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「2人の様子は?」



「日伊乃。あの2人の様子はどうだ?」



威圧的な男の声で、私は軽い尋問のようなものを受けていた。といっても、ただ情報を聞かれてるだけだけど



「べっつにー。いつもと変わらないけどー?」



威圧的な男に対して軽い口ぶり。周りの人達からも言われるが、私はメンタルが強すぎるらしい



「……おかしな点はないのか?」


「ないないー。あなたが何を疑ってるか知らないけどさ」



結論をいうと、私は今加蓮の家で、加蓮の父親から週に1度の()()を入れている



いわば私はあの2人の監視役をしている。さっき口では何を疑ってるか知らないと言ったけど、本当は気付いている



この男が、2人の関係は偽物であると疑っていることを



加蓮は結婚する直前まで、お見合いの話が進んでいたらしい。そしてそのお見合いを拒否する口実を作るために偽の彼氏役を用意したと考えているらしい



そして一度だけ小言で呟いていた言葉があった。「まさか本当に結婚するとはな……」と



ここは私の予想だけど、その場凌ぎ用の彼と結婚を迫られれば、ボロを出すと思っていたのだろう



……でも違った。ボロを出すどころか、本当に結婚してしまった。そして結婚生活後のおかしな点を見つけることで、強引に別れさせる為に、私は()()()()()()()あの2人が結婚するためのもう1人のパートナーにされてしまった……



正直、この男を今この場でボコボコにしたいけど……絶対負けるからやめとこ……



「……そうか。もう戻っていいぞ」


「はーい。また来週も来ないといけない?」


「当たり前だ」


「えー……ここまで来るの遠いんだけど……」


「歩いて5分程度だろう。文句を言うな。ちゃんと対価も払ってるんだからな」



勝手に結婚させられてるんだから、もっと良い対価を用意してくれないと割に合わないんだけどなぁ……まあいいか



「仕方ないなぁ……じゃあまた来週きますねー」



私は馬鹿みたいに大きくて、地味に重たい扉を開けて、部屋を出た



「……さっさと帰ってゆっくりしよ」



♢ ♢ ♢



5分()かけて自身の家であるマンションまで帰ってきた。エレベーターに乗り込み、最上階のボタンを押す



エレベーターの時間がこれまた長い……30秒以上はかかっている



30秒以上かけて最上階に到着。そして家の扉のドアノブを回すと、鍵はかかっていなかった



「……無用心だなぁ」



私みたいな抜けた人間でも鍵ぐらいちゃんとするのに……



扉をを開けて家に入ると、リビングで何やら騒音が鳴っていた



「だから!それは塩じゃなくて砂糖だって!」


「もうっ!分かりづらいですわ‼︎」


「粒子を見ればわかるの!サラサラなのが塩で砂糖はちょっと固形なの!」


「粒子を見たらわかるから!てか、わざわざスプーンで入れる方じゃなくて振って出てくる方を使えば間違わないだろ?」


「嫌ですわ!私ははかたの塩しか信じない!」


「なんだその執着心は⁉︎」



フライパンに火をかけた状態で2人は言い争っていた



「……何してるの?」


「あっ!日伊乃!助かったわ!」


「何何何?どうしたの?」


「今、料理を作れるようにと練習していまして、まずは目玉焼きの練習をしていたのですが、奏斗が塩と砂糖を入れ間違えただけで怒るのです!」


「いや……私でも怒るよ」



加蓮は信じられないといった顔で私を見ていた



「あの日伊乃が怒るほどなのね……」


「卵焼きなら別にいいけど、目玉焼きはダメだよ」



甘い目玉焼きなんて想像出来ない……絶対マズイだろうなぁ……



「むぅ……仕方ありませんわ。作り直しますの」



と、焼いていた目玉焼きをお皿に乗せて、私に渡してきた



「……ん?なんで私に渡すの?」


「食べなきゃもったいないからですわ」


「自分で食べれば良くない?」


「嫌ですわ」



申し訳なさそうにもせず、ただ真っ直ぐな瞳で断られた



「私も嫌なんだけど……」


「日伊乃は甘い物が好きでしょう?」


「目玉焼きを甘くされても困るんだけど……」



甘い物が好きだからといってなんでも甘ければいいってものじゃない



「……なら後で私が食べますわ。ラップしておいてくださる?」



「……えっ?こ、これ食べるの?」


「はい。日伊乃が食べないなら私が食べないともったいないでしょう?」


「なら別に奏斗でも……」


「奏斗はさっきから生み出される失敗作を食べに食べまくって、もうお腹に限界がきているのです」



……確かによく見れば服越しからでも分かるぐらいお腹が出てるような……てか何回やり直したんだろうか……



「なので私が食べます」


「ち、ちょっと待って!なら私が食べる!」


「……いいんですの?」


「加蓮に食べさせられる食べ物じゃないからね……」



こんな失敗作を加蓮に食べさせる訳にはいかない



私は砂糖のまぶした目玉焼きの乗った皿を自分の前に持ってきた



「……いただきます」



私は砂糖のまぶした目玉焼きを一口、口に放り込んだ



「美味しい?」


「……なんか……その……」



うまく表現出来ない味だった。ただ強いて言うならこう表そう



「……反応に困る味」

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