「無理無理!ぜーったい無理っ‼︎」
「ここら辺でいい?」
「ダメ!そんな所に置いたら日が通らなくなるでしょ!」
「あっそっか……じゃあここら辺か?」
「そこに置いたらその部屋通れないでしょ‼︎」
私達は今、新居にいる。無事に結婚式を終え、これから住んでいく家に家具を並べていた
学婚生用のマンションで、場所は奏斗と同じ。ただ以前から言っている通り、お金がないので奏斗のような豪勢な部屋ではない
この学婚生用マンションは、上の階になればなるほど、部屋のレベルが上がる。私達は丁度、マンションの真ん中辺りの階だ
それでも、リビング。キッチン。お風呂とトイレは別。個室が二つと十分すぎる程の部屋だ
「お疲れ様。とりあえず軽めのものを作ったから、これでも食べて休憩しよ?」
と、琴乃は気を利かせてくれた。作ってきてくれたのは、一口サイズのサンドイッチだった
「ありがとー!いただきまーす!」
「いただきます」
時刻は午後7時。時間帯で言えば丁度ご飯時ではあるけれど、結婚式の後、親族達で集まっての食事会があり、そこでお腹いっぱい食べていた為、それほどお腹が空いていなかった
だから、軽めのサンドイッチにしてくれたのは、本当に助かった
しかも具は野菜とサラミ。卵と野菜の2種類。本当に琴乃は気が利いている。素晴らしい奥さんになれる
……もうなってるけど
「そうだ。部屋の割り振りはどうする?」
合計すると3部屋。ただリビングは共同で使いたいから、実質、個人部屋は2つだ
「そうだなぁ……」
「とりあえず私と太一が同じ部屋はあり得ないからー。琴乃がどっちに入るか?って感じかな?」
結婚はしたし、……キスもした。でも、同じ部屋で寝るのはさすがにまだ無理だ
「あ、やっぱり私の部屋は無くてもいいや」
と、私の言葉に驚愕する2人
「部屋いらないってどういうこと?」
「あ、いや。私は実家にいること多いだろうしと思って。ならわざわざこっちで部屋を持つ必要もないかなって」
母にはあらかじめ、実家に戻ってくることの方が多いと言ってある。実は私は、琴乃が結婚する為に、一役買ったことも知っている。その上で、喜んで泣いていたのだ
「ずっとここに住むわけじゃなかったの?」
「あ、あれ?言ってなかった?」
どうやら肝心なことを肝心な人に伝え忘れていたようだ
「もう……由比羽ってば、ちゃんと言ってくれないと……」
「ご、ごめん……」
「……でもダメ。由比羽ちゃんも部屋を持たないと平等じゃないからね」
と、私の進言は却下された
「私は太一くんと同じ部屋に入るよ。だから隣の部屋は由比羽ちゃんが使って?」
私的にはありがたい話だけど……琴乃と太一を2人きりにするのかぁ……でも今さらだよね……
元々、2人を結婚させるために私が動いたんだから、私が邪魔してどうすんのさ……
「……分かった。じゃあ狭い方が私の部屋で、広い方が2人の部屋ね」
「分かった」
「太一もそれでいいよね?」
「うん。問題ないよ」
部屋分けは決まった。まだまだ決めることはあるけれど、とりあえず今日はもう疲れた……サンドイッチを食べたらもう寝よう……
「とりあえず今日はもう作業終了で。……色々あったから疲れた……」
「そうだね……そんなに急ぐことじゃないからね」
「だな。俺ももう疲れた……」
皆んなくたくただった。怒涛の1日だったから仕方ない
……あ、寝る前にお風呂に入らないと……ん?
「……お風呂どうする?」
太一と琴乃は頭にハテナマークを浮かべるかのような顔をしていた
「普通に入るけど……」
「誰が1番目に入るの?」
「由比羽は俺が入った後に入るのは嫌だろ?由比羽が最初でいいよ」
「……私の残り湯には入るってことだよね?」
「……まあお湯を張りなおさなかったら、そうなるね」
「…………帰る」
「「……えっ?」」
そうだった……お風呂の問題があった……
「じゃ、じゃあ後から入るとか?」
「無理無理!ぜーったい無理っ‼︎」
「そういえば由比羽ちゃん……昔から温泉とか嫌いだったよね」
「他の人が入ったやつとか、私が入った後の風呂に浸かられるとか無理‼︎家族と琴乃以外無理‼︎」
「私は大丈夫なんだ……」
私は最低限のものを持って、帰る準備をした
「ごめん!でも本当にダメだから!これからお風呂の時は、ここで寝る日でも、一回家に帰ることにするから!」
私は家を出て、一度家に帰った……
「……由比羽の時だけ、一度お湯を抜くか……」
「そうだね……仕方ないけど、そうしてあげないと不便だろうからね」




