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異世界旅行者―元関西在住JKの異世界転移―  作者: 水頼―ミヨリ―
サバイバル編
13/29

10月4日(火) JK、掃除する

「よいしょっと……」


 ツリーハウスから大樹の小枝へ背伸びをして、さっき洗った? 制服をかける。ハンガーがないから型が少し崩れちゃうかもしれないけど、乾かせられるだけマシだ。

 飛んでいきは……しないはず。てかしないでくださいお願いします。

 

 ……一応しっかり絞ったはずなのだが、力が足りなかったのか絞りきれていなかったようで、ツリーハウスのバルコニーはびちゃびちゃ。

 

 絨毯のように一面を埋め尽くす落葉を、足を使ってバルコニー外へ押し出すが、少し砂も溜まってたらしくバルコニーは泥で汚れてしまっていた。あ、落ち葉を押し出す作業はカラスも手伝ってくれてるみたいだ。


 1枚1枚落ち葉をくちばしで掴んで持っていっての繰り返しだからかなり効率が悪いが、手伝ってくれようとする気持ちが嬉しい。


「ありがとう」


 そう言うと、カラスはジッとこちらを見たあとにまた作業を始めた。……やっぱりこういう言葉の反応は薄いなぁ……。ま、いいけどさ。


 もしかしたら根本的に感謝の言葉、というものが分からないのかもしれない。結局はカラスだし。……あ、馬鹿にしてるわけじゃないよ。ただ……人間とは違いますし……?


 ほうきとかあったら楽なんだけど、そんなもの見かけなかったしなぁ……。ほうきって何で作ってんだろ?

 学校によくあるやつの毛は合成繊維とかそっち系だろうけど、魔女の乗ってそうなやつは……稲とか? ……あ、ほうき草っていうのもあったっけ?

 

 とにかく枯れた草とかだろうから……長期的に見ると作れなくはなさそうだけど、今すぐは無理かなぁ……って、長期的に見ちゃダメなのか。早く帰る方法見つけないといけないもの。


 ……あれ。なんで私はもう永住する気でいるんだ……? 


 ……心のどこかで、帰ることを諦めてる……?


 ……いや、探せば見つかるはずだ! きっと!

 ……さっき枝集めたりしてるときには何も無かったけど……。でも、でもある、絶対帰れるって!


 気分を切り替える。帰れないって思ってるとホントに帰れなくなる。だから帰れるって思っとかないと。





 …………そうだ! 食料には余裕あるし、次は私が最初にいた場所を調べてみようか。

 あの時は気が動転して、自分の居る場所なんて確認もしなかったけど、もしかしたら私がこっちに来た手がかりがあるかもしれない。


 そうと決まれば……と、その前に全部の葉っぱを外に出しとこう。中途半端は……なんか気持ち悪いし。あー……靴めっちゃ汚れとんなぁ……。


 はぁっとため息をつくと、気合を入れる。


 ……よし、頑張るか……!







――――結果として言うと、掃除は今日中には終わらなかった。


 ある程度落ち葉や泥を落とせたものの、靴はドロドロ。たまに川に行って落としたが、それでもすぐに汚れてしまった。……というか、濡らしたことで余計に汚れやすくなった気がする。何やってんだ私。


 もう日がほとんど暮れている中、ツリーハウス内に入った私はゴロンと倒れ込むように寝転ぶ。


 あの靴は玄関近くに置いておいたが、洗うよりも乾燥させて払い落とした方がいいだろう。濡らしたら余計に汚れたし。……私はもう学習したのだ。


 ……あー……もう何もしたくない。疲れた。寝たい。


 リュックは近くに置いていて、鉱石ナイフはもうなおしといた。リュックを漁って夕飯にするのもいいが、食欲がない。


 ゴロンと寝返りをうち仰向けになると、カラスがすぐそばでこちらを見ている。


 ヒッと思わず声が出て、別方向を向く。……やっぱりトラウマはそう簡単には消えないらしい。至近距離だとやっぱ無理だ。


 赤ちゃんのように丸まり寝る準備に入るが、ハッと思い出してカラスの方をちらっと見る。あ、座ってる。


「……私はいいけど、お前は何か食べたほうがいいよね……?」


 横になったままリュックを手繰り寄せ、中から木の実を出して転がす。あ、待ってここで食べられると困るな。汚れるし。


「……ちょっと食べるの待っててね……よっこいしょ……」


 おばあちゃんのように、疲れた体を無理やり起こしてカラスに目線を向けると、木の実を加えながらついてきた。

 ……アッ、筋肉痛が……!!


 フサフサの絨毯の先の引き戸を開くと、もうかなり暗くなったバルコニーが姿を表す。


「食べるなら、ここで食べて……」


 腕とお腹の筋肉痛に顔をしかめながらもカラスを誘導する。……お前、扉閉めれないよな。


 はぁ……とため息をつくと、私も風に当たろうと外に出た。


 あ、そうだと思い出してバルコニーから下を除くと、……うん、まだ火はついてる。


 あの焚き火は消えずにメラメラと燃えていた。……ほんとよく持つなぁ……。

 

 後ろを振り返るとまだつついてるカラス。視線を空へ向ける。

 

 ほぼほぼ日が沈みかけているから、空が紫っぽく色を変えている。地平線のあたりはまだ赤い。


 ……涼しい風だ。頬を撫で、もうすっかり乾いた髪を揺らす。


 


 




 

 


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