貰い物
有名な方の小説って、中身が詰まってて面白いんですよね。
そのうちたどり着きたいところ。
「・・・ふむ」
翌朝、朝食を食べた俺はギルレオン城の蔵書室で本を読み漁っていた。
というのも魔法について少しばかり調べたいことがあったのだ。
昨日のうちに気付けていたなら、ロメオかウルスラさんに聞けばよかったのだが、これを思いついたのは部屋に帰った後、少しばかり遅かった。
「おや、リュート様、えらい真剣な顔で読んではりますね」
「ッ!!誰ッ!?」
「蔵書室ではお静かに、ですよ」
「あ、すいません」
びっくりし過ぎて大きな声を上げてしまった、コホンと咳払いしつつ、声を掛けてきた人の顔を見る。
金髪で眼鏡をかけている女性、知らない人だった。
「あの、どちら様でしょうか?」
「申し遅れました、私の名はオズと申します。この国の魔法軍副軍長に任命していただいております」
そう言ってぺこりと頭を下げるオズさん。
一見すると礼儀正しそうだけど、なんというかロメオと同じ雰囲気がするな。
「あ、ハイ。よろしくお願いします」
「こちらこそよろしくお願いします。ところでリュート様、えらい悩んでおられたみたいですけど、私で良ければ力になりますよ?」
それは嬉しい申し出だな。
魔法軍副軍長にもなれば魔法にも詳しいだろうし。
「じゃあ是非お願いしたいです」
「えぇ、お任せください。で、何を聞きたいんです?」
「えっと、俺が聞きたいことは・・・」
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昨日の夜。ウルスラさんが帰った後、俺は少しだけ魔法の練習をしていた。
その時に気付いたのだが、魔法というものにも力の集合部、この場合核とでもいうべきものがあることに気付いた。
例えば火炎魔法下位の火炎弾。この魔法を使ってみると、まずは初めに魔法の核となるものが形成されるのが分かる。
そこに魔素が集まり、一定量に達すると、集まった魔素が”火炎弾”へと変化するのだ。
多分この核は、魔法を発動するのに必要な魔素に属性を与えたり、魔素が向かうべき集合地点の役割をする中枢部分なのだと思う。
俺が満足に照明が扱えなかったのも、おそらくはこの核の扱える容量をオーバーしていたから。
過剰分となり行き場を失くした魔素が暴走を起こしたのだと考えられる。
ならばこの核を人為的に破壊したらどうなるのかが気になったのだ。
だが実験しようにも危険すぎる。今魔法訓練場は魔法軍が使っているし、この城の中でやるわけにはいかない。
だから知識を得る形で解決しようと考えていたわけである。
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「・・・って話なんですけど、どう思います?」
「どう思います?って聞かれてもぶっ飛んでますね。としか答えられませんね・・・」
真面目な顔してそんなことを言ってきた。
「そもそも自力で気付くなんて凄すぎますよ。私だって本で読んだから知ってましたけど、実際に見たことはありませんもん。どうやって気づいたんですか?」
「魔法を観察してたら・・・」
「観察ねぇ・・・」
実際は”思考加速”と”弱点看破”を用いて観察していた。
それでやっと気付けるレベルの変化であった。
「まぁいいでしょう。それでその質問に対する答えですけど、リュート様の予想通り、大爆発を引き起こします」
「あ、やっぱりそうなんですか」
「はい、我々の業界では”魔素暴走”と呼ばれてます」
「その”魔素暴走”の原理も・・・」
「現時点ではリュート様の予想通りです」
やったぜ。予想が当たると嬉しいものである。
「そうなんですね」
「はい、そうなんです」
そして「ところで」とオズさんが話題を切り替えた。
「今回私がここに来た要件なんですけど・・・」
「オズ!!でかしたぞ!!」
「こら、リグ!!扉は静かに開けなさい!!」
バンッ!!と扉をぶち開ける音と、それを叱る声が聞こえてきた。
驚いて振り返ると、二人の男が蔵書室に入ってくる。
金髪と銀髪、特に金髪のほうは、現ギルレオン国王のロイドとそっくりだった。
となると・・・、
「お初にお目にかかるな、我が名はリグ・ギルレオン。この国の第二王子である!!」
「うちの弟がすみません。私の名はライナス・ギルレオン、この国の第一王子です。よろしくお願いします」
「あ、俺の名前はリュートって言います。よろしくね?」
金髪のほう、ライナスがびっくりするぐらい礼儀正しかったので少々驚いてしまった。
この二人、兄弟みたいだけど、顔はともかくその性格は死ぬほど似てない。
そしてこの礼儀正しいライナスは、次期国王へ。と強く推されているらしい。
「こちらのライナス様は、次期ギルレオン国王として国民たちに期待されているのです」
「期待というよりも、ライナス兄さまでほぼ決まりであろうな。我々兄弟も皆、ライナス兄さまを推薦しておるし」
「荷が重い・・・。だけど努力はするつもりだ」
凛とした眼差しでそう宣言するライナス。
なんというか人を引き付けるカリスマを感じさせた。
「で、私がリグ様をお呼びした理由なのですが・・・」
「おお、そうだった。これをあなたに渡すようにとお母様から」
お母様というとウルスラさんのことだろう。
言われた通りに渡されたものを受け取る。
黒い光沢を放つ金属?だった。
だけどただの金属ではないのはすぐにわかった。内包する魔素量がその辺の物質と比べて、段違いに多いのだ。
「それは魔結晶と呼ばれる希少な物質だ。内包する魔素量が多いから有効利用しようとしたのだが・・・」
「硬すぎて加工が出来なかったのです。だから国庫で腐らせていたのですが・・・」
「リュートさんの能力なら自在に加工出来るだろう。ということで、あなたに譲るように。と伝達を受けたのだよ。」
「腐らせるくらいなら、有効利用出来る人に渡した方が良いですから」
なるほどね。
俺の”創造者”は変形前の物質に含まれている魔素の量に応じて、強度が大きく変わる。
仮にこの物質が”創造者”を用いて変形できるなら、これは強力な武器になるだろう。
でも出来なかったら意味がない。
まずはこの魔結晶をクマの形にでも変えてみようか。
頭の中にクマの木彫りを思い浮かべて創造者を発動させる。
すると、魔結晶がクマの形に変化した。
「ふむ、イイ感じだ」
「ほほ~、面白いものを作るのだな」
「なかなか勇ましい。私、気に入りました。後で下さい」
「・・・可愛い」
三者三様だが好評だった。
ライナスに関しては後で作ってやるにして、
「良いものを送っていただいてありがとうございます。これでいろいろ試してみることにします」
この魔結晶を自在に扱えるように訓練しておくべきだろう。
「どこでやられる予定で?」
「それはまだ・・・」
「でしたら大広間でやってみましょう。今日は来客の予定はないですよね?」
「ないな。昨日から始まった避難関係の行事のために、新規の来客は受け付けておらなんだ。巻き込まれても困るからな」
「そっか、だったら問題ないね。後はリュートさん次第ですけどどうなさいます?」
「じゃあ是非使わせてください」
「分かりました。それじゃあ行きましょう」
そう言って俺たちは大広間に向かった。
そこでしっかりと魔結晶の扱いにも慣れたし、オズさんから”魔法通話”を模倣することもできた。
良い時間だった。
けど今はまだ昼間、今日はまだ半分残っている。時間の許す限り精一杯のことをしよう。
次回に短い話を挟んで、その次に魔人VSリュートの導入、そしてその次に決戦開始の予定です。
予定は未定です。




