってる服がこれしかないんです。だけどこれで外出するのはどうかなぁって常々思ってて」


 前にも言ったと思うが俺の服はちょっとキラキラし過ぎてて外出には向いていないのだ。だからこの機会に外行きの服を揃えてしまおうと思ったわけである。

 とはいえギルレオン城には結構な量の服があった、だから別にここで買う必要が無いと考えていたのであろうロイド王が口を開く。


「いや、欲しい服があるなら用意・・・」

「待て待て、折角だしここで買え、な?」


 しかしそんなロイド王の発言を遮ってホーク王がそう言った、なんでだろうね。


「ったく、お前のことだからバカ高い店に案内するんだろうな」

「ははは、何のことだか」

「・・・まぁ、しょうがない。経済回すの手伝ってやるよ」

「毎度あり~」


 ・・・なるほど、そういうことか。



「ホーク王、お越し頂き有難うございます」

「あぁ、これからも贔屓にさせてもらおう」


 今回俺たちがやって来たのは、ショクチェンドゥにある最高級の服屋。店内の装飾も煌びやかで清潔感に満ち満ちている。そして最高級の服屋だけあって滅茶苦茶高い、金貨十枚とかざらである。


 さて、ではここいらで通貨の説明をしておこう。

 この世界は大きく分けて二つの大陸、イウラシア大陸とキルクルス半島に分けられるわけだが、そこに通貨の違いはない。どちらの大陸でも同じ貨幣を使うため、インフレデフレが起きることはあっても円高ドル安みたいな状況は起きない。

 そしてこの通貨の四十パーセントはこのショクチェンドゥ、残りの六十パーセントがペルティーダ共獣国で作られている。どちらも鉱山資源が豊富な国だね、なんでもペルティーダは宝石で有名な国らしい、いつか寄ってみたいところではある。


 それでその硬貨なのだが全部で三つの種類に分けられる。安い順に銅貨、銀貨、そして金貨の三つ。銅貨十枚で銀貨一枚、銀貨十枚で金貨一枚換算、だから金貨十枚だったら銅貨千枚或いは銀貨百枚と言い換えることが出来る。

 向こうの世界で言うなら金貨一枚が大体一万円だ、だから金貨十枚の服ってことは十万円の服ってことになる。結構いいお値段だと思うのだが、選りすぐりの素材で作っているそうなのでこれでもかなり安い方らしい。

 まぁ職人の保護だとか色々あるのだろう。機械はまだこの世界には無いと”赫イ智慧”が言っていたので、多分全部手編みで作ってるだろうから、その手間も加味するとまぁ妥当な所なのだろうか。


 閑話休題。


「してホーク王、今回はどのようなご用件で」

「こちらの男性に服を用意したいのだが・・・、あっ、そうだ」


 ホーク王が何か思いついたのか、急に俺の方を向いて問いを発する。


「他に何か欲しい物は?鞄や財布もここでは取り扱っておるが」


 はぇ~、すげぇなショクチェンドゥ、でも鞄は別に要らないかな、”収納(ストレージ)”で事足りてるからね。てなると財布だけど・・・、ん?財布?


