「じゃあなんで拒否するのさ?」
「じゃーねー。補習頑張ってー」
「うるさーい‼︎とっとと帰れ‼︎」
終業式が終わり、皆は帰宅の準備をしていた。私自体、部活もなくこのまま帰るだけだ
卯月は補習。あれだけちゃんと勉強を教えたのに赤点を取ってしまったんだから、もう毎回赤点候補だろうなぁ
さて、私も帰るだけとは言ったけど、用事はある。これから買い物に行かなければならない
色々と買うものがある。それを、琴乃と太一と見に行くことになっている
「調理器具に大きめの机……あとなにいるかな?」
学婚生はある程度の家具代を国から援助される。そして場所によっては、学婚生割引というものを実施してくれている場所もある。お金の面に関しては、ちゃんと考えて使えば、一定量揃えることが出来る
「お待たせー。どこに買いに行くの?」
「んー……近くのショッピングモールでいいんじゃない?」
「だな。それじゃあ行くか!」
私達は学校近くのショッピングモールに足を運ぶことにした
♢ ♢ ♢
「人多っ……」
平日のお昼頃だったが、かなりの人の量だった。主にいるのは高校生〜大学生のカップルor学婚生ばかりだった
私達の時期に結婚する人は多い。長期休み前に、という考えの人はやはり多い。ただ、私達の学校では私達以外に直前に結婚する者はいなかった
一学期に結婚した組は、私達合わせて4組。特別多くも、少なくもなかった
「まず何見るの?」
「うーん……机から見る?」
ということで、まずはリビングに置く用の大きめのテーブルを見に行くことになった
「この店がいいかなぁ」
「……あら?奇遇ですわね」
どこからか聞いたことのある声がした……
「由比羽さんもお買い物ですの?」
振り向くとそこには、奏斗と加蓮がいた
「まあね。そっちは日伊乃さんは?」
「日伊乃にさんなんて付けなくて良いですわ。……日伊乃は実家の方で用事があると、先に家に帰りましたわ」
なぜさん付けするかしないかの判断を加蓮がするのかは知らないけど……まあ許可が出たし、これからは呼び捨てにすることにしよう
「そちらは何をお求めに?」
「私達は机とタンスかなぁ」
「そうでしたの。私達も丁度リビングに置く大きめのテーブルが欲しかったのです」
「え?まだ買ってなかったの?」
同居を始めてもう1ヶ月が経ちそうになっていたはずだが……
「いや、買ってないことはなかったんだけどな?」
と、ここで奏斗がなぜか目を泳がせていた
「いくつか良いのを見つけたのですが、奏斗が拒否するのです」
「……なんで拒否するの?もしかして加蓮の趣味が悪いの?」
「えっ⁉︎ま、まさか私の趣味が悪かったせい……?」
「ち、違う違う!そういうわけじゃない‼︎」
と、即刻否定した。反応速度からして、嘘ではなさそうだ
「じゃあなんで拒否するのさ?」
「……これからこの店入るんだよな?」
「……まあね」
「なら、俺達の買い物風景でも見てくれたら分かるよ」
と、言葉で伝えれば良いことを、わざわざ行動を見て判断してほしいとのこと
「……分かった。じゃあとりあえず入ろっか」
「……おう」
♢ ♢ ♢
店に入ると、色々な家具が置かれていた。主にモダンとアンティークスタイルの家具を取り扱うお店だった
「琴乃ー。どれにする?」
「んー……あの部屋だと、黒か茶色っぽいほうがいいよね……」
求めているのは、ダイニングテーブル。3人とも、実家では地面に座る和式型ではなく椅子に座るタイプの洋式型で食事を摂っており、全員一致で、ダイニングテーブルを買うことに決まった
後は個人的に欲しいコーヒーテーブルと呼ばれる、小さめのテーブル。私の部屋用に置きたいのだ
「これなんてどうだ?」
太一は朱色で少しテカテカした机を勧めた
「いいね。オシャレだと思う」
「んー……でも少し狭い気がするなぁ……」
正直、家具を選んでる今、凄く楽しい。私自身、家具などに少し興味が湧いていて、自分の部屋をコーディネート出来るのはかなり嬉しい
実家の私の部屋は、シンプルスタイルと呼ばれるもので、あまり飾り気がなく、無駄もない簡素なスタイル。最低限しか物はないが、これ以上手の施し用がない状態だった
だからこそ、もう一つ自分の手で、自分の理想的な部屋を一から作り直せることに喜びを感じていた
「これより大きい方がいいってこと?」
「んーいやでもこれで足りるかなぁ……」
「微妙かもしれないね。あまり多くは置けないかも」
「んー。私的に机は余裕を持っておきたくて。ギリギリまで詰め込んで食器とか置きたくないし」
「なるほどなー。じゃあもうちょい大きい方がいいか」
買って損はしたくない。私達は慎重に選んでいた
そういえば奏斗達はどんな机を選んでいるだろう?さっきの奏斗の言葉も気になる……
私は奏斗達の様子を見に行くことにした




