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とある魔王の無双譚  作者: azl
新たなる魔王
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城門前のひと時

 おやつ時、俺たちは無事ギルレオン城へと帰還した。


 今日の気温は非常に高く、ロメオさんの肌着もポロシャツ越しに透けている。

 誰の得にもならないサービスシーンを見せつけられたところで、城門の奥から一匹の狼が駆け寄ってきた。


「わんわん!!」


「おぉ、ガント!!」


「わん!!」


 俺の胸元に弾丸みたいな勢いで突っ込んできたのは、俺の愛狼、ガント。

 尻尾をぶんぶんと振りながら、俺の顔をぺろぺろと舐めている。


 可愛い奴め。


「おかえりなさいませ。リュート様、ロメオ殿」


 そして愛狼との戯れを楽しんでいたら、城門のほうからそんな声が掛けられた。


 声の主は、この城のメイドさん、ラト。

 顔はきりりとしているが、メイド服中に白い毛がまとわりついていた。

 たぶんガントの世話をしてくれていたのだろう。


「ごめんなさいね。世話してもらっちゃって」


「お気になさらず、私も好きでやっていますので」


 そう言ってガントの頭をなで始めたが、ガントは俺の顔を舐めつづけており、ラトさんのことは眼中に無さそうである。


 それに来るものがあったのか、若干泣きそうな顔になっていたラトさんだが、すぐにきりりとした表情に切り替えて、ここに来た要件を伝えてくれた。


「コホン、肝心なことを伝えていませんでした。リュート様、アリナ様が部屋に来るようにと」


「あぁ、そうだったね」


 とうとうこの時が来てしまったか。


 一体何を言われるんだろうか?

 ただ今の関係が悪くならないことを祈るばかりである。


「じゃあ、俺はロイド様に会議の開催をお願いしてきますね」


「会議?何か新しい問題でも?」


「問題というか何というか・・・」


「魔王フェルシアに、お前も魔王にならないか?って誘われたんだよね」


「えぇ!?本当ですかっ!?」


 珍しくラトさんが大声をあげてびっくりしていた。

 

 その拍子にガントの体も、びくりっ、と大きく飛び跳ねる。


「失礼いたしました。それではリュート様、アリナ様のお部屋にご案内いたします」


「えっ、それだけ?」


 俺からしてみると結構な重大事。

 だけどラトさんは、あっさり流してしまった。

 

 ちょっと予想外だったので、そんなことを聞いてみる。


「それも肝心ですが、お嬢様のご要望に応えるのが、メイドの一番優先すべき務めですから。それに私はリュート様のことを信用しておりますゆえ、どのような判断をなされようとも、それが最善に繋がると信じております」


「えらく信用されてるんだな」


「ハハハ、なんてったって救国の英雄だからね。ちょっとは自覚した方が良いよ」


「いまいち慣れませんね・・・」


 こればっかりは慣れなんだろうな。

 ちょっとばかり時間が必要そうだ。


「ま、それもしょうがないですがね。それじゃあ僕はロイド様の所に行ってきます」


「分かりました。それでは、私たちも向かうとしましょうか」


「了解」


 そう返事を返す。

 その後、ラトさんの案内で、アリナの部屋に向かうのだった。


 ・・・一応場所は知ってるんだけどね。



 ラトさんの後ろについて歩く。

 コツコツという音が、廊下中に響き渡っていた。


 そんな音を立てながらしばらく歩いていると、アリナの部屋が見えてきた。

 これにてラトさんの案内は終了・・・、だったのだが、一つだけ伝えておきたいことがあったようだ。


「リュート様、一つだけ伝えておきたいことが」


「なんでしょう?」


「アリナ様は今、大事を取って一週間ほどの御休みを取られています」


「ほうほう」


「ですので部屋が散らかっているかもしれません。どうかご失望なさらないようにお願いいたします」


 そんなこと?って思ったけどラトさんの表情は真剣そのものだった。

 何か裏があるのだろうか?


 というか召使って昼食中に掃除をするという話を聞いたことがあるような・・・。


「掃除の類とかはしていないんですか?」


「アリナ様は非常にずぼらな方です。掃除したところで三時間あれば散らかります」


「へぇ~」


 あのアリナにそんな一面があったなんてな。

 まぁそんなことで嫌いになったりはしない、むしろ親しみを覚えられる。


「問題ないですよ、俺も片づけは苦手ですし」


「ですがリュート様のお部屋はいつも整っていますが?」


「借りものだからね」


「そう遠慮しなくて宜しいんですよ?」


「まぁそういう性分なのさ」


 借り受けたものを乱雑に扱うのは、俺の美学に反する。

 というか城にある物って高級そうだから、壊したら怖いんだよね。


「とはいえそうしていただけると、お世話する身としては嬉しい限りです。それでは私はこれで」


「え?どっか行くのか?」


「ロイド様の所に。会議の情報についても抑えておかなければ」


「なるほどね。それじゃ、頑張って」


「はい、失礼いたします」


 ぺこりと頭を下げて、ラトさんが来た道を戻っていく。

 頑張り屋さんだな。


 さてと、やるか。


 俺は自分の両頬をぺチンと叩いた後、アリナの部屋をノックした。

次の投稿は十月三日か五日です。


特質能力の”者”の部分を、究極能力ではどうするか考えるので。

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