「やべッ、そういやお金持ってないんだった」


 今まで必要無かったので気が付かなかったが、俺ってこの世界の通貨を一枚も持ってないんだった。折角ここまで連れてきてもらったのに申し訳無いな。


「そう言えば渡しておらなんだな」

「すいません、折角連れてきてもらって申し訳無いんですけど、また今度出直して・・・」

「「待て、その必要はない」」


 諦めて帰ろう。俺はそう思っていたのだが、ホーク王とロイド王がそう言って呼び止める。


「金が無いなら私が払おう」

「然り、我らの好意に甘えるがいい」


 えっ、本当に?それは嬉しい申し出だな。

 でも本当にいいんだろうか?この店の相場は結構高価だと思うんだけど・・・。


「俺としては是非そうさせてほしいんですけど、本当にいいんですか?」

「構わんよ、魔人を追い払ってくれた礼だ」

「その通り、未だ褒賞を渡していなかったからな、それの例だと思って受け取ってくれ」

「おぉ、だったらゴケンコウからもなんか用意させてもらおっかな」


 ふむ、そう言う事なら甘えさせてもらおうかな。実際必要なのは事実だし。


「じゃあ是非そうさせてください」

「よし、じゃあ遠慮無く選んでほしいが・・・、魔人討伐の例が服一着の三つってのもな」

「リュート殿はなんか欲しいの無いんですか?」


 オルカ王がそう聞いて来る。欲しい物、欲しい物ねぇ。


「サノス、ゴブリンって何人くらいいるの?」

「大体五千匹ほど」

「五千!?そんないんの!?」

「えぇ、屋敷以外にもいますからね。実は出迎えてるゴブリンって日替わりなんですよ」


 マジか!?出来たらあいつらの分も用意してやろうかなぁって思ってたのにそんなにいるなんて・・・。


「で、何か決まりましたかな?」


 ホーク王がそう聞いて来る。まぁゴブリン達の分は先送りして、ヨミとテスラの分を先に用意しておくか。サノスにだけ送ってるってのもちょっと申し訳ないからね。


「取り敢えず女物の服を二つほど」

「女物?何故です?」

「部下たちに送ろうかと思って、あんまり服も持ってないようでしたから」


 もしかしたらオシャレに目覚めるかもしれない、そしたら俺はそれをとても嬉しく思うだろう。彼女達には自由に生きてほしい、自分の生活の中に彩を持ってほしいのだ。彼女たちが自分の意思を尊重出来るようになった時に初めて、俺が彼女の主なんだと胸を張れる気がするんだ。


「ふむ、それはそれで助かるが本当に遠慮はいらんぞ?一番高い鞄でも財布でも何でも・・・」

「いえ、それでいいです、彼女達が喜んでくれるのが一番嬉しいですから。まぁ渡してみないことには分かりませんけどね」


 俺がそう言うと、ホーク王とオルカ王が優しく微笑んだ。


「なるほど、アリナ嬢が惚れるわけだ」

「ホントだよ、部下思いなんだね」

「えっと、そうですかね?」

「そうだよ、じゃあ女物の服を何着か用意しよう。何も二着だけである必要はない」


 オルカ王がそう言ってくれた、折角だしお言葉に甘えることにしようか。


「じゃあ是非お願いします」

「オッケー、で、ショクチェンドゥは何を送るのかな?」

「なんでも良いぞ、取り敢えず言ってみなされ」

「えっと・・・」

「そう遠慮するな、取り敢えず言ってみればよろしい」

「・・・それじゃあ、子供服を五千着ほど」


 流石に無理って蹴られる。そう思いながらホーク王の方を見てみると別段表情を変えること無く、何か物思いに耽り始めた。


「店長、子供服の相場は銀貨一枚と銅貨五枚くらいだったよな?」

「仰る通りです」

「ふむ、大体金貨七百五十枚くらいか、訳ないな」

「え?」


 は?マジ?

 聞き間違いかなと思ったのだが、どうも聞き間違いではなかったらしい。ホーク王、本当に子供服を五千着用意するつもりのようだ。


「リュート殿、我らショクチェンドゥは子供服を五千着用意するが、それでよいかな?」

「いいですけど、本当にいいんですか?」

「構わん構わん、魔人討伐の例にしては安いくらいだよ。何ならもっとねだってくれても構わんぞ?」

「いや、もう十分ですよ」

「ははは、謙虚な男だな」


 ホーク王が笑いながらそう言う、全然謙虚じゃないと思うんだけどね。


「オルカ」

「分かってる、負けてられないね」


 そしてどういう訳か、ロイド王とオルカ王の二人はその発言に火を付けられたらしい。彼ら二人頷き合うと、二人揃って服屋の奥に消えていく。てか負けるって何?


「リュート殿、我が貴殿の服を選ぶ故、一緒に来ていただけますかな」

「あっ、はい」


 ロイド王に呼ばれ、俺は彼の側に駆け寄った。ただ服を買うだけなのに何故か穏便に事が進まない気がした。 

果たしてトレーナーが分からない男に服屋の話が書けるのでしょうか?

明日も投稿します。

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