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とある魔王の無双譚  作者: azl
魔人との激闘
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戦闘狂王妃様!?

「で、一つ確認しておきたいんですけれど、リュートさんの特質能力(ユニークスキル)は二つでよろしいのよね?」

「はい、そうですね」

「え、二つもあるんですか?」

「うーん、そうみたいなんだよねぇ・・・」


 アリナは知らなかったらしい。だが安心してくれ、俺もよく分からん。何で二つもあるんだろうね?


「まぁ最初聞いたときは私も驚いたわ。それより、二つのうちのどっちを鍛えるか決めましょうか。まずは一個ずつ修めていきましょう」


 なるほどな。どっちか片方ずつじゃないと、双方ともに中途半端な結果になってしまうと。

 ・・・取り敢えず”破壊者”からにしようか、こっちの方が危険そうだし。


「じゃあ”破壊者”のほうから。こっちの方が危険そうなので」

「分かったわ。それじゃあ行くわよ」

「行くって何を?」


 訳が分からない。

 せっかく魔法訓練場に来たのにまた移動するのか、そう思っていたがどうやらそれは間違いだったらしい。


「手合わせしましょうってことよ!!」


 え、いきなりかよ!!って思った。

 まぁそれが一番の近道なのかもだけど、心の準備ってものも必要なのだ。


「ちょっ、ちょっと待ってください」

「そうですよ、お母様」


 お、アリナは俺の味方なのか。


「リュートさんは魔人なんですよ、いくらお母様でも危険すぎます」


 うーん、なんか納得いかねぇな。

 俺が若干もやもやしている間、アリナはウルスラさんを必死に止めていた・・・、が、彼女がそれを聞くことはなさそうだった。


「大丈夫よ。最悪ここで死んだとしても、無傷で生き返るんだから」


 どうも死なないから問題ないというかなりぶっ飛んだ思考をしているらしいのだ。

 ただそんな便利なことが本当にあるのだろうか。


「それって本当なんですか?」

「えぇ。大昔に発見された古代遺物(アーティファクト)の効果なの」


 そう言って古代遺物を指さすウルスラさん。そこにあったのは黒い石箱である。


「確か特定範囲内での魂の離脱を防ぐって効果でしたっけ?」

「そうね。もっと精密にいうと、魂の離脱を防ぐことによって、霧散を防ぐって効果ね」


 なんか色々過ごそうってことは分かった。

 しかし古代の奴らってのはすごいんだな、どうやったらこんなのを作れるのか。


「ま、そういうこと。それじゃ、戦いましょうか!!」


 うーん、やっぱこの人戦闘狂なのか?王族なのに大丈夫なのだろうか。

 でも実戦ってのも理にかなってる。もうこうなったら仕方ない、お得意の思考切り替えだ。よし、死んでもいいんだしやってみるか!!


「はい、是非お手合わせお願いします」

「フフフ、こちらこそよろしくお願いするわ」

「・・・はぁ、どうしてこんなことに」


 心を燃やす(片方は乗り気でない)俺たち二人を、アリナはため息をつきながら見守るのだった。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 お互い向かい合う形になるよう移動する。

 いざ試合開始。と、少し緊張していたのだけど、ウルスラさんには一つだけやっておくことがあったみたい。


「アリナ、お得意のアレ。やって頂戴!!」

「え、いいの?ズルでは?」

「魔人対人間なんだから、ハンデの一つや二つ必要でしょう」

「う~ん、そういう事ならわかりました」


 そう言ってアリナが頷く。今のやり取りを見るに、何かをしようとしているみたいだけど・・・、”解析・鑑定”、よろしく頼む。


 ー解。”魔素譲渡”及び”魔素循環”が使用された模様です。


 魔素譲渡と魔素循環?なんだそれ?


ー魔素の譲渡及びその循環を相互間で行う応用能力(アプリードスキル)です。ただしアリナ・ギルレオンの能力は練度が非常に高く、その効率が大幅に向上しております。


 なんでもアリナと対象の間に回路を形成するんだと。今は小規模なものだが、その気になれば数十人単位での能力の行使ができるようだ。

 思ったよりもすげぇんだなぁ・・・、なんて感心している場合ではないのだ。


「えっ、何故バフかけてるんですか?俺生涯において一度も喧嘩なんてしたことないんですけど。ずるくないですか?」


 したことないといえば嘘なんだが、生死を賭けた戦いなんてやったことないぞ。


「問題ないわよ。むしろこれでも足りないぐらい」


 うーん、ほんとにそうなのかなぁ。


「さてと、私の準備はこれで完了よ。あなたは?」

「あ、俺は大丈夫です」


 納得はしてないが、ぐだったところで結果が変わるわけでもない。今はウルスラさんの言葉を信じよう。


「いい返事ね。さてと、この国の兵士たちに見られて恥ずかしくない戦いをしましょう!!」


 その声に導かれて後ろを振り返ると、何人かの兵士さんが俺たちのやり取りを見ていた。なんてこった・・・。


「「「「「うぉぉぉぉぉぉ!!お二方、頑張ってください!!」

「えぇ、しっかり焼き付けてね。それじゃ、よろしくね!!」

「えっ、あっ、はい。よろしくお願いします・・・」


 差し伸べられた手を握って、あーくーしゅ。

 とても気乗りしているとは言えないが、気を引き締めて頑張ろう。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


