#2: 未知の脅威、Xデー
「まぁ、改めて簡単に説明すると、平行世界、つまり同じ世界が3つ存在し、そこにいる自分たちをここに強引に集めた。そういうことだ。」
「それってどうやってやったんですか?」
「説明できん。なんかこうやったらできるんじゃないってやったらできた」
「適当すぎません?」
「やり方は覚えたから大丈夫だ」
と、栖男とトリオが会話する傍ら、兎莉生はベットで寝ころんでいた。
そしてこの三人は同一人物。現実は奇怪な現象となっていた。
「ところで、同じ名前だと呼びづらくないですか?」
「まぁそうだな。そっちの少女はりおちゃんでいいだろう。俺たちは兄貴と相棒の案でいいか?」
「うんまぁ大丈夫です。兄貴」
「よし、よろしくな。相棒」
とのことで、とりあえず呼び名を決めた。栖男はトリオのことを兄貴、トリオは栖男のことを相棒。少女はりおちゃんとなった。
「あと、りおちゃんはしゃべらないのですか」
「ああ、あまりしゃべらん。といって何も考えてなさそうなぐらいふわふわしている」
「江戸時代から来たんですかね」
「いや、時間は同じ流れだから同い年だぞ」
「え?」
「おいおい。大事な説明を聞いてなかったな?もう一度言うぞ。先ほど同じ世界軸は3つ存在するといったな。あれは今までの歴史の変化の違いで生まれたものだど推測する。要するにIFストーリーみたいなものだ」
「どこで変わったんですかね」
「わかりやすいのはりおちゃんのパターンだ。そこはここ日本が開国しなかったため、The和の日本が今も続いている感じだ。侍も将軍も忍者もいるらしい」
「わぁ」
「そして俺の場合、某世界的事件を俺と(親の)圧倒的な力でねじ伏せた時の世界線だ。俺のおかげで世界は平和に保たれたーって感じだな」
「某世界的事件とは?」
「あーなんかドンパチやる感じ……これ以上は察してくれ」
「あっはい。で、自分はそうな感じと」
「そうだな」
と、トリオは一息つき。会話を続けた。
「さて、本題だが、なぜ俺たちはここに来たか理由を説明する」
栖男は何か大きな出来事に違いない、と息をのんだ。
「まず、先ほど挙げた3つの世界だが、時期に一つに重なることが分かった」
「???それってどういうことですか兄貴?」
「そうだな。3つの世界線が一つになる。それは自分が一つになるということだ。つまり……」
「残り二人は消滅することですか」
「さすが相棒。俺のことだけある。そう、二人は消える。というより誰が一番ふさわしい存在か決めなければならないXデーが来る。いわゆるドッペルゲンガー現象みたいなもんだ」
Xデーに自分が消えるかもしれない。もしやと思った栖男は身構えた。しかし、トリオは落ち着いたように続けた。
「おいおい、何も相棒を消すつもりはないぜ?その気だったら最初からここにいない。何も三人のうち二人が消えるなんて嫌じゃないか。せっかくあるのに。なぜこう自然の物理に従って争わなければならんのだ」
「……方法でもあるのですか」
恐る恐る聞く栖男に笑みを浮かべたトリオ。そして
「そう!俺は3つの世界を行き来することで三人を一つの世界線にまとめることに成功した!つまり。ここには自分が三人いることで別の世界軸の合流による消滅を阻止することに成功したのだ!!!はー!!!」
と高らかに笑いあげるトリオ。
「……よくわかりません兄貴」
「そうだな。3つの世界線はどれか二つ消滅し、一つ残る。つまり最初から一つに固まれば消滅は免れるという魂胆だ」
「もし、その一つが消滅することになったらどうします?」
「いい質問だ。実は3つの世界線が合流するとき、しばらく時間があることも分かった。つまりじっくり混ぜ合わされて一つになっていくようになっているらしい。ということはだ。いきなりほかの自分が2人現れて、存在を拒絶し、言葉があれだがコロシアエーってなる」
「あーなんとなく理解はできました。殺し合いが起きないように事前に自分が三人いることを認識しておくことで存在が保たれることになる意味ですね」
「満点だ。さすが相棒。これで少しは現実味を帯びたかい?」
「これは夢ですね。間違いない」
「なんでだよ!まぁなんであれ、これからはここにいるからよろしくな!」
「居候になった……」
と夢物語のように語ってるように見えたトリオにため息をつく栖男であった。
「…………すぅ」