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『卯月の予行デート』



「卯月ー。次はあっちに行こうぜ!」


「あー……うん」



私は月一開催の『予行デート』のイベント真っ最中だった



相手は同クラスの隣の席の正田(まさだ) という苗字の男の子(下の名前忘れた)



開始から15分経過しての経過報告をするならば……



すごく面白くない



話を聞かせてくれるけど、語彙力がないせいなのか説明が下手だからか知らないが面白くない。たまーに自分の自慢話が出たり、わざわざ格好つけるようなことをしたりする



……過去1でつまらないかもしれない



そして何が厄介かって、この男……恐らく私が自分に気があると勘違いしていることだ



女子からの噂や遊びの誘い。そして私が男と喋っていると毎回邪魔をするように割り込んでくる



私は疎い方だと思っていたけど、ここまであからさまだと気付くものだ。……これで逆に私に気がなかったらそれはそれで面白いけど



「ここ入ろうぜ!」



連れてこられたのは、すごくギットギトのこってりしたラーメンがあると地元では有名な店だった



昼ご飯後にラーメン。しかもこってり……スポーツしている男だし、昼ごはんが足りなかったから来たのかもしれないけど、私はもうお腹いっぱいの状態。デザートとかコーヒーとか飲めるファミレスならばともかく、お腹いっぱいの状態の人が、ラーメン屋で頼める物なんてほとんどない



気遣いもしてくれない……そりゃ好きになんてなれない



「おじさん!いつもの一つ!」


「はいよー」



いつもので伝わるほどこのお店に通っているようだ



「卯月は何も頼まないの?」


「……私はいいかな」


「なんでだよー。めちゃくちゃ美味しいぞ?」


「んー。今日はいいの。また今度来るから」


「また来るぐらいなら今食っとけって」


「いや本当に今はいいから」



なぜお腹いっぱいだと察せない?誰もかれもがお腹の容量が多いわけじゃない。特に私なんて少食なのだから



……綿田先生は気遣いできるのに。あんな適当そうな人でも、賞状を貰った後にケーキを用意してくれるし、飲み物も用意してくれてたし



他の男を体験出来ることで、綿田先生は私にとって素晴らしい男性だと再認識出来た



正直、この正田のような自分勝手で相手のことを考えないデートをする人の方が稀ではあると思う。お腹の容量の話もだけど、そもそも彼女とのデートで脂まみれのギットギトこってりラーメンの店に連れてくる時点でおかしい。それを好む女性もいるけど、私からの評価点は下がる一方だ



「なぁ卯月ー知ってるか?100円玉より、10円玉の方が大きいんだぜ?」


「……へえ」


「卯月ー。俺この前カラオケ行ったんだけどさ、92点が限界だったわ」


「あ、そう」


「卯月ー。俺の好きなイタリア料理わかるー?」


「知らない」



すっごい苦痛……知識の豊富さアピールか、自慢話か、俺のことちゃんと知ってる?かの話しか振ってこない



自分の話ばかりで相手の話なんて全く聞こうとしない。しかも話し上手ってわけじゃないからなおつまらない



早く終わって欲しい……切に願っていた



こう考えると、由比羽がこのイベントが大っ嫌いな理由もちょっと分かる



ちなみに由比羽、琴乃、太一。そして奏斗や加蓮、日伊乃さんは既婚者であるため免除扱いになった



「いよっしゃぁぁぁぁぁ‼︎」と由比羽は免除扱いを受けたことに喜びを爆発させていた。多分私が見た中で1番喜んでいたと思う



私も綿田先生と結婚出来てたら……こんな退屈で苦痛な時間を過ごさずに済んだのに



「いつもの『超絶ギトギト脂増し増しラーメン』お待ち!」



大きい器の中ギリギリまでスープの入ったラーメンが出された



「……うわぁ」



思わず絶句してしまった。脂は浮き、スープにさらに透明な膜が上に張っていた。誰が見ても脂っこいことは分かるほどのラーメン。お腹いっぱいの私は見るのも嫌になっていた



「いただきまーす!」



勢いよく啜る正田。私は正田のいる方と反対を向いて、食べ終わるのを待った



……臭い。脂の匂いもあるけど、ニンニクの匂いが強烈に漂ってくる。……制服をクリーニングに出さないと。間違いなくニンニクの匂いが制服に染み付いている



本当……何から何まで最悪だよ

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