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とある魔王の無双譚  作者: azl
新たなる魔王
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名付けの影響

「お目覚めになられましたか、リュート様!!」


「・・・誰だ、お前ら?」


 意識が覚めて最初に目に入ったのは、計四人の美男美女である。


 一人はすぐ分かった、ギルレオン魔法軍長ロメオ君である。


 じゃあ残った三人は?

 半分だけ覚醒した頭脳をフルスロットルに回転させてみたが、まるで分かる気がしない。


 だけどその答えは、すぐに明かされることとなった。


「貴方様に忠誠をお誓いした、サノスでございます」


 サノス、そう言われて思い出したのは、ついさっきの名付け。

 確か俺はその名付けのせいで意思を失ったんだっけ。


 で、その名付けを行ったのは三匹のハイゴブリンだったはず。

 サノス、テスラ、ヨミという名前を・・・。


 ん?サノスだと!?


「お前、さっきのゴブリンか!?」


「はい。私は、つい先ほどのゴブリンでございます」


 なんということだ。

 まさかこんなにもイケメンになってしまうとは・・・。


「えらく格好良くなったな・・・」


 思わずぼそりと呟いてしまったが、サノスのほうはよく分っていない様子だった。

 姿が変わったことは理解しているだろうから、多分人間としての感覚はまだないんだろう。


 ちなみにどれくらい格好いいかというと、モデルが出来そうなぐらい格好いい。

 スタイルもいいし文句なしだろう。


「で、そこの二人はもしかして?」


「はい。私が給仕長だったゴブリン、ヨミです。貴方様へ一番最初に忠誠を誓ったのが私です」


「えぇと、私が諜報長だったゴブリン、テスラです。お目覚めになられたこと、大変嬉しく思います」


 そして残った二人も、大層な美女へと変貌していた。


 多分だけど、魔物は名付けられると、名付け主の姿に似るんじゃなかろうか。


 例えばガントの場合、名付けによって白い毛の中に赤い毛が混じり始めた。

 俺の髪の毛は赤だから、多分その部分を継承したんだと思う。


 で、こいつら元ゴブリン達は、俺の体全体を受け継いでいる気がする。特に顔立ちが顕著だな。


 自分で言うとナルシシストみたいで嫌なんだが、この体の顔立ちは結構いけているのだ。

 神が作り出した彫刻だ、と言われても信じられるくらいには整っている。 


 データはちょっと少ないけれど、この推測は正解だと思う。


ーその認識で正しいかと。


 うむ、”解析・鑑定”もこう言ってるしほぼ間違いないはず。


 さてさて、大きく姿を変えたゴブリンたちだけど、その特徴は人それぞれだった。


 まずはサノス。

 ゴブリンの時は髪の毛がなかったのだが、今は赤い髪が生えていた。

 肌の色も緑色から、向こうの世界でいうアジア系の肌色へと変化していた。


 ちなみにテスラは、もう少し日焼けした感じの肌色。

 ヨミはいわゆる色白さんである。


 髪の色は二人とも一緒で赤色。

 だけど所々に黒色髪も見受けられた。


 もはやゴブリンだった頃の面影は、ほとんど残っていない。

 ギルレオンの街中に放り込んでも、魔物だったと気づく者はいないだろう。


 さてそんな彼らなんだけど、一つ気になることがあった。

 ゴブリンの時は無くなっていた右腕や左腕が、今ではしっかりと付いているのだ。


 これは一体どういうことなんだ?


ーヨミ、サノス、テスラの間には眷属契約が結ばれていました。

 

 なるほど、”王の盾”か。

 それで怪我を治したってわけね。

 ていう実行の確認ってあったっけ?


 ・・・ま、いっか。どのみち了承していただろうから、あまり気にすることではない。


「お前ら、右腕とか左腕とか、違和感ないか?」


「はい、ございません。とはいってもこの感覚はかなり久しぶりなので、何とも言い難いですがね」


 そう言ってにやりと笑ったサノス。

 問題ないならいいけどね。


「ヨミはどうだ?しっかり見えるか」


「はい。リュート様の美しいご尊顔が、しっかりと脳裏に焼き付いております!!」


 う~ん、思っていた反応と大分違うな。

 ていうか、こんな性格だったかな?

