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「は、はやっぶっ‼︎」



「ーー位置について……よーいドン!」



琴乃の体験入部に付き合うとは言ったけど……まさか運動部まで回ると思ってなかったなぁ。体操服は保健室から借りられたから良かったけど……



「次!姉妹さんと夜須加さん!」


「は、はい!」


「……はい」



……一応本気で走るか



「位置について……よーいドン!」



……ちょっと出遅れちゃった



「ええっ!姉妹さん早っ!」



すっごい見られてるんだけど……普通に走ってるだけなんだけどなぁ



「姉妹さん12秒30!」



平均を知らないから速いのか遅いのか分かんないけど……



「姉妹さん速いね‼︎全国レベルだよ!」



多分速いのかな?



「はいタオル。あとこれ水分ね」


「あ、ありがとう……」



渡されたボトルで水分を補給した。中身はスポーツドリンクで、運動後だと余計に美味しく感じる



「……あれ?琴乃は?」


「夜須加さんなら、まだ走ってるわよ?」


「え゛っ⁉︎」



……本当だ。まだ半分くらいの位置にいる……汗だくだし、すごい息切れしてるし……



「夜須加さん!ファイトー!」


「は、はい……」



フラフラな足取りでゆっくりゆっくりゴールに向かって走ってる。……運動出来ないことは知ってたけど、あんなにひどかったっけ?



元々、私みたいなギャルとは正反対の琴乃。おしとやかで真面目。髪も染めたりせず、手入れもちゃんとされてる。本が好きで、運動が大の苦手な文学少女。それが夜須加 琴乃という女の子



運動部になんて今まで興味がないと思ってたし、得意になったから陸上に見学にきたのかと思ったけど……あの様子だとそうじゃないみたい



「……はあ、はあ……」



正直、琴乃にはあんまり走って欲しくないんだよね……だって……



「見ろ!あの胸!めちゃくちゃ揺れてんな!」


「ああ!あれはFは下らないぞ!」



……男達が卑猥な目で琴乃を見るから



確かにあれだけたゆんたゆんしてれば目に入ってしまうのは分かるけど……でも、琴乃にそんないやらしい目線を向けるやつは許さない!



「そこの男‼︎胸ばっかりチラチラ見てんじゃねえ‼︎」


「あん?自分が揺れないからってそうカッカすんなよ」


「なんだとこのヤロー‼︎琴乃が大きすぎるだけで私もCはあんだよ‼︎」


「……ふっ」


「……○す!あいつ絶対○す!」



あいつには絶対……生まれたことを後悔するレベルのことをしてやる……



「ゴール!夜須加さん頑張ったね!ナイスファイト!」


「はあ……はあ……な、何秒ですか?」


「え?あ、ええと……1分22秒だね」


「よ、よかったぁ……新記録……」



あれで新記録だったのかーー



ーー場所は変わって体育館。今度はバレーの練習に参加することになった



「ーーふぅ。次お願いします」


「う、うん。分かった!」



いきなり本格的なスパイクを受けることになった私……経験もないのにいきなりこんなことさせて大丈夫なのかな?



「いくよー!はい!」



キュッーードンッーー



ーー右にブロックがある……でも飛ぶのが遅れてる……となると……ここだ!



バンッ



「ごめんなさい!もう少し早く反応出来てたら……」


「ううん!すごいよ‼︎初心者であれだけ出来るんだから!」


「そ、そうですか?」



また褒められてしまった……私もしかして意外と運動神経良かったりするのかな?



「夜須加さん!いくよー!」


「は、はい!」



大丈夫かな……距離感見誤って顔で受けたりしないかな……



「……そーれ!」


「は、はやっぶっ‼︎」



……距離感見誤ってボールが自分の前で跳ねて顔に当たった……



「こ、琴乃ー!大丈夫⁉︎」


「う……うぅ……ゆ、由比羽ちゃん……私に……球技はまだ……早かった……よ」バタッ


「こ、琴乃ぉぉぉぉぉぉぉ‼︎」



ーー私がおんぶして保健室に連れて行きました



「ーーいてて……ごめんね由比羽ちゃん」


「いいよ。にしても球技が苦手なのは自分でも分かってたでしょうに……」


「ちょっとチャレンジしたくなっちゃって」


「好奇心旺盛なのはいいけど、無茶はダメ」


「はーい」



……いつもはおとなしいのに、興味が湧いたら即行動を起こす……それも琴乃の良いところなんだけどね



「どうする?まだ時間はあるけど、他の部活見て回る?」


「うん!あ、でももう運動部はいいかな……」


「それは私も同意見ね。じゃあ着替えてから文化部を見よう」


「うん!」

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