「自己責任で」
「……なあ加蓮?」
「なんです?」
「2人で話す予定なはずなのに、なんでお前がいるんだ?」
「しょうがないでしょう。私の夫とはいえ、穂乃美を男と2人きりにするには危なすぎるわ」
とある高級料理店の一室を借りて、俺と加蓮、加隈さんで集まった。ちなみに日伊乃は家で待っている。牛丼買って帰ってきて!とだけ俺に頼んで……
「……まあいいや。とりあえずはじめまして。俺は比呂 奏斗だ」
「……?なんで今挨拶してるのよ?」
「なんでって……初対面だし、挨拶するのは当たり前だろ?」
「じゃなくて、なんで穂乃美が寝てる時に挨拶するのよ」
「え⁉︎今寝てんの⁉︎」
背筋を伸ばして座っているし、目も開いている。これで寝てるなんて思わないだろ……
「あ……ごめん。奏斗の反応って正しいんだった……見慣れてるせいで私の感覚がおかしくなっちゃってた……」
良かった……俺が間違ってるのかと思った……
俺は、加隈さんが起きるまで、静かに待つことにした
♢ ♢ ♢
「……はっ。ごめんなさい……少し寝てしまいました」
「……うん。……大丈夫だよ」
少しではない。約1時間半は待たされた。まさか背筋を伸ばして座り、目が開いた状態でそんなに深い眠りについてるとは思わなかった……
「……あなたが加蓮の旦那さんですか?」
「そうだよ。加蓮と日伊乃のね」
「そうですか。では、これから私も妻として頑張ります。よろしくお願いします」
「あ、うん。どうぞよろしく……じゃなくて‼︎」
あまりにあっさりしているものだから、流れのまま返事をしてしまうところだった……
「今日は聞きたいことがあるんだ」
「……あ、S○Xならしてもいいですよ?」
「そうじゃねーよ‼︎」
表情一つ変えずに爆弾発言をかましてかる……大人しそうな割に大胆不敵だ……
「……奏斗。S○Xとはなんです?」
箱入り娘に育てられた加蓮にそんな言葉を知ってるはずもなく。人前であまり言わない方がいい発言だと知らず、平然とその言葉を口にする加蓮
「……まあ帰って調べてみ。自己責任でな」
「……?分かりましたわ」
……お義父さん。娘さんは成長しましたよ
「加隈さんは本当に結婚していいの?」
「はい」
「……一度結婚したら、バツがついちゃうよ?」
「離婚する気はさらさらないので、バツは付きませんよ」
「……えっ?だって疑惑を晴らす為だけに結婚するんだろ?」
「いえ、疑惑を晴らす為に、本当に結婚するんですよ」
????????
「元々結婚する気なんてなかったので、ちょうどいい機会かなって」
「なんか由比羽さんみたいなこと言ってますわね……」
「え?由比羽ってそうだったの?」
「まあな。由比羽は琴乃と太一が結婚する為に、自分から志願したんだよ」
「……そうなんだ」
やっぱりあんなに付き纏われたりされると、男性不振とかになってしまうんだろうか……だから結婚する気とかないのだろう
「でも家の人には言ったの?」
「大丈夫です。元々いないので」
「ご、ごめん……」
聞いてはいけないことを聞いてしまったみたいだ……
「……負担をかけると思います。……加蓮と日伊乃といちゃつきたいとも思います……でもお願いします」
「私からもお願いしますわ‼︎」
頭を下げる加隈さんと加蓮
「……いいよ」
「ほ、本当に⁉︎」
「元々、本当は結婚したくないのに、疑惑を晴らす為だけに結婚しようとしてるって思ったんだ。だから、加隈さんにその意思がないなら、断るつもりはなかったよ」
加蓮のお願いを無下にも出来ないしな……
「ただ、一つだけ約束してほしい」
「……一つだけ?」
「一つだけ。旦那が俺であることをばらさないこと」
この条件だけは絶対に守ってもらわないといけない
「……なんで?私が妻だと知られるのが恥ずかしいから?」
加隈さんは目をウルウルさせる
「奏斗……見損ないましたわ‼︎穂乃美の何が恥ずかしいのですか‼︎」
「ちがうよ‼︎加隈さんまで、俺の妻ってバレたら○されるかもしれないだろうが‼︎」
ただでさえ、2位と3位と結婚して、男達からのヘイトを買っているのに、1位まで付いてきたら、何されるか分かったものじゃない……
「そういうことでしたか。確かにそれは困りますわね」
加蓮も理解してくれたようだ
「……分かった。約束する」
「よし。じゃあこれからよろしく。……穂乃美」
「……うん。……奏斗」




