#13: 自分が信じる未来
曇天の空、ただ公園のみ光を照らす。照らした先には決戦が始まろうとしていた。
『運命は絶対!運命は永遠なり!逆らうものには地に墜ちよ!』
守護神は無数の刃を周囲に発射した。刃の雨に策はなしか。しかし、トリオは周囲にシールドを張り巡らせ、なんとかやり過ごした。
「ふぅ……えぐい攻撃してくる奴め」
『なぜ抗う?なぜ運命お受け入れることができんのだ』
「当り前だ。誰かが犠牲になるのが現実だ運命だなんて。そんなのごめんだ。もう何も失いたくない。そのために俺は大天才になったんだ」
『貴様に問いているのではない。私が問うのは凡人の方だ』
「何?」「えっ……」
『主は本当にそうだと言えるのか?運命こそ楽園、理想郷につけるのだと言うのに。このまま運命に逆らうといずれかつてない絶望を味わうことになるぞ』
「それは……」
「おい相棒!前はあれだけ勇気を持ってたってのに何をいまさら怖気づいたんだ!?」
栖男は葛藤した。どっちが正しいのか未だに答えが分からなかったのだ。
(確かに、このままだと人口が大きく、不安定になりすぎて何が起こるのかわからない……でも何も失いたくはない……けど、このまま失わずに行けるのだろうか……)
『あの時の勇気は強がりなものだったのか。なら提案をだそう』
すると守護神はトリオ達にこう告げた。
『主ら三人、殺しあえ』
「「……!!!」」
「馬鹿野郎!そんなのできることないだろう!なぁ相棒!」
「……」
「相棒……?」
『ふん、やはりできぬか。栖男、貴様はよく何事も中途半端なもので私に臨んだな。そのまま思いと共に冥土に送ってやる』
守護神の言葉を前に栖男は声を上げた。
「俺は!!!」
『?』
栖男は一歩、前に出る。思いを、伝えるために。
「俺は……自分は確かに誰にも死なせたくはない。でも運命が楽園にあるのならそれもいいかもしれない……でもそんな答えは結局誰にもわからない。これは本当に我儘極まりないけど……誰にも失わない未来を作りたい!守護神もそのような運命を望んでいるはずだろ!?」
『…………おい……』
「えっ……」
『わかった口をいうなぁぁぁ!!!!!』
守護神は勢いよく無数の刃を栖男に放った。すさまじい勢いに栖男は咄嗟に手で身を守った。もう死ぬのか、ここまでかと思いつつも。
…………だが、しかし。
「…………え。ちょ…………」
栖男には刃が刺さらなかった。むしろない。ふと目の前を見るとそこには兎莉生が腹を刃がいくつか
貫通した悲惨な姿が映った。兎莉生は栖男を決死の覚悟でかばったのか。そのまま手を広げて立ったままだった。
「り……りおちゃん!!!」「兎莉生ちゃん!」「嘘だろ…………」
千代女達の言葉を前に兎莉生は無言のままだった。栖男は生きているのかわからないが、ただ真っ赤に染まった兎莉生の姿に落ち着きを取り戻せなかった。
『栖男。貴様の生半可な思いがこのような結果を生んだ。運命を受け入れていればこんな事態にはならなかった。貴様も少女と同じところに送ってやる』
と守護神はゆっくりと栖男の方へと歩いてきた。一歩ずつ。栖男の後悔を感じながらも。
栖男は視界がだんだん狭まり、頭の中が真っ白になっていった。自分は間違っていたのか……
(自分は……やっぱり…………)
「……栖男は間違ってなんかいない」
「えっ……」
栖男は目の前から声が聞こえ、意識を取り戻し、もう一度目の前を向けるとそこには刺さった刃を赤い血と共に勢いよく抜き取る兎莉生の姿があった。
「り……りおちゃん!!?」
「……栖男はみんなを失いたくないんだよね。自分だから。気持ちわかるよ」
兎莉生は一本一本刃を抜いていく。無表情のまま。ただ栖男はその姿がとても勇ましかった。
「……私ね。あることをきっかけに喋らなくなったの。人を、信頼できなくなったから。けど、あなたのような人がいて、もう一度、がんばってみようと思ったの」
「りおちゃん……」
「……だから、私は、理想の未来を望むあなたを信じてる!」
兎莉生は勢いよく守護神へと向かった。兎莉生も、新たな願いを持って。
(りおちゃん……ありがとう……信じてくれて…………)
しかし、栖男は感謝の気持ちしか持たないはずが、なぜか複雑な気持ちでいっぱいだった。
(りおちゃん……けど……一つだけつっこませて…………)
(刃一本抜き忘れてるーーーーーーーーーーーーーーーー!!!!!!!!)




