#14: 終結、そして……
兎莉生は一直線に守護神に突撃する。守護神も対抗する。
事態は一進一退の攻防だった。神殺しの将軍の娘、守護神。とてつもない拳と刃のぶつかり合いに栖男達はただ茫然と見守るしかなかった。
「やっぱりやばいなりおちゃん……」
「兎莉生強い子だと信じてます!」
「…………」
しばらく続くと、事態は展開していった。兎莉生が守護神を押しているようだ。徐々に防戦へと持ち込んでいる様子だった。
『くっ…………』
守護神は防戦に徹するが、次の瞬間、一瞬の油断を作ってしまった。兎莉生はそれを見逃さず、刹那の一突きを浴びせた。
『ぐはっ……やはり…………神殺しには……敵わなかった……か』
守護神はそのまま宙を舞い、倒れた。
「お、おぉぉぉ……。りおちゃんが勝ったぞ!!」
「やったーーー!さすが兎莉生ちゃん!」
千代女は勢いよく兎莉生に抱きつく。トリオも後から二人を抱きしめるようにした。
「よくやった!これで世界は保たれた!犠牲者もゼロ!完璧だ!」
喜ぶ二人と相変わらず無表情の兎莉生。兎莉生は血だらけだが、何事もなかったかのような無表情だった。
栖男も兎莉生に救われた。本当にそう感じていた。
「りおちゃん……ありがとう」
「……どういたしまして」
兎莉生から出た言葉が嬉しかったのか勢いよく兎莉生の背中から抱きついた。するとトリオと千代女は急に笑顔が消え、青ざめた。
「「あっ…………」」
「あれ?どうしたの二人ともそんなにやばそうな顔を……あれ……なんだか急に意識が……」
栖男は忘れていた。兎莉生の刺さっていた刃のことを。自分がツッコミをしていた内容であるにも関わらず。そのまま栖男は倒れてしまった。
「ちょ!?おい千代女!急いで手当するぞ!と、とりあえず自宅だ!」
「は、はいー!」
「……」
*
「やぁ、どうやら運命は変わってしまったようだね」
『……虚空の旅人か』
地に伏していた守護神の前に虚空の旅人が姿を現した。
「……やっぱりその呼び方やめよ?呼びにくいからさ」
『……それは私が貴様と同じ自分だからか』
「そこまで言ってないよ。呼び方はいくらでもある。そうだな……不思議はミステリー……ミステでどうかな?うん、いいと思う。じゃあ君は……」
『勝手に話を進めるな』
「じゃあディスティーだね!」
『呼び方変わってない……もう勝手にしろ』
「で、君はどうするの?こ れ か ら」
興味深そうにミステはディスティーに尋ねる。
『未来……運命は自分で作るもの……か……やはり他者の運命に縛られていたのがよくなかったかもな』
「ほぉ。君も何かが変わったようだね」
ディスティーはそのまま起き上がり、仮面を外した。男らしく、立派な髭をした悠々な雄姿の姿をしていた。
「私は、栖男たちについていくとする」
「お、やる気だね~なら僕もついていくよ。いつか分からないけど、また何か起きそうな予感がするから」
「お前は栖男以外見えないのであろう」
「あぁ、それはこっちで自在に切り替えられるから問題なし。次会うときは見えてるから」
「そうか……私たちの因縁も今後断ち切れると信じよう……」
「それは君の努力次第じゃない?」
「ふん、それはお前もだろう?」
「あ、そうか~。まぁ気長に行きましょ」
「無責任なやつめ……」
こうして、守護神と虚空の旅人はディスティーとミステとして、後日栖男達のところに向かうことにした。また、栖男に関してだが、トリオ達の懸命な治療によって無事治ったという。そして、トリオと兎莉生の世界の住人は仮想世界に残しておき、栖男の世界の住人は元に戻した。これもトリオ達のみで成し遂げた。
こうして、トリオ達は消滅の運命の回避に成功し、計画は完了へと至ったのである。




