「……帰っていい?」
さて。夏に行く場所といえば海。でももう海には行った。(私は行ってないけど)
他に夏といえば、夏祭りだったり、バーベキューだったり。花火だったり肝試しだったり。色々とやることがある
私は花の女子高生。まさに青春真っ只中。ならば、夏休み中に色んなイベントを網羅するしかない!
……なんてことにはならない
今日は、琴乃の叔母の家に私、琴乃、太一で向かっていた
といっても10つ程駅を越えた所にあり、長旅というわけではない
そしてなぜ琴乃の叔母の家に行くことになったのか。それは琴乃の叔母に、結婚相手達を紹介するためーー
ーーでもない。そもそも結婚式にも参加していたようで、私達の顔は一度見ている
今回の目的は一つ。お金稼ぎだ
あ、違うよ?琴乃の叔母の家から、金品とかを強奪するわけじゃない。犯罪だからね
実は私もどうやって稼ぐのか内容は聞かされてない。ただ、琴乃は毎年夏休みになると叔母の家に行って、お金を稼いでるらしい
別段お金に困ってるわけじゃないが、あって損はない。私は琴乃に連れられるまま、琴乃の叔母の家に向かっているのだ
「おばあちゃーん。ただいまー」
琴乃の叔母の家は、田舎の一角にある少し大きめの家だった
「おや琴乃。おかえり。今年もするのかい?」
「うん!あ、私も合わせて3人分ある?」
「おやおや、旦那さんともう一人の嫁さんも連れてきたんかい。倉庫から出してくるからちょっと待っておれ」
腰を曲げた叔母さんは、奥へとはけていった
少し大きい家だが、特に変わったところはない。家がお店になってるわけでもない。琴乃はいったい何で稼ごうとしているのか?
♢ ♢ ♢
「……琴乃?」
「どうしたの?由比羽ちゃん」
「……帰っていい?」
「ダーメ。お金稼がないとでしょ?」
私達は今、家の後ろにあった山の中にいた。実は山の一部が、亡くなった叔父の土地らしく、毎年ここを利用してお金を稼いでいるらしい
そして叔母さんから渡された道具は、虫取り網と軍手と虫カゴ。つまりは虫を捕まえて、それを売ってお金にするらしい
「お願いだから帰らせて……」
「ダーメ」
私は大の虫嫌い。子供の頃は友達の顔に向かってカナブンをフルスイングで投げつけたりしてたけど、今では虫を見かけただけで、スリッパを虫に向かってフルスイングするほど大嫌いだ
琴乃は私が虫嫌いだと知っていたから、稼ぎ方を黙っていたようだ。……琴乃はたまにこういったドSな一面を覗かせるから怖い……
「代わりに、今日稼いだ金額次第では、今日の晩ご飯が焼き肉になる可能性がありまーす」
「よしやろう!気合入れていこう‼︎」
乗り気なわけなかったけど、晩ご飯が焼き肉になるなら話は変わる。取って取って取りまくって、美味しいご飯を食べる‼︎
「……えらい変わりようだな」
「由比羽ちゃんは、焼き肉に目がないから」
♢ ♢ ♢
「ここら辺なら、色々取れると思う」
少し山奥にすすみ、木のたくさんある場所へとやってきた
「罠とか仕掛けてないから、見つけるのにちょっと苦労するかもしれないけど、根気よく探そう!」
「「お、おー」」
……私の見間違いでなければ、琴乃の目はキラキラしていたように見えた。もしかしたら虫好きなのかもしれない……家でGが出た際は、琴乃に任せよう……
「琴乃ー。どんな虫を狙えばいいの?」
太一が虫について琴乃に聞いていた。確かに虫嫌いの私には、どの虫が高いかなんてわからない
「んー。やっぱりカブトムシとか、クワガタかな?」
「え?ここカブトムシとか出るの?」
「出るよ。結構希少価値が高いやつとかもいたりするよ」
「それはいくらぐらいするの?」
「うーん……私が知ってる限りだと、1万円ちょいのクワガタがいたはずだけど……」
「「い、1万⁉︎」」
価値が高い虫がいる事は知ってたけど、まさかそんなに高いなんて……上手くいけば10万ぐらい稼げるかもしれない……
「あ、でも売っちゃいけない虫とかいるから、そこはちゃんと見ないとね」
「そんな虫もいるんだ……」
「うん。もしその対象の虫を捕まえて、売りに出しちゃったりしたら、捕まるか、100万円近くの罰金を払わなくちゃいけないから」
「「ひゃ、100万⁉︎」」
もし仮にそんなことになってしまったら、大損なんてものじゃない
「だから、捕まえる前に、一応私に捕まえた虫を見せて欲しいかな。私はある程度なら分かるから」
「わ、分かった」
こうして、私達はお金稼ぎの為に、虫取りを開始した




