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#3: 兎莉生 has Extreme

 不思議な出会いから翌日、栖男はいつものように朝食を終え、自分の部屋に戻った時、何事もなくベットの毛布にくるまっている兎莉生を見た。


「えーと、りおちゃん?」


「……」


「その、なんだ、もう一人のお兄ちゃんはどこ行ったかな」


 すると兎莉生はすっと窓の方を指した。


(あー。外出中なんだな)


 栖男はこのまま会話を続けた。


「りおちゃん。君はずっとここにいたの?」


「……ん」


 と兎莉生はうなずいた。


(ずっとこのままいたのか……)


 …………


 と、このままだと静寂に飲み込まれかねないと気付いた栖男はとりあえず何か話しかけようと試みた。


「……暖かい?」


「……ん」


「……そうだよね、これ結構いい布団だからね」


「……」


「……散歩でも行く?」


「……」


(反応が薄い!薄すぎる!!!会話を広げようとすると黙ってしまう!!!どうやれと!!!)


 栖男は頭を抱えた。それすらも兎莉生は反応をせず布団にくるまったままぼーっとしていた。

 と栖男の後ろに誰かが話しかけた。


「よっ会話は進んでるのか?」


 トリオだった。


「わっ!びっくりした。兄貴か、どこから来た?」


「ここから」


 とトリオは真下を指した。


「瞬間移動ですか」


「そんなところだ、ところで相棒、りおちゃんは何か分かったことでもあったか?」


「反応が薄い、不愛想、ミノムシ」


「なかなか辛辣だな……まっ俺もりおちゃんのことはよく知らねぇ。最近あったばかりだしな」


「そうなんですね……。兄貴は何か用事でもあったのですか?」


 と栖男が聞いた途端待ってましたと言わんばかりにトリオはくるっと一回転をして答えた。


「そう!!!俺はりおちゃんの真相を解明する為に、あるものを用意した!!!これだ!!!」


 とトリオがぱちんと指を鳴らした途端、辺りが一変し、正方形が敷き詰められたような空間が現れた。


「これは?」


「これは、どのような才能や能力を測定する空間!今回はりおちゃんのために作ったため『かわいい娘は旅をさせよ』と命名する!」


「はぁ。例えばどのような機能があるのです?」


「そうだな、そこはやりながら説明しよう。では実験開始だ!あ、俺と相棒はりおちゃんと別にしきりになっているから大丈夫だ。」


「誰に言っているんですか」


 と、トリオはミノムシ状態の兎莉生に目もくれずボタンを押した。すると、兎莉生の目の前にいかにもなチンピラが3人現れた。


「兄貴!なんか悪そうなものが出てきました!」


(なんか兄貴と決めたの間違いだったかもな……)


 と一瞬思ったトリオだが、気にせず説明した。


「まぁ、チンピラだな。戦闘能力はそのまま再現してある。これをどのように対処するか」


 普通なら、逃げる、戦う、関わらないといった選択肢があると栖男は考えたが、やはり兎莉生の未知数にどうしても期待してしまった。その瞬間を見逃そうとはしなかった。


 が、しかし。しばらくたっても反応がない。チンピラは突っ立たまま。兎莉生は依然とミノムシ状態のままだった。

 呆然とした二人。はっと気づいたトリオは慌てて


「おい、なんも起きないじゃないか!こうなったら攻撃命令を出してやる!」


「ちょっと!?やばいですよ兄貴!」


 と栖男の制止する前にトリオはボタンを押した。すると、チンピラはいかにもなセリフで兎莉生に襲い掛かった。栖男は思わず目をつむった。


 栖男は目を開けるとチンピラ達の姿はなく、ミノムシ状態の兎莉生だけがいた。この状況を見てすかさず呟いた。


「あれ、いなくなった……もしかして、倒したのでしょうか」


「…………」


「兄貴?」


 栖男がトリオの方を向くと、何やら慌ててウィンドウなもので操作を行っている。どうやらダダごとではないと栖男は気づいた。


「どうしたのですか兄貴?」


「嘘だろ、冗談じゃねぇ。そんなことがあっていいのか!?」


「え?」


「あの野郎、なにしたかわからんが、一瞬にしてチンピラを消しやがった。しかし、どんだけスローモーションで見てもその軌跡がみえねぇ。ほんと何やったんだ???」


 と、混乱しているトリオの前にただ茫然と見ていたが、あることに気づいた。


「本人に聞けばいいのでは?」


「あ、そうか」


 とトリオは空間を元に戻した。そして兎莉生にすかさず質問した。


「おい、何をした?」


 すると、兎莉生は口を開いた。


「……殴った」


「え?何も見えなかったが。マッハいくつだと思ってるんだよ、少なくとも光の速度より早かったぞ?」

「ほんとですか!?」


「あぁ、コンマ1兆分の1という小学生が思いつくようなとんでもないスローモーション再生機能があるのだが、それでも見えなかった。もしかして量子力学使いなのか?」


「まぁまぁ、本人に聞きましょう。ねぇ、ホントに君がやったの?」


「……ん」


「どうしてそんなに強いの?」


「……神殺しの将軍と大鬼魔王」


「なんだそりゃ。御伽噺か?」


「……実在する。育てられた」


「「まじか……」」


 と二人は驚愕した。果たして兎莉生のいる日本はどうなっているのか。気になるところであった。



「ところで、私の家族に居候のこと知らせてるのですか?」

「まぁいざとなったら透明なって消えるし、何とかなるだろう」

「はぁ……」


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