帰還
どうしてこうなるのか分からない場面があれば、ぜひ感想まで。
作者は先入観があるので、気付きにくいのです。
幽冥城の魔法陣に乗って、不帰の森の遺跡へ帰ってきた俺。
しっかしあの魔法便利だな。
瞬きしたと思ったら、もう遺跡についていた。
今は”解析・鑑定”にそのメカニズムを解析してもらっているので、近いうちに使えるようになるだろう。
新たな魔法の習得に心躍らせていると、向こうのほうから二人の人影が駆け寄ってきていた。
その正体は、ロメオとサノス。
二人とも心配そうな表情である。
「リュート様、ご無事でよかったですっ」
「怪我は・・・、なさそうだね。無事でよかった」
「悪いな。本当は魔法通話で連絡しようと思ったんだが、うまくいかなくてな」
何というか心配かけちゃったみたいだな。
こういう時に備えて、魔法の腕前も上げておかないと。
「ご無事ならなにより。一体何があったんです?」
「えっとな、実は魔王の城に行ってたんだよ」
「魔王の城、ですか?」
「そうそう、魔王フェルシアの居城、幽冥城ってとこに」
「幽冥城ですって!?実在したのですか!?」
なんでも幽冥城は実在しない、伝説の存在だと考えられているそうで、ロメオが見たことないくらいびっくりしていた。
「こほん、まぁそれはいいでしょう。それで、リュート殿はそこで何を?」
「お前も魔王にならないか?だってさ」
「「えぇっ!?」」
それを聞いて、サノスもロメオもびっくりしたような顔をしている。
だがそれも一瞬で、ロメオはすぐに頭を回転させ始めた。
そしてしばらくの沈黙の後、ロメオが口を開く。
「それはまたとんでもないことですが・・・。リュート殿はどうするつもりで?」
「俺は受けるつもりだ。一応相談はするけどね」
「その理由は?」
「ゴブリンたちのためだな。魔王の支配下にあるってだけで、ある程度の安全は保障されるだろ?」
「リュート様・・・」
サノスの目がキラキラし始めた。
まだ決まったわけではないのでやめてほしい。
「確かにその通りですね。魔王の支配下に攻め込もうなどと考える馬鹿は、ソーン大帝国だけでしょう」
「だろ?」
「はい。まぁ私からも進言はしますよ、ギルレオンと戦争を起こすつもりはないんでしょう?」
「ないな。むしろ仲良くしていきたいよ」
「でしたら進んで協力します。それにチョウアンとの国交が回復するかもしれない」
「どういうことだ?」
何で俺が魔王になることによって、チョウアンとの関係が治るんだ?
一見無関係に思えたが、ロメオさんにはしっかりとした根拠があった。
「簡単です。チョウアンは魔王ルーの統治するペルティーダと同盟関係にあるからです」
「それが何の関係があるんだ?」
「魔王フェルシアは、魔王同士の争いを絶対に許容しません。ですのでチョウアンとギルレオンの戦争によって、リュート殿と魔王ルーとの関係が悪化しないよう、何らかの働きかけをするでしょう。それに魔王ルーも、リュート殿との関係が悪化するのは望まないでしょうし」
「そんなうまくいくのかな。ルーってやつはチョウアンを大事にしてるのか?」
もしかしたら都合のいい隣国程度に考えているのかもしれない。
そう思っての発言だったが、それはロメオによって否定された。
「それは間違いありません。ペルティーダはチョウアンなしには生きられないんです。というのも、ペルティーダの食糧のほとんどは、チョウアンからの輸入品となっているので」
「武力で奪い取る可能性は?」
「かの国の国境線は深い谷で分けられています。ですのでその可能性は低いかと」
「なるほどね」
空を飛べる獣人もいるそうだが、非常に希少な個体であり力も弱いため、戦力とするには心もとないそう。
そう考えると、最初に言っていた希望的に思える説も、現実味を帯びるのかもしれない。
「ま、俺が魔王になれるかどうかは分かんないけどね。試練の一つや二つ、残ってるかもだし」
「リュート様なら余裕でしょう」
「だね」
俺は結構不安だったのだが、誰も俺の心配をしていなかった。
ちょっと俺の実力を過信し過ぎじゃなかろうか。
「で、このあとはどうします?」
「いったんギルレオンに帰ろうか。魔王共がいつ呼び出してくるか分からないし」
「でしたらテスラとヨミには私が話しておきましょう」
「悪いな」
当然のことです。といってサノスが頭を下げる。
よくできた部下を持ったものである。
「じゃあ急いで帰ろうか。どれくらいで着くかな」
「魔法を使えば半日程度でしょう。来るときは寄り道も多かったので、時間がかかりましたが」
行きは赤髪の魔人の捜索も兼ねてたので、結構寄り道が多かった。
だが帰り道はその必要が無い、その分早く帰れるだろう。
「じゃあとっとと帰ろうか。それじゃ、よろしくな」
「お任せください」
遺跡の出口が見えてきた。
太陽が沈み、月の光が差し込んでいる。
多分明日の昼にはギルレオンにつくことだろう。
魔王の相談とか、アリナの伝えたいこととか、心配事は山ほどある。
だけど投げるわけにはいかない。
俺たちは身体強化を体中に張り巡らせ、草原を駆けるのだった。
次の投稿は九月三十日です。
今の所。




