「おーりーろー!」
「あー!もう疲れたよぉー!」
大声を上げる卯月。マンションなら隣の人から壁ドンされてしまうほどの声量だった
「うるさいなぁ!静かに勉強も出来ないわけ?」
「出来ないー!面倒くさいー!退屈ー!」
小さい子供のように駄々をこねる卯月
「ふふっ。まあ確かに長いこと勉強してるからね。少し休憩でも入れる?」
「入れる!休憩大事!」
机の前から立ち、卯月は私のベッドに飛び込んだ
「くんくん……めっちゃ良い匂いする!」
「ちょっ!人のベッドに入るなぁ‼︎」
私は卯月を引っ張り落とそうとした
「おーりーろー!」
「いーやーだー!めっちゃ癒されるんだもん!」
「勝手に人の匂いを嗅いで癒されるな!」
ぐいっぐいっと引っ張るが、中々落とせない……と、そこに……
「じゃあ私もはーいろっと」
「ちょっ⁉︎」
琴乃まで、私のベッドにダイブしたのだ
「うーん……確かに良い匂い……」
「こ、琴乃⁉︎あんたまで何やって……」
「んー?いやー、私も昔、よく由比羽のベッドに入ったなぁってさ」
昔から遊ぶ場合は、どこか出かけるか、私の家かの2択だった。そして私の家に来た時は大抵琴乃は私のベッドに座っていた
「……すっごい恥ずかしいんだけど」
「あ、照れてるんだ?」
「う、うるさい!」
私は卯月を引っ張り落とすことをやめた
「……まあしばらくベッドで休憩してなよ。でも、30分後には再開するからね?」
「えー⁉︎短ーー」
「言うこと聞かないなら琴乃にあの事バラすからね」
「それだけは勘弁して下さい。お願いします……」
私は卯月の恋愛事情を盾に、言うことを聞かせた
「分かればよろしい。とりあえず、お茶入れてくるから」
と、私は一度、部屋を後にした
「……あの事って?」
「聞かないで……何も聞かないで……」
「あ……うん……」
♢ ♢ ♢
「しばらくは脅しネタとして使えそうだなぁ……」
といっても何度も使ってやるのはかわいそうだ……本当に言い聞かせたい時にだけ使うことにしよう
「えっとー。お茶お茶……あれ?ない……」
冷蔵庫の中にいつも置いてあるお茶が見当たらない。切らした?でもさっきまで満タンにあったはず……
「お茶ならここにあるぞー」
「あー。そっちにある……って夏下さん⁉︎」
リビングには私の母と、話している夏下さんがいた
「よー。2ヶ月ぶりだなー」
「あら?由比羽、翼ちゃんと会ってたの?」
「いや、たまたまショッピングモールで会ったんですよ」
「あらそうなの?」
夏下さんは今まで、家に訪れてきたことなんて、一度しかなかった為、驚きを隠せなかった。と同時に、私は夏下さんが私に用事があることを察した
「それで夏下さん。私に何のようです?」
「おー。自分に用事があるってよく分かったね?」
「……まあ」
そして、夏下さんは口を開いた
「正確には由比羽の友達の子に用事があるんだけどねー」
「私の友達に?」
「そう。この前ショッピングモールで一緒に居た子」
「ああ……夏下さんがナンパしてた子ね」
「そうそう」
少し皮肉めいて言ったのだが、夏下さんは否定どころか肯定した
「その子に何の用なの?」
「いやー、直接言いたいから家の場所だけ教えてくれない?」
「……ダメ。用件を聞かないと、話は先に進めないよ?」
琴乃に用事だなんて……一体何を考えてる?
「んー。仕方ないなぁ……じゃあ琴乃ちゃんに尋ねる内容を話せば教えてくれるんだね?」
「……内容次第。場合によってはこのまま帰ってもらうわ」
「過保護だねぇ……」
夏下さんは一息置き、内容を明かした
「あの子に、私達が結婚する為の、もう1人の妻になってほしいのよ」




