「転校生」
「……で、なんでここにいるの?」
「……?誰のこと言ってるの?」
「樹咲のことだよ‼︎」
♢ ♢ ♢
卯月の夏休みの出来事(思ったより凄い出来事があってびっくり)を学校に着いてからも詳しく聞いていた
「でねー」
「うんうん」
と、ここでチャイムが鳴ると同時に、先生が教室にやってきた
「あ、あとで続き聞かせて!」
「えー?もうあんまり話すことないよ?」
半ば無理矢理約束を取り付け、席に座った
「はい。みんな1ヶ月ぶり。今日からまた学校だ。気合入れていくように」
「「「はーい」」」
今日からまた長い長い学校生活が始まる。私はもう既に、冬休みに目を向けていた
「そしてお前達に一つお知らせがある。今日からこのクラスに転校生が来ることになった」
転校生が来るとの情報に、教室がざわめいた
「先生ー!男ですかー?女ですかー?」
「女の子です」
男子生徒大盛り上がり。女子生徒ちょい盛り上がり。やはり転校生は異性の方が好感度があがるのだろうか?
「じゃあ転校生を紹介する。入ってきて良いぞ」
「……失礼します」
その女の子は長い髪の毛をなびかせ、そして……お隣のお嬢様学校の櫛也高校の制服を着ていた
「初めまして。樹咲 伊津と申します」
私と太一と琴乃唖然。他生徒大熱狂
可愛い転校生の登場に男性組はテンションがMAXになっていた
「あ、すいません。樹咲じゃなかったです。八幡 伊津です。よろしくお願いします」
喜びに震える男達、固まる。そして太一の方をギロッと睨んだ
「苗字で察して頂けたかなと思いますが、私はそちらにいる太一さんの3人目のお嫁さんです」
……ヤバイ。太一が男達から凄い視線浴びてる……太一ってば、壁の方見て口笛吹き始めたし……
「皆さま、これからどうぞ仲良くして下さい」
これほど自己紹介で誰かにヘイトが向くのも珍しい。しかも被害者は太一っていうね……
「えー、樹咲さんの転入はギリギリで決まったから、まだ制服の製作が間に合ってなくてな。しばらくは櫛也の制服で登校することになっている」
だから他校の制服で来たのか……
「席は1番後ろの席な。あ、あと姉妹」
「……はい?」
「お前は樹咲と仲が良いらしいな。だからお前も1番後ろのやつと交代して、色々教えてやってくれ」
「ええ……」
私と、交代させられる生徒だけ、急遽席替えさせられた……
♢ ♢ ♢
「仕方ないじゃないですか。結婚式であんなことを全生徒の前でやらかしたんですから、学校にいづらい事この上ないですからね」
「いや……自業自得じゃん」
「ええ。だからついでにこちらの学校に転入させて頂いたんです」
ついでレベルで転校してきたのか……
「はぁ……また面倒なことに……」
「面倒とは失礼な!」
「だって面倒なんだもん」
私は大きな溜息をついた
「むぅ……少しぐらい喜んでくれてもいいのに」
「……はいはい。嬉しい嬉しい」
「そんな投げやりな喜び方されても全然嬉しくない!」
なんか面倒な彼女のようなこと言ってる……
「……それより大丈夫なの?」
「何がですか?」
「いや、多少噂とかこっちでも出回ってるんじゃないの?樹咲が婚約破棄して太一と結婚したこととかさ……」
「ああ。それなら心配いりません。私達の学校で起きた出来事は、口外出来ないようになってますから」
「そうなの?」
「はい。お嬢様学校ってだけで、セキュリティは完璧。内部情報の漏洩はあり得ません。ましてや良い噂ならともかく、私のした事が世間様にバレては学校自体に泥が付きますからね。何がなんでも秘匿にするはずですから」
噂までもシャットアウトする徹底ぶり。というか、この言いようだと、学校を追い出されたのでは?と疑ってしまうが……聞かないでおこう
「もうそんなどうでも良いことは置いといて!次の休み時間中さ、学校案内してよ!」
「えー?」
「えー?じゃなくて!先生に私のこと任されたんだからそれぐらいしてよ!」
「んー……でもなぁ、それ私じゃなくて違う人がやってくれると思うから」
「……?どういうこと?」
と、ここで休み時間を告げるチャイムが鳴った
と、同時に樹咲は大勢の女生徒に囲まれた
「な、なになになに⁉︎」
「学校のこと分からないだろうから私達で案内してあげるよ!」
と、樹咲は大勢の生徒に腕を掴まれた
「ちょ、ちょっと‼︎」
「さー行くぞー‼︎まずは職員室から‼︎」
「う、腕千切れる!千切れちゃうからー‼︎」
大勢の女生徒に引き連れられ、樹咲は教室から出て行った……
「……まあそうなるよね」
樹咲を連れて行った集団に男の姿はなかった。結婚してる宣言を出したことにより、近づいても意味がないことを悟ったからだろう
何はともあれ、樹咲に変な男が寄り付かないようで良かった。……けど
「おい太一……どういうことだぁ?」
「ん、んー?な、なんのことー?」
クラスの男全員で太一を取り囲んでいた
……ご愁傷様




