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とある魔王の無双譚  作者: azl
魔人との激闘
21/145

真夜中の練習

あと2,3話で決戦の予定です。

「ふい~、も~疲れたぁ~」


「おつかれさん、よくやったわよ」


 息もヘロヘロになり、地面に座り込むロメオにウルスラさんが労いの声を掛ける。

時刻は夕刻、太陽は沈み始め、月が少しだけ顔を出している。


「で、リュート様?私はもう動けませんけど、満足していただけましたか?」


「はい、とても有意義な時間でしたよ」


 ロメオには、色々な種類の魔法を俺に撃ってもらっていた。

 そのせいでロメオの魔素はもうすっからかん、でも明日は魔素を使わず、部下たちの訓練に専念するので問題ないそう。


「それじゃあ、いったん夕食を取りましょう?夜からは私が付き合うわ」


「ありがとうございます」


「え、まだやるんですか!?」


 ロメオが若干泣きそうな顔をしているが、安心してほしい。これ以上働かせるわけにはいかないのだ。


「私だけで大丈夫よ。だってあなたに倒れられると困るもの、体をしっかり休めておきなさい」


「へへへ、ありがとうございます。ところでお二方は何をなさるおつもりで?」


「あぁ、特質能力(ユニークスキル)の訓練でもやっておこうかと思ったのよ、付き合えるのは今日だけだからね」


「そんな、折角の機会だというのに見に行けないなんて」


「安心なさいな、魔人を倒せさえすればそのうち見えるわよ」


「だといいんですけどね」


「まぁ、貴方はあなたのやるべきことをやりなさいな」


 ロメオさんが頷き返す。

 そして俺たちは夕食を食べるために食堂に向かった。


 今日のメニューは、焼き鳥と野菜とパンとミカンだった。美味しかった



「さてと、腹ごしらえも済んだところで、始めましょうかね?」


「えぇ、行くわよ」


 今回使用するのは”創造者”のほう。

 この特質能力の権能である、”膨張・縮小”、”結合”、”変換・創造”の三つを、実戦の前に練習しておきたかったのだ。


「ドロップボルト!!」


 ドロップボルトはサンダーレインと同じく、沢山の電気の筋を放出する魔法だ。

 ただし威力はサンダーレインのほうが上、その分こちらは魔素消費量が少ない。


「ふっ!!」


 そんな魔法が放たれたのを確認した俺は、地面を蹴り上げて砂埃を巻き起こす。

 そして巻き上がった砂を、”結合”でいくつかを塊にした後、”変換・創造”でゴムに変え、再び”結合”、最後に”膨張・縮小”で、自分の体を覆いつくせるサイズに膨張させる。


 放たれた雷は、俺の作り出したゴムによって阻害され、一つ残さず消滅していった。


「・・・あなた何をしたの?」


「俺が死ぬ前に生きてた世界にあったとある物質を再現しました。半端な電気は通りません」


 実際には通らないわけではない。強すぎる電圧だと少々まずいのだが、ドロップボルト程度の電圧なら何の問題もない。


「ふむ、確かゴケンコウのほうにそんな感じのものがあった気がするわね・・・」


「そうなんですか?」


「えぇ、貴方のそれと一緒なのかはわからないけど」


「へぇー、一回見てみたいですね」


「そのうち連れて行ってあげるわ。・・・さて、次のいくわよ!!」


 そう叫び、ウルスラさんが右手に魔力を集中させた。

 その右手からは凄まじい冷気が溢れ始め、辺りを凍てつく空間へと変えていく。

 そして、


(クラッシャー)(・オブ・)(フローズン)!!」


 放たれた魔法は、氷魔法上位絶対(アブソリュート・)零度(ゼロ)の応用系、零度掌。

 ウルスラさんは、彼女の右手に集まっていた魔力を握り潰し、それを周囲へと発散させた。

 その魔力によって覆われた大地は白く染まり、極寒の地へと変貌していく。


 だがそれはあくまでも余波にすぎない。元となった絶対零度は大規模殲滅魔法、だがしかし零度掌は対個人に特化した魔法である。

 ウルスラさんの拳の隙間、そこから溢れ出した冷気がまるで新しく生えた指かの如く凝固する。

 そして振るわれる破壊の拳。


 だがしかし、慌てる必要はない。

 上手く対応すれば何とかなる。


 俺はつい先ほど作り上げたゴムを再び砂に変換し、柱状に変形する。

 そして


「はあッ!!」


 先端部分だけを鋼鉄へと変化させ、つっかえ棒の要領でウルスラさんの拳に突き立てた。

 しかし、ギチギチと嫌な音がして来る。砂の柱は補強してあるとはいえ、所詮は砂。少しづつ綻び始め、崩れるのも時間の問題だと思われた。


 なのでその柱の部分を、分解、そして鋼鉄へと変換。その鋼鉄を先端の鋼鉄に結合させ、最後に膨張させる。


 氷の手と鋼鉄の塊がぶつかり合う。

 その戦いは拮抗していたが、やがて、


「ッ、あら!?」


 パリンッ!!と音を立て、氷の手が砕け散った。

 創造者で作り出した鋼鉄は俺の魔素が尽きない限り何度でも修繕できる。戦闘に対する継続能力の高さが勝負を分けたのだ。


「今日はこれで仕舞にしましょうか。これ以上続けると明後日の決戦に支障が出るわ」


「わかりました。付き合ってくれてありがとうございます」


「気にしないで、私もいい経験になったわ」


「そう言ってもらえるとうれしいです」


 そう言って握手を交わす俺たち。

 そして若干名残惜しく思いながら、手を放す。


「ところで、あなたの”創造者”ってどういう能力なのかしら?」


 そんな気持ちのさなか、ウルスラさんがそんなことを聞いてきた。


 どんな、か?結構難しい質問だな。

 一応この能力の本質は、他の物質を自由に作り変えることなのだろう。


「他の物を作り変えるって感じの能力ですかね」


 なんて答えるのが正解か分からなかったので、一番の安定択を取っておいた。

 あぁ、後そうだ。


「大事なことを忘れてました、物質を作り変えるときには魔素を消費します。作られた物質は、注ぎ込んだ魔素と元の物質に含まれてた魔素によって強度が変わるんですよ」


 一番大事なことである。


 いくら創造者でも何の対価も無しに好きな物が作れたりはしない。

 けどそれを鑑みても、この能力が強力なのは間違いない。

 この求められる魔素も、俺の保有量からしてみれば無いにも等しいのだ。こうなってくると、ほとんど一人わらしべ長者みたいなものなのだから、当然の評価である。


「・・・ふむ」


 そんな感じの返事をしたところ、ウルスラさんが何やら考え込み始めた。


「でしたら少し渡したい物があります。明日の昼頃息子に持って行かせますので、受け取ってもらえませんこと?」


 そして考えが纏まったのか口を開いた。


 渡したい物か、別に断る理由もないかな。


「わかりました。受け取っておきます。どこで受け取ればいいですか?」


「待たなくていいわ。探させますので」


「それじゃあ、好き勝手してていいんですね?」


「えぇ、構わないわ」


「分かりました」


 そう言って頷き返す。


 今日はいろいろと学ぶことが多かった。

 明日も頑張ろう、そう思った。


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