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「お前たちでも喧嘩するんだな」



「由比羽ちゃんのバカ‼︎」


「琴乃のおたんこなす‼︎」


「「フン‼︎」」



俺が家に帰ってくると、リビングから大声で2人で言い争っていた。2人は顔が腫れるほど殴りあ……ってはいない。が、どうやら喧嘩したようだ



「ちょちょ!2人とも何があったんだよ!」



2人はお互いに顔を逸らし、目を見ようとしない。2人がこんな険悪ムードになっている所なんて初めてみた……



ちなみに伊津は、実家からの呼び出しで家を開けていた



「……琴乃が悪いもん」


「違う!由比羽ちゃんが悪い‼︎」


「私は何も悪くない‼︎正論しか言ってないもん‼︎」



お互い自分が正しいとの一点張り



「とりあえず何があったか教えてくれ」



俺はまだ落ち着いている方の琴乃から話を聞くことにした



「由比羽ちゃんがね。ひどいの」


「何がひどいの?」


「だってね、唐揚げにレモンは邪道だって」


「……ん?」



えっ?たったそんなこと?



「当たり前じゃん!酸味を足したら美味しい料理なんてないよ!」


「それは由比羽ちゃんが酸っぱいの食べられないお子ちゃま舌だからでしょ⁉︎」


「なっ⁉︎誰がおこちゃま舌よ‼︎」


「だってそうじゃない!炭酸もロクに飲めないおこちゃまのくせに!」


「の、飲めるし!飲む機会がないから飲んでないだけだし!」


「じゃあその機会作ってあげる!冷蔵庫に丁度コーラがあるから飲んでみせてよ!」


「い……いいよ‼︎飲んでみせるよ‼︎」



由比羽は冷蔵庫からコーラを出し、コップに注いだ



「イッキ!イッキ!イッキ!」



一気飲みコールをする琴乃(お酒の一気飲みコールはやめようね)



「……い、いただきます」



由比羽は一気にコーラを飲み干した



「お、美味しいなぁ……」



……嘘だ。うっすらと目が潤んでいる



「ど、どう!これで私が炭酸飲料を飲めることは証明出来たでしょ?」


「酸っぱいのいけるんだから唐揚げにレモンもセーフじゃない?」


「セーフじゃない!これは別!」



由比羽は冷蔵庫にコーラを直した



「そもそも唐揚げには塩か胡椒が相場で決まってるの。1番美味しい食べ方がそれなんだから」


「……由比羽ちゃんって偏食なの?」


「どうしてそうなるのよ‼︎至って普通だわ!」


「えー?でももっと唐揚げにつける調味料とかあるでしょ?カレー粉とかケチャップとか、それこそレモンとかさ。食わず嫌いは良くないんじゃない?」


「いーや!私の長年の研究結果で塩と胡椒が最適解なのは証明されてるの」



メガネを掛けてないのに、メガネをくいっと上にあげる動作を行う由比羽。そんな研究してたことなんて聞いたことないけど……



「じゃあレモンつけて食べたことある?」


「……ない」


「じゃあ最適解か分からないじゃない。レモンが最適解の可能性もあるでしょ?」


「ない!それは絶対にない‼︎」



頭を横に振ってないないアピールをする由比羽



「そうやってなんでも決めつけ良くないと思うなぁ」


「分かりきってることだもん。決めつけても良いじゃん」



話は平行線。お互いにお互いの主張を譲らず(まあ若干由比羽が意固地になってる感じはする)、仲直りする気配もない



「……お前達でも喧嘩するんだな」



と、小さい声で呟いたつもりだったが、2人にも聴こえていたようで……



「言っとくけど、これが初めてじゃないし」


「え?そうなの?」


「これで6回目ぐらいかな?」


「6回も⁉︎」



知らなかった……お互い穏やかな性格だから(由比羽は女に対しては。男相手だと攻撃的)、喧嘩なんてしたことないものだと思っていた



「ちなみに何で喧嘩したの?」


「1回目は……確かMドNルドのチキンナゲットのソースで揉めたかな?」


「バーベキューソースかマスタードで?」


「そうそう。2回目が……映画を観に行った時に、キャラメルポップコーンにするかポップコーンにするかで喧嘩したね」


「へ、へぇ……」



飯のことでしか喧嘩してないな……



「てかそれより!太一はどうなのさ!」


「な、何が?」


「太一はレモンつける派なのか付けない派なのかどっちか聞いてるの!」


「あ、それ私も気になりますね。どっちなんですか?」



2人に選択肢を迫られた



……どうするべきだろう?由比羽の方を援護したら琴乃が怖いし、琴乃の方を援護したら由比羽が怖いしなぁ……



ならば……間を取ればいい



「俺は……マヨネーズ派かなぁ」



俺は自身の唐揚げにつける調味料を言った。正直、レモンも塩も美味しいけど、1番はマヨネーズだと思ってる



「……」


「……」



2人とも黙ったまま、重い空気が流れた。そして……



「「それはないわー」」



と、同時に否定されたのだった




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