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『複数際』



「はぁ……おっそ……」



私は今、日が照りしきり、気温は30°を超えている中、外の日陰でとある待ち合わせをしていた



「……あっつぅ……こんな日に外出るとか馬鹿馬鹿すぎでしょ……」



私には外に出ないといけない理由があった。それは……



♢ ♢ ♢



「……デート代理人?」



私はまた、母の友達である希さんに呼び出されていた



「そう。それのバイトしてほしくってさ!」



また私に依頼……過去2回に渡ってバイトしたけど、どっちもロクなことがなかった



「……すいませんけど、お断りーー」


「かなりの額のバイト代を出すよ?」


「喜んで引き受けさせていただきます」



過去2回、ロクでもなかったけど、バイト代は高校生の日給を遥かに上回るほど頂ける。そのせいで私は断れないのだ



「で、何するんですか?もうある程度だけは理解出来ますけど」


「話が早くて助かるー!」


「いや、誰でもある程度は理解出来るでしょ……」



言葉の通りに受け取れば、間違いなく何が行われるかは分かりきっていた



「まあ一応説明しておくと、依頼主とあなたはデートして欲しいの」



言葉の通りだった



「ただ、一つだけ勘違いしないでほしいのは、()()()()()()()()()()()()ってこと」



希さんの言葉に私はすぐに理解を示した



「一対一のデートの中に割って入って……ってことですか?」


「端的に言えばそうなるね」



つまりは付き合っているカップルのもう一枠の女の子としてデートについてきて欲しいということだ



ただ私には疑問が残った



「でも、それって意味あるんですか?結婚は女の子が二人いないといけないけど、デートは別に二人でも問題なかったですよね?」



もし二人でデートに行くのが問題なら、琴乃と八幡もアウトということになる



「問題ないよ」


「ならなんで?このシステムを利用する人なんていないんじゃ?」


「これのシステムを利用する人達の狙いは、()()()の人限定の物をゲットするためよ」



私はその説明を聞いて、このシステムの意味を納得した



複数際(ふくすうさい)。いわゆる男1に女複数でデートをしていること。法律が改正されてから作られた言葉である



そして複数際限定の物をゲットするため…… 偽の彼女を利用し、複数際での場合のみ、提供されるサービスだったり、商品をもらうという目的を達成したい人用に向けられたシステムのようだ



「でも、わざわざお金払ってまで頼む人っているんですか?」



私の言葉を聞くや否や不敵な笑みを浮かべ、私の前に大量の書類を並べた



「これが今、届いている依頼の数よ」


「えっ⁉︎こ、これ全部ですか?」



かなりの量の依頼が届いていた



「この内の近場の依頼はこの4件よ」



と、重ねられた書類の上から4枚分取り、私に渡した



「高校生……大学生……大学生……しゃ、社会人⁉︎」



まさか社会人までも依頼してくるとは思っていなかった



「その人は今、彼女とのデートを楽しみたいらしくてね。でも、彼女の方が複数際限定が入れるレストランに入りたい!ってごねるから依頼したんだって」


「へ、へぇ……」


「ちなみに彼女役をするにあたっての役回りというか、お願いみたいなのは「いるだけでいい」らしいよ」



本当にただの数合わせ要員として求めてるってことか……何もしなくていいなら楽な部類に入るかな?



「じゃあこの人で……」


「いいの?他の候補者に目を通してないけど?」


「歳が近いのよりは離れてた方がまだマシです」



しかもよく見たら高校生の依頼主、私のクラスメイトのやつだし……



「ふーん。まあ由比羽がいいならその人にしようか。じゃあ時間の場所が決まったらまた連絡入れるからね」


「分かりました」


「あ、そういえばこの人に言われてたPSがあったんだった」


「……なんですか?」


「間違っても、自分に惚れるのはやめて下さいね。……だってさ」


「……なんか腹立ってきたから変えようかな……」



♢ ♢ ♢



という経緯があり、ちょうどそのデート代理人の仕事日はのだ



間違っても自分に惚れるのはやめて下さい……ねえ。さぞイケメンなのだろう



「 あなたが姉妹 由比羽さんですか?」



と、低い声で私の名前を呼ぶ声が聞こえた



「あ、はいいいいい?」



私は変な声が出てしまった。なぜなら男の顔はあまりにブサイクだったからだ。残念だが、惚れる心配は全くなさそうだ。完全に自惚れだ



「そんな変な声を出してどうされたというのですか?」


「あ……いや、気にしないで下さい」



そして喋り方だけ英国紳士のよう……私はこの男とは確実に合わないことを悟った



「それよりもお連れの方は……?」


「あなたと同じように、ここで待ち合わせているんです。もうそろそろ来ると……って言ってたら来ましたね。おーい!実乃(みの)ー!」



と、男は手を振る先に、どこぞのセレブかのような赤い派手な衣装を身に纏う女性が歩いてきた



「お待たせ」


「いや、待ってないよ」



いや私は待ったけどね?あなた達集合時間に10分遅刻してるからね?



「実乃。こちらが今回、依頼した彼女役の方」


「え、えーと!姉妹 由比羽です!よろしくお願いします!」


「あっそ。よろしく」



見た目からして分かってはいたし、依頼内容からしても分かってはいたが、私には微塵の興味もないご様子。まあそれで助かるんだけど……



てかそれより……女性の方はとっても美人なのな……



まさに美女と野獣の言葉が合う二人。ただ私には拭えない違和感を既に感じていた



まあ……さっさと終わらせたいから何も突っ込まないけどさ……

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