会談開始<前編>
ラトの誤解を解いた後、目的の部屋に向かった俺達。
その部屋はギルレオン城のちょっと大きい会議室。
会議室の扉をノックして、アリナと一緒に入っていく。
今回の会議の出席メンバーは計七人。
ロイド、ウルスラ、アリナ、ロメオ、俺、そしてプリケとギース。
アリナに関しては、ロイド、ウルスラ夫妻が呼んだらしい。
呼ぶにしてもライナスのほうが適任だと思うんだが、一体なんでなんだろうね。
最後の二人には会ったことが無いが、ここに来る道中で聞いた話によれば、隣国であるショクチェンドゥとゴケンコウからの大使らしい。
何でも魔法通話を通して、両国の王たちも今回の会議を聞く予定だそうだ。
もはや会議じゃなくて会談である。下手な発言は出来ないね、慎重に立ち回らないと。
だがその二人の大使はまだ来ていなかった。
恐らくは魔法の準備かなんかに手こずっているのだろう。
ロメオもいないし、多分間違いない。
そんな風に色々考えつつ、用意された椅子に座る。
ふかふかの革製だ。
ちなみに俺は木製のほうが好きである。
「あら、アリナちゃん。嬉しそうな顔してるわね、何か良いことあったのかしら?」
気を張る相手がいないからか、そんなお茶らけた質問がアリナにかけられた。
その声の主は、この国の王妃ウルスラ・ギルレオン。
悪戯する小学生みたいな笑みを浮かべている。
「・・・うん」
ちょっと頬を赤らめて、アリナがそう答える。
それを聞いたウルスラさん、どんどんと口角が吊り上がっていった。
「あらら、お熱いわねぇ!!」
「その辺にしておけ、ウルスラ。アリナが困っておるだろう?」
アリナの父、ロイド王が助け舟を出す。
しかしその助け舟も、ウルスラという荒波の前には成す術がなかった。
「お断りよ。だって見て、今のアリナの顔、恋する乙女みたいよ。まさかこんな日が来るなんて、思ってもいなかったわっ」
「・・・まぁ、否定はせんがな」
「そうでしょう。それに、ごにょごにょごにょ」
ウルスラさんがロイド王に耳打ちをする。
残念なことに、何と言っていたのかは聞き取れなかった。
でも多分ろくな事じゃない。
あの若干にやついた顔を見れば、誰だってわかる。
「ふうむ、確かに悪くないな。アリナをここに呼んだ理由が分かったわい」
「なら良かったわ。ちなみにアリナ考案よ?」
「え、お前じゃなくてか?」
「そうなのよ!!あの子、私の悪い部分ばっかり受け継いでたのかしら?」
「は?お前よりは良くできた人間だろう?」
「え?」
会議室がえらく静かになった。
いたたまれない空気が流れ始める。
ロイドさ~ん、謝った方が良いんじゃない?
確かに嘘はついてないけども。
「あなた、そんな風に考えていたの?」
「えっと、今のは言葉の綾というか・・・」
ロイド王の謝罪が言い終わる前に、会議室の扉が開かれてしまった。
「「「すいませんっ、遅れました!!」」」
三重した声が、会議室に響き渡った。その出どころは三人の男女。
ロメオ、緑髪の男性、そして茶髪の女性。
多分緑髪がギースさんで、茶髪がプリケさんだろう。
揃いもそろって息切れしている、お疲れ様です。
「よい、事情は分かっておるよ」
ロイド王の声が響いた。
やはり寛大な王様である。
「さてと、招集したのはこれで全員だが、準備はよいかな?」
皆が頷く。
「よろしい、それでは会談を始めるとしよう」
ロイド王が厳かに、そう宣言した。
次の投稿は十月七日です、投稿日を月曜と木曜に矯正しようと思います。
ただ次のお話はちょっと満足いかない出来だったので、大目に見てください。




