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とある魔王の無双譚  作者: azl
出会い
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終わりからの始まり

*あらすじ:死んだと思ったら転生したらしい。

 とりあえず今の状況をまとめよう。足も腕も一切動かせない、頭は動かせるが暗すぎて何も見えない。つまり何もできない。そしてそんな状況の中、正体不明の声がいきなり聞こえてきた。

 訳分からんな。文章に起こして整理してみても、訳分からんことに変わりなかった。


 というか俺はどこにいるんだ。

 死んでしまったと思い込んでいたが、よく考えればワンチャンあるだろう。だって暗くて何も見えないんだもの、ここが病院という可能性もありえるはず。


『いいえ、あなたは今洞窟の奥深くにいます』


 アッ、ソウデスカ。

 ・・・ん?いやいや、納得しかけたけど、なんで洞窟の中居るんだよ。転生するにしても普通家の中とかだろ。


『それは言えません、先代に言うなと命令されていますので』


 その先代っていうのは。


『それも内緒です』

 

 じゃあお前は?


『ですのであなたのガイド役ですよ』


 あっ、これはいいのね。


『はい。先ほども申し上げましたが、私は貴方様のガイドを先代によって任せられております』


 ふ~む、だったら引き出せる情報を全部引き出してしまおうかな。


『えぇ、貴方様が宜しいのであれば構いませんよ。私の役目は貴方様の手助けをすることですので』


 含みがある言い方だな、なんか隠してるのか?


『先ほど申し上げた通り、私は起動30分後に自動消滅します。ですのでとっととしないと、この薄暗い洞窟の中を一人で彷徨い続けることになりますよ』


 ・・・いろいろ突っ込みたいことはあった。

 なんで俺は転生したのか、ここはどこなのか、何故30分しか活動できないのか、そもそもなんで拘束されているのか。

 だがこのガイドはその全てに対して、『内緒です』と返してきやがった。引き出したい肝心な情報が、一つとして引き出せなかったのだ。

 他にも聞きたいことは山ほど湧いて出てくるだろう、だがこの30分の制限時間のせいで、満足に質問することが出来ないのだ。

 ホントに役に立たないな。拘束されている理由ぐらい教えてくれてもいいじゃないか、もしや性癖なのか。SMプレイは趣味じゃない、全身拘束なんてマジでやめてほしい。


 とふざけてことをほざいてみたが、その実そんな余裕はない。

 内心焦りまくっている。なんてったって知らぬ間に未知の世界に放り投げられて、30分以内にこの暗闇から脱出しろといきなり言われたのだ。焦らない方が無理って話だ。


『そうでしょうそうでしょう。ですから私がいるのですよ。さぁ、私の言うとおりに”照明(ライト)”の魔法を使ってみてください』


 魔法、普通だったらあまりの嬉しさに叫びまわることだろう。あるいは余りの現実離れーこの事象を現実と同一視していいのか知らないがー、っぷりに言葉が出てこない可能性もある。

 だがまず間違いない事実として、ゲームマニアやアニメマニアといった奴らの大半は心躍らせることだろう。まさか魔法が使える日が来るなんて、と。なんせ大体の奴は、授業中や仕事中にそんな妄想ばかりしているのだから。


 俺はゲームマニア・・・、いや、ゲーム好きだ。

 もっと落ち着いた状況、それこそ目が覚めたら温かいベットの上で異世界の家族に見守られている、とか目が覚めたら心優しい神様の御前とかだったら大喜びしていただろう。

 でも今の俺はそんな状況に置かれていない。つまりびっくりするくらい嬉しくないのである。

 いや、嬉しかったわ。こんな絶望的な状況の中に縋るものが出来て、だが。

 今の俺は30分の余命宣告をされたに等しい。魔法の一つや二つでは相殺できるはずもない。


『うだうだうるさいですねぇ。とにかくッ!!私の言うとおりにしてください』


 どうしてこのガイドはこんなにもやかましいのか。

 生まれ変わるならもっと、安全でハートフルなところにしてほしかったよ。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


『そうですそうです、良い感じですよ』


 俺はガイドから魔法の手ほどきを受けていた。手ほどきといっても簡単なものではある、せいぜい20分程度しか使っていない。

 まぁ今の俺の20分は、常人の60年分はあるといっても過言ではないかもしれないけど。だって今の俺の寿命は30分しかないからね。


『ふぅ、思っていたよりも呑み込みが良いですね。もう教えることはありませんよ』


 えっ?急に何?


『さぁ、私から教えることは何もありません!!』


 あの?


『それではどうぞ!!』


 いやいや、どうぞも何も、何一つ理解出来てないんだけど!?


『ぶっちゃけ時間がないんです。基礎中の基礎、必要最低限中の最低限はもう出来てますので、安心してください』


 そんなことを言われてしまうと信じるほかなかった。でもまずは拘束を解く方が先じゃないか?

