表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
47/142

「いい感じですわ」



「とりあえず違うもの作ってみたら?」



私はとある物を見て、目玉焼き以外のものを提案した。そのとある物というのは卵パックだ



昨日、「卵がないから明日買ってくるよ」と、奏斗が言っていた。そしてゴミ箱には十個入りの空の卵パック……そしてキッチンに置かれた二つの卵……そして冷蔵庫には卵が入っていない……



ということは、私が食べた分を合わせて、卵を8個消費したことになる



まだ加蓮に目玉焼きを作るのは早いということ。……目玉焼きより簡単な料理の方が少ないけど……



「例えば何を作ればいいんですの?」


「そうだなぁ……あ!いいのあるよ!」



♢ ♢ ♢



「いいぞ!あともう少しだ!」


「そうそう!しっかりと見て!入れすぎないで!」



加蓮はゆっくりゆっくりお湯を注いだ……そして、お湯の量が線に達した時、ピタリと注ぐのをやめた



「で、出来た……?」


「出来てるよ!奏斗!加蓮が料理出来てるよ!」



私は思わず、奏斗と抱き合いながら喜んでしまった。だってあの加蓮が完璧に作り上げたのだから!



カップラーメンを!



「……バカにしてますの?」



喜ぶ私達とは裏腹に、加蓮は喜ぶどころか不満そうな顔を浮かべていた



「なんでそんな不満そうなの?ちゃんと料理作れたじゃん!」


「お湯を注いだだけじゃありませんか!」



バレてしまった……



「お、お湯を注ぐのも立派な料理工程だよ?」


「私は焼いたり、切ったり、煮たりしたいのです!そういう料理を作れるようになりたいのです!」


「水を焼いてカップラーメンに流すのは?」


「温めただけではありませんか!」



加蓮は一度やりたいと決めたことを本気で取り組む人間。やはりお湯を注いだだけの料理じゃ満足なんてしなかった



「……仕方ないなぁ。じゃあベーコン焼いてみて」


「分かりましたわ!」


「あ、それと私達は出来上がるのをテレビを見て待ってるから。ちゃんと自分が出来たと思ったら持ってきてね」


「えっ?見なくていいのか?」


「もしかしたら見られててプレッシャーを感じてミスしてたのかもしれないでしょ?」


「そ、そうですわ!奏斗が今まで横から目を光らせてたから作りづらかったのです!」


「そうなの?……なら日伊乃と待ってるよ。あ、油だけはちゃんと敷いてね?」


「分かってますわ!」



私は冷蔵庫にあったベーコンをキッチンに置き、奏斗と共に食卓の机の前で待つことにした



「加蓮ってば、油も使ってなかったの?」


「あー、俺が手本を見せた時に……「こんなに油を摂るなんてカロリー過多ですわ!」っていってたんだよ」


「そこまで知識がなかったとは思わなかった……」



♢ ♢ ♢



「……遅くない?」



調理開始から5分が経過した。ただベーコンを切って焼くだけの工程に時間がかかりすぎていた



「まさかこげるまで焼いてるんじゃ……」


「……さっきも焦がしたの?」


「う、うん。「卵はよく焼かないとお腹を下してしまいますわ!」って言って真っ黒になるまで焼いてたよ」


「今まで真っ黒になった卵を食べたことないだろうに……なんでそういう考えになっちゃうかなぁ……」



もしかしたらベーコンも真っ黒になるまで焼いてるかもしれない。……心配になってきた



「……ちょっと見てくる」



私はじっと待っているつもりだったが、いてもたってもいられず、キッチンに様子を見に行った



「ちょ、調子はどう?」


「いい感じですわ」



見たところ黒い煙は上がってない……



だが、違和感はある



「……何その寸胴鍋?」



なぜかベーコンを焼くだけの作業なのに、鍋に火をかける加蓮



「ああ……昔に私の家に仕えるメイドに聞いたことがあったの。ベーコンは蒸してから焼くと美味しいって」


「へ、へぇ……」



どうやって蒸すつもりなんだ……



鍋の中を見ると、少量の水に、ラーメンなどの湯切りに使う網杓子(あみじゃくし)を鍋の引っ掛けていた。こんな蒸し方は初めて見た



「ま、まあ頑張って……」


「はい!」



焦がしてないことを確認出来ただけで良かった。……果たしてあれで蒸せているかは分からないけど……



♢ ♢ ♢



「出来ましたわ!」



あれからさらに10分経過し、加蓮から料理が運ばれてきた



机と皿が接触する音が鳴ったと同時に、私は絶望した



「え、えっと……これは?」


「見ての通り、ベーコンですわ!」



皿の上には、燃料に出来そうな真っ黒な物体が置かれていた



「ひ、日伊乃?大丈夫って言ってなかった?」


「焼く工程まで見てなかった……」



しっかりと最後まで見ておけば……と、私は後悔した



「さあお食べになって!」



加蓮は自分のこの炭になったベーコンの味に自信があるようだったが、どう見ても美味しい訳がない。一度でいいから加蓮からはこのベーコンがどういう風に写ってるのか見てみたい……大層美味しそうに見えているのだろう



私達は意を決して、ベーコンもとい炭を口に運んだ……



♢ ♢ ♢



「……あれ?奏斗と日伊乃さんはどうしたのよ?」


「お腹を壊したみたいで2人とも休んでますわ」


「あの健康だけが取り柄の奏斗が休むなんて……何か悪い物でも食べたの?」


「さあ?わかりませんわ」



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