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「そりゃ怒るわ」



「ええい!いつもいつもそうやって文句ばかり言って!何が不満ですの⁉︎」


「い、いや不満があるわけじゃなくてな……」



奏斗と加蓮はお店の中で言い争っていた。といっても一方的に奏斗が怒鳴られているだけだが



「ちょっと、お店の中で大声出したら迷惑でしょ?」



私は加蓮を宥めた



「そ、そうですわね。確かにはしたなかったですわ」


「……で、なんで喧嘩したの?」


「喧嘩なんてしてませんわ!奏斗が文句ばかり言うのです!」



側から見れば喧嘩にしか見えなかったが……



「……奏斗?なんでそんなに文句言ってるの?」


「……あれ見て」



と、奏斗が指さしたのは、加蓮が良いと言った机の値札だった



「いち……じゅう……ひゃく……せん……まん……じゅ、じゅうまん……ひゃ、百万⁉︎」



あまりの桁違いな値段に私は腰が引けた。私達が見ていた机は1万ちょい……あまりの差額に驚愕していた



「……そりゃ怒るわ」


「だろ?」


「ど、どうして由比羽さんまでそちら側につくんですの⁉︎」



加蓮は私が自分側についてくれるものだと思っていたらしい



「いや、そりゃ怒るでしょ……国から渡されるお金を遥かに超えてるんだし……」


「国からお金なんて貰えますの?」



加蓮はそもそも、家具用のお金がある程度補償されること自体知らなかったようだ



私は分かりやすく、加蓮にその補償について。その補償される額について教えた



「そんな制度がありましたのね」


「うん。だから奏斗はダメだって言ってたの」


「理解しましたわ。でも、問題ありませんわ」



今の話を聞いて何が問題ないのかが分からなかった



「私の家からお金を出してもらえば良いだけのこと。わざわざそんな少額の補償金に頼る必要なんてありませんわ」



金銭感覚が狂っている……私達、庶民からすれば破格の補償金……やはり金持ちの金銭感覚は怖い



「だーかーら!加蓮の親に頼るわけにいかないんだって!」


「どうしてですの?この机の額ぐらい、父からすればはした金ですのに」


「は、はした金……」



私達高校生が必死にバイトして、1年かけてやっと貯まるか貯まらないかの額をはした金……



少しだけ世界の残酷さを垣間見た気がした



「だから親に頼るのは無し!いや、言い過ぎた……多少は頼るけど、こんな高額な物のお金は出してもらうのはなし!」


「なんでですの!オシャレにはお金がかかるものだと母から教わりましたわ!」


「かかりすぎなの!限度ってものがあるの!」



確かにオシャレにはお金がかかる……でも大抵は限度は守るもの。でも、加蓮の限度は私達の遥か上に設定されてるから、加蓮にとっては普通に感じるのだろう



一般庶民とお金持ち……この両者で結婚すると、こういうところが困ったりするのか……



「むぅ……では、いくらまでなら机に出せますの?」


「そうだな……買う数的にも机は2万以内には収めたいかな」


「……机ってそんなに安く売ってるものですの?」


「売ってるさ。あの机とか見てみなよ」



奏斗は隣の机を指さした



「い、1万2000円⁉︎こ、このクオリティでですの‼︎」



加蓮は驚愕していた



「デザインも良い……材質も悪くありません。大きさも私が先程見ていた物よりも大きい……なぜですの‼︎」



しかも悪い意味ではなく、良い意味で驚愕していたようだ



「まあ100万円の机の方がオシャレだし、材質も圧倒的に良いんだろうけどね。でも1万ちょっとでも、立派な物は立派だってこと……分かってくれた?」


「ええ!これなら確かに安く済みますし、私好みのデザインでもありますの‼︎」



と、良い反応を見せる加蓮。どうにか理解を得ることが出来たようだ



「……奏斗が私の親に頼らず、安く済ませたい気持ちは分かりましたわ。これから私も、なるべく安い物にも目を向けることにしますわ。ただ、奏斗に頼ることが多くなるとは思いますが……」


「……ああ。これから覚えていこうな」



見てる私も少しほっこりした。結婚生活……合わないこともいっぱいあるだろうけど、こうやって理解し合って生きていく……それが大切な事だと教えてくれたかのようだった



……ただ、少し茶化したくなった



「まあでも加蓮。そんな無理に庶民の感覚を覚える必要ないって」



奏斗は私の方を見て、「なんでそんな事言うの⁉︎今丸く収まりかけてたのに‼︎」って顔をしていた



「なぜ覚える必要がないんですの?」


「だって、奏斗が加蓮のお父さんぐらい稼げるようになったら、問題ないからさ」



奏斗は今にも私に向かって○指を立てるような形相でこちらを見ていた



「なるほど!確かに言われてみればそうですわね!」


「あ、いやちょっと待って?加蓮?」


「私の夫となりし人。なれば、私の父……いや、私の父以上のお人になれると、私は信じていますわ」


「うんうん。なれるなれる。奏斗ならなれるー!」



奏斗は両手で○指を下に向けて、「地獄に落ちろ!」と言いたげな顔をしていた



「なら、やはりこちらの高い方の机にしましょう!大きさは安い方の方がいいですが、こちらでも別に手狭ではありませんし、他のポイントでみれば高い方が良いですわ!」



と、話は最初に逆戻りになった



「え、いややっぱり安い方が……ね?」


「いいえなりません!私はこちらをオススメしますわ!」



私が合流した時と全く同じ光景が広がっていた



「あ、姉妹‼︎お前なんとかっ……っていねぇ‼︎」



私は面倒ごとに巻き込まれる前に、琴乃達のところへ戻った



「許さねーからな‼︎由比羽ー‼︎」



怒りのあまりか、普段は苗字で呼ぶのに名前で私のことを叫んでいた



「はー……おもしろっ」



これが奏斗の……最後の言葉になった……(嘘だけどね)

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