 動けないんじゃ意味ないぞ。


『あぁ、それでしたら思いっきり腕を動かせば外れますよ』


 そんなはずないだろうが・・・。

 ちょっと呆れを覚えつつも、取り敢えず言われた通りにやってみる。

 思いっきり・・・。


ーバキィッッッ!!


『ね?私の言う通りにやれば、全部うまくいきます。さぁ、魔法を使ってみましょう』


 ・・・そうだな、俺が間違っていたようだ。このガイドの言う通りやってみようじゃないか!!

 えっと、確かどんな”結果”になるのかをイメージして・・・。


『えぇ、ぴかっ!!と光る感じですよ』


 わかった。

 ガイドが言うには魔法というのは、”結果を発生させること”らしい。曖昧なイメージよりも具体的なイメージの方が、その魔法は強力なものとなる。

 その魔法がもたらす結果、可能であればその過程。この二つのイメージがはっきりすればするほど、魔法はより強力になるのだ。

 えっと、ぴかっと光る感じ・・・、よし準備完了だ。


『準備完了ですか。それでは自分を信じて、どうぞ!!」


 あぁ!!

 ピカッと!!

 それっ!!


ードゴォォォーーン!!


 刹那、洞窟に響いたのは耳を塞ぎたくなるほどの大轟音。そしてその音と同時に、辺り一面をまばゆい閃光が照らしていく。

 そして光が晴れた後には・・・。



『・・・あなたちょっとおかしいんじゃないですか?」


 ”照明(ライト)”その名の通り洞窟は赤く照らされている。轟々と燃え盛る業火によって。

 

 ・・・なんでこうなった?

 ちょっとした照明、イメージしたのは懐中電灯程度の光である。だが実際に発生したのは小さい光などではなく、燃え盛る業火であった。

 俺の腕を拘束していたねじれパンみたいな鎖が、爆風の影響で壁にめり込んでいる。


 ていうか空気が籠ってるせいで無茶苦茶熱い。


「一つだけ聞いておく。俺がおかしいって、火力がおかしいって意味だよな?」

『まぁ、そうですね。ですけどあなたの魔法のセンスの無さも中々おかしいですよ』


 ・・・さっき呑み込みが早いって褒められたんだがな。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


 俺の初めての魔法は、超が付くほどの大失敗に終わった。だが、洞窟を照らすという目的は達している。

 そして10分ぐらい、ーまぁ体内時計だがー歩くと、やっと洞窟の出口が見えてきた。外から差し込む光が、天国の光に見えてくるな。

 ちなみにその間特に何もなかった。


『ふぅ、これにて私の出番も終了。残された時間も数十秒程しかありません』


 そうか、まぁそれなりに役に立ったんじゃないか?


『あらら、辛辣ですねぇ。私がいたからこの洞窟から脱出できるんですよぉ?』


 まぁそれもそうなんだけどね。

 出来たらもうちょっと情報を喋ってほしかったな。


『それに関しては謝ることしかできませんね。ですが、私にとって約束は絶対ですから』


 いや、責めてるわけではないよ。


『あらあら、いい人ですね。さて、私が消滅するまで残すところ数秒となりました。残念ですがこれでお別れです。が、最後に伝えておかなければならないことがあります』


 ん?なんだ?


『先代から託された、あなた宛てへのメッセージです』

「おい、ちょっと・・・」

『まずは君に謝らなくてはならないな』

「おいッ!!俺の話をッ!!」

『すまなかった。だがしかしこちらにも事情があるのだ。これに関してはあまり深く語れない、謝ることしかできないな」


 だめだこりゃ。完全に俺の話を聞いていない。

 もうこうなったら諦めて話を聞くことにしよう。


『おそらく君は私の正体を知りたがっていることだろう。だが君が私の正体を知ってしまうと、少しばかり問題が生じるんだ、それに知らない方が良いことでもある。だが不本意なことに、この世界には私に関する知識の片鱗が散らばってしまっているようだ。知る必要は一切ないと思うが、どうしても知りたいなら探してごらんなさい。それと私からのお詫びの印として、少しばかり君に”力”を残していくよ。君がそれを正しい道に使ってくれることを切に願っている。最後になるが、君の行く末に幸福が訪れることを祈っているよ』


 ・・・終わったか。さっきまでやかましく騒ぎ立てていたガイドの声も聞こえない、ここからは一人での行動だ。

 力がどうとか言っていたけど、後で検証してみよう。


 終わったと思った人生、だけどこうしてまた何かが始まっている。終わりとは何かの始まりとはよく言ったものだ。

 ま、向こうの世界で出来なかった分、こっちの世界では面白可笑しく過ごしたいものだね。

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