「さ!!行くわよ!!」


 その掛け声とともに大地を蹴るウルスラさん。その速度はあまりにも早く、認識するのでやっとだった。


「ぐっ!!」


 飛んできた拳を腕で受け止める。良く対応できたと褒めてやりたい、前世なら直撃していただろう。

 そしてその拳を受け止めた腕だが、じんじんして若干痛む。が、すぐに収まった。とはいえ油断は大敵、気を引き締めていこう。


「まだ終わってないわ!!」


 拳を防がれ、いったん後ろに飛んだウルスラさんだが、次の一撃の準備は完了していたらしい。体をグルんと捻り、放たれる回し蹴り。

 だがしかし、


「遅い!!」


 俺には当たらない。つい先ほどは用意が完了していなかったので、腕で防ぐ形となったが、今はもう準備は万全だった。

 俺の種族能力である、思考加速。この効果はその名の通り、思考の加速、そして動体視力の上昇である。まぁ知覚速度に影響を及ぼすと考えてもらっていい。

 大体普段の百倍程度の速さで思考及び視認ができる。まぁ百倍の速さを視認できたところで、自分の動きが百倍早くなるわけではない。だが早く認知できるというのはそれだけで大きなアドバンテージになりうる。それはついさっきの結果を見てもらえれば十分分かるだろう。


 回し蹴りが空振りし、ウルスラさんの足は宙を蹴る。普段の俺なら見逃していただろうが、今の俺は知覚速度が約百倍。僅かなスキもとらえることが可能なのだ。

 去り行く足を横目に、俺は一気にウルスラさんに接近する。そして、自分の出しうる全力での拳での一撃をウルスラさんに放った。もはや弾丸と形容してもいいだろう、凄まじいまでの暴力だった。だが・・・、


「甘い!!」


 その言葉の刹那、俺の拳はウルスラさんによって受け止められる。

 いやいやいや、この人ヤバすぎるだろ!!何で今のが受け止められるんだ!!

 受け止められた俺の拳だが、ウルスラさんの両手で受け止められた後、ぎっしり握られ自由に動かせない。


 万事休す。

 俺の体は踏み込んだ勢いを殺しきれず、少しずつ前進を続けている。そしてそのウルスラさんは俺の腕をがっちりつかんだ後、体を反転させつつ前傾姿勢へと移行していた。俺の体はたぶん地面に叩き付けることになるだろう、大方背負い投げで。どうも踏んだ死線の数の差が浮き出てしまったみたいだ。

 チャンスだと思ってたのに、そんな思考を最後に俺の体は地面に叩き付けられる・・・、はずだった。


「忘れてません?俺の能力の名は”破壊者”ですよ?」


 その言葉がトリガーかの如く。俺の腕をつかんでいたウルスラさんの両腕、その双方が弾け飛んだ。

 破壊者の権能の一つ。触れたものを悉く破壊する”破壊身である。


「へぇ、なかなかやりますのね。こうなることも織り込み済みだったのかしら?」

「まさか」


 これは本当、腕を掴まれた時は滅茶苦茶焦った。多分思考加速がなかったら、俺は地面に叩き付けられていただろう。

 ま、結果オーライだな。腕を破壊できたのは大きなアドバンテージだ。

 それに、


 ー告。ウルスラが使用していた魔法の解析が完了しました。


 こいつは僥倖だった。ウルスラさんが使用していた魔法は、身体強化魔法”筋力増強(ビルドアップ)”。その名の通り筋力を増強する魔法だな。

 で、その解析した魔法は使えるのかい?


 ー可能です。


 ならば今すぐ発動することにしよう。

 加速された思考の中で解析結果を読み解きながら、魔法を発動させる。体中を何かが駆け回る慣れない感覚、これが魔力なんだろうか。まぁ多分そうだろう。思考を強引に切り替えて再びウルスラさんに視線を戻す。


「あら、あなた?私の魔法を盗みましたの?」

「まぁそんなところですね」

「・・・へぇ」


 そういうと、ウルスラさんは微かに笑った。

 凄まじいまでの色気。ついつい集中力が散漫になりかけたが頑張って耐える。


「アリナ、私の腕を治して下さらない?」

「あ、はい!!」


 そんな表情に若干見惚れていたのはアリナも一緒だったらしい。だが、その言葉で我に返りウルスラさんの腕を治していく。

 せっかく傷をつけたのに・・・。


「うふふ、そんな残念な顔をしないで下さるかしら?」


 どうも顔に出ていたらしい。こっちの世界でも直っていないようだ。


「ハハハ、せっかくここまで追い詰めたんですけどねぇ」

「そうね。私もここまで痛い目見たのは初めてよ。だから・・・」


 ー少し本気を出させてもらうわ。


 そんな小さな呟き。だがその声は不思議と明瞭に響き渡った。だが、その言葉こそが引き金だった。

 そして放たれる力の化身。


「纏え!!顕現者!!」


 その言葉の後、ウルスラさんの体から黒い霧があふれだす。

 そしてーーー

顕現者は適当ではない気がしますが、思いつきませんでしたのでこのまま。

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