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とある魔王の無双譚  作者: azl
魔人との激闘
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北方面にて

 ガルドとライナス、そしてヒューズの勝利から時は少し遡り、軍勢魔法:紅炎(プロミネンス)龍波(バースト)が放たれたころ、ギルレオンの北方面でも、もう一つの戦いが始まろうとしていた。


 男性型の肉塊のもとに臨んだリンダとオズの戦いである。

 彼ら二人は、突如としてギルレオンの北門に接近してきた男性型の肉塊と、交戦状態に入ろうとしていた。


 リンダがオズの前に立ち、オズはその後ろに控える。

 リンダが肉塊の攻撃を受け止め、その隙にオズが魔法で攻撃を行う作戦だ。


 二人はそのような知恵を披露しているが、相対している男性型の肉体にはそのようなものは微塵も感じられない。

 開いた口からだらだらと涎をたらし、その逞しい両腕もまるで宙に吊られたが如く、ふらふら揺れている。

 まるで獣の如き風貌、そんなおぞましい生物がリンダ目掛けて走り出す。


 それを確認したリンダ、持っていた盾を握り直し衝撃に備える。

 そしてその瞬間、凄まじい速度で振るわれた拳が盾に衝突する。


 ぶつかり合う拳と盾、ギチギチと嫌な音を立てているがリンダの盾を打ち破ることは敵わなかった。

 一瞬肉塊が怯む、そしてそのわずかな時間の間に詠唱を行ったオズから、爆炎(エクスプロード)が放たれた。


 轟轟と音を立てながら肉塊に接近する灼熱の炎、その炎は肉塊の体をとらえ、体中にまとわりつく。

 そして肉塊の体が灼熱の炎に包まれた。


 だがしかしその炎が晴れた所にあったのは、攻撃を受けたとは丸で思えないほどにただ平然と立ち尽くす肉塊の姿であった。

 その体を見てみても、一つとして傷を確認するが出来ず、炎を意に介する素振りすら見せなかった。


「クソッたれ、聞いてないってことかい」


 思わず、という様子で悪態をつくオズ。

 だがそれも無理はない。


 リンダは肉塊の攻撃を受け止めるので手一杯であり、攻撃に手を割く余裕はない。

 不可能ではないが、防御面がおろそかになってしまうだろう。


 そうなってくるとオズの魔法だけが頼みの綱。しかしその魔法も効いた様子がなく、まるで勝てるビジョンが浮かばないわけである。


 だがそれで諦めるほど、オズは短絡的ではない。


「リンダさん。次はもう一段階強力な奴をやるから、もうちょっとだけ惹き付けといて」

「任せろっ!!」


 リンダからの返事を聞いたオズは、速やかに魔法の詠唱を開始する。

 しかしリンダのほうも余裕があるわけではない。


 オズの詠唱の間にも何度も繰り返される肉塊の殴打。

 その一撃を受けるたびに、腕に痛みが走り、膝がきしむ。

 だがその痛みを押し殺し、必死に耐えている。

 彼が倒れることはすなわち、北門崩落を意味する。祖国を守るために倒れるわけにはいかなかった。


 そしてその努力は報われることとなる。

 オズが詠唱を終え、持っていた杖の先端が、赤い光を放ち始める。

 それを確認したリンダはその場から急いで離れた。

 そして放たれる灼熱の炎。


「焼き尽くせ!!業火(フレア)!!」


 放たれた火炎は、肉塊周囲の空間ごと巻き込んで、大爆発を巻き起こす。

 凄まじい爆音と凄まじい熱をはらんだそれは、確実に肉塊の体を包み込んでいた。


 だが、


「嘘やん効いてないの!?」


 その魔法は肉塊の体を焦がすだけの結果となった。

 一般的な生物なら致命傷、しかし肉塊はその様子すら意に介することもなく、ダラダラとよだれをたらしている。


 だがその無の時間もすぐに終わり、再び大地を駆け、リンダのもとに切迫し始める。

 蹴られた大地は砂煙を上げ、その表面は強靭な脚力によりえぐり取られている。

 そしてその強靭な脚力で、大きく跳躍、リンダの盾に蹴りを放つ。


「ぬぉぉぉぉぉぉぉッ!!」


 雄たけびを上げながら、その一撃をこらえるリンダ。

 結果として彼の蹴りはリンダの盾によって抑え込まれる形となったが、それこそが肉塊の狙いだった。


「しまったッ!!逃げろッ!!」


 リンダが焦ったような声を上げる。

 盾によって動きを止められた肉塊、だが肉塊はその盾を蹴って跳躍し、オズのもとへ向かっていたのだ。


 リンダの警告を聞いたオズは、急いでその場から離れようとする。

 しかしその行動は少しばかり遅かった。


「グフッ!!」


 上空より振るわれた拳が、オズの体に叩きこまれる。

 幸いにも死に至ることはなかったようだが、それでも致命傷。

 体中の骨が砕け、立つことがやっとの状態である。


 そしてそんな状態のオズに、とどめの拳が振るわれる。


「させるかッ!!」


 だがそれを済んでのところで阻止したリンダ。

 彼の鎧は非常に重い、その重さを生かした体当たりによって、肉塊を少しだけよろめかせたのだ。


「オズ、お前は下がっていろ」

「ですが!?」

「安心しろ、勝つのはこっちのほうだ」


 オズの抗議を意に介さず、そう宣言したリンダ。


「・・・分かりました。ご武運を」


 だけどそんなことは不可能だ。そう言おうとしたオズが見たのは、彼の威風堂々たる立ち姿。

 まさしく歴戦の勇士とでもいうべき風貌、その姿を見た彼女からは、そんな言葉は掻き消えていた。


 ゆっくりと戦場から離れるオズ。

 そして


ーgrhyyyyyyyyyyyyyy!!!!!!


 肉塊の咆哮が響き渡る。

 その右腕が、ブクブクと肥大化していく。


「我が名はギルレオン王国の騎士、リンダ・カルガス。いざ尋常に勝負ッ!!」

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