 もっとこう、穏やかで落ち着いた性格だったと思うんだけど・・・。


「お前、大分変わったな」


「はい、これも全てリュート様のおかげです!!」


 そっか~、俺のせいだったか~。


 ちなみに再生されたヨミの右目だけど、左右それぞれで色が異なっている。

 左が青、右が赤、いわゆるオッドアイってやつだな。


 なおサノスとテスラの腕に、左右の違いは見受けられなかった。

 強いていうなら新しく生えた腕のほうが若干太いくらいか。


「まぁ元気ならいいよ」


「これも全てリュート様のおかげ。我々は生涯、貴方様に忠誠を誓わせていただきます」


「そうかしこまるなよ。俺はそんなすごい奴じゃないんだから」


 そう言って手をぶんぶん振ったけれど、こいつらの仰々しい態度がやむことはなかった。


「ところでリュート様、一つお伝えしたいことが」


 そんな折、サノスがそんなことを聞いてきた。

 俺は椅子にふんぞり返って、続きを促す。


「実は例の魔人が、森の中で遺跡を発見していたようなのですよ」


「遺跡だと?」


「はい。奴が書き残した地図にその在処が記されていました。ですが、真実だという保証はありません。しかし放置するのもあまり望ましくなく、どうしようかと頭を悩ませておりまして・・・」


 ふ~む。なかなか面白い。

 今回の調査は森の調査なので、その遺跡を調査するのもあり寄りのありだろう。


「ロメオさんどうします?」


「俺は行くべきだと思いますね。変なものが眠っている可能性も捨てきれません」


 なるほどな。


 危険な目は咲く前に摘んでしまおうという話だ。

 尤も無いなら無いでいいんだけど。


「じゃあ決まりですね。・・・そう言えば連絡ってした方が良いですかね?」


「それに関してはもう済ませてます」


 おっと、さすがだね。

 こういう時は有能だな。


 そう思って感心していたのだが、最後の最後で爆弾を落としていった。


「あぁそうだ、アリナ様が貴方を呼んでいましたよ」


「え?俺を?」


「えぇ。なんでも伝えたいことがあるとか」


 アリナの目が覚めた。

 それはとてもとても喜ばしいことである。


 だけど呼び出されるのは喜ばしくないことである。


 どうも先日のあの一件から妙に意識してしまっているのだ。

 彼女の前で平静を保てるかどうか、自信がなかった。


 あと何を言われるのか分からないという恐怖もある。

 今まで築き上げた関係が壊れてしまうんじゃないかとか、色々と心配してしまうのだ。


「気乗りしませんね・・・」


「ははは、まぁ俺がリンダに呼び出されるときよりはましでしょう」


 そういうもんなんだろうか。

 

 まぁ事が起きてから考えればいっか。そう強引に思考を切り替えて、話を次のステップに進ませた。


「まぁこの話はここまでで。それで、さっきやった報告では何と伝えたんです?」


「赤髪の魔人についてです。もう心配することはないと伝えておきました」


「それで、返事は?」


「了解した。気になることがあればそのまま調査を継続しろ。とのことです」


 OK、それが分かれば充分である。


「じゃあ今すぐにでも遺跡に向かいましょう。サノス君、案内してくれ」


「サノスで結構です」


「む?じゃあサノス、遺跡まで案内してくれ」


「かしこまりました。では出発の前に、地図を取ってまいります」


 頭を下げて屋敷の階段を上っていくサノス。

 次にその階段を下りてきたときには、黄色く日焼けした紙を持っていた。


「準備完了です。それでは向かいましょう」


「おい、サノス。私も行こうか?」


 出発しようとしたサノスにそう声を掛けたのは、諜報長のテスラ。


 問いかけられたサノスは、少しばかり考えるしぐさを見せた後、その申し出を断った。


「いや、ここに残ってくれ。屋敷の警備も必要だからな」


「分かった。リュート様に恥ずかしいところを見せるなよ」


「分かっている」


 そうぶっきらぼうに返事をしたサノス。

 そして玄関の方へ歩き出す。


「それじゃあお二方、私が先行して案内します」


「あぁ、よろしくな」


 サノスが頷き返し、屋敷の巨大な扉をギイギイ音を立ててこじ開ける。


「「いってらっしゃいませ。ご主人様」」


「あぁ、行ってくるよ」


 二人の元ゴブリンもとい美女たちに見送られながら、俺たちは屋敷をあとにした。


 そう言えば大量にいたゴブリンたちはどうなったんだろう?

 ・・・まぁ、後で考えればいいか。


 今は遺跡だ。

 一体何が待っているのやら。

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