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「私はもう緋扇加蓮ではありませんわ」



「ふわぁぁぁ……」



と、自分でもはしたなく感じる程大きなあくびが出てしまった。まあ誰もいないからセーフってことで……



前日に奏斗と結婚し、実家を離れての生活。少し部屋の窮屈さを感じながらも、自由度は増した気がした



通学も以前は側近の者に車で送ってもらっていたけど、今は徒歩で通学している



生活は一変した。早く慣れないと……



「加蓮様!おはようございます!」


「え、ええ。おはようございますわ」



校門をくぐると同時に、同じクラスの方に話しかけられた



「加蓮様は奏斗さんと通学しないのですね?」


「……今日はたまたま出る時間が異なっただけですわ」



……ウソをついてしまいました。本当は一緒に出る予定でしたが、私のメイクに時間がかかりすぎてしまい、遅れる可能性も考慮して先に行ってもらっただけですのに……



不覚にも夜更かしをしてしまい、朝目覚めると、目の下にくっきりと隈が出来ていた。いつもはほんの少しメイクする程度だったけど、今日は隈を消すのに時間がかかってしまった……



今まで夜更かしなんてしたことがなかったのに……それもこれも、奏斗が勧めたあのギャルゲーのせいですわ‼︎



あんなに楽しく、自身の選択で話の内容が変わるストーリーなんてずるいですわ!あんなの面白いに決まってますわ!



没収するはずが、ギャルゲーというものにハマってしまい、夜通しずっとテレビと睨めっこ状態になってしまい、睡眠時間は僅か2時間。朝にこんな瞼が重たくなったのは初めてだった……



「そうでしたか。あ、私は職員室に用事がありますので、それではまた後ほど」


「……ええ」



下駄箱で靴を履き替え、クラスメイトと別れた



「……ヤバイですわね」



眠気からか頭がボーッとする……少しくらみもある……



「緋扇加蓮!」



と、私の名前を呼ぶ方へ目を向けると、そこには由比羽さんが立っていた



「……私はもう緋扇ではありませんわ」


「そうだったわね。比呂 加蓮」



私はてっきり奏斗が緋扇家に婿として迎える者だと思っていた。けれど私の考えと打って変わり、私と日伊乃は奏斗の姓を名乗ることになった



「一つ聞きたいことがあるんだけど」


「……なんですの?」


「なんで奏斗と結婚したの?」



……それを聞かれる事は想定済みでした。そしてその質問をしてくるのが、由比羽さんであることも分かっていましたわ



「簡単で単純なことをお聞きなさるのですね?好きだからに決まってますわ」


「……本当に?」


「嘘偽りなく。今の私の言葉は真実ですわ」


「……」



疑っている様子。仕方ないといえば仕方ないですが……



「……ならいいのよ」


「……えっ?」


「本当に奏斗のことが好きなら文句なんてないわ」



と、あっさりと引き下がった。もっと根掘り葉掘り聞いてくるかと思ったのですが……



「私はあなたが奏斗を了解したんじゃないかって疑ってたの。家の事情か何かでね」


「……」


「でも、その言葉は真実なんでしょ?ちゃんと奏斗が好きなんでしょ?なら問題ないわ。聞きたかった事はそれだけよ」



そういうと、由比羽さんは立ち去っていった……



「……またウソをついてしまいましたわね」



少しくらむ頭を押さえながら、私は教室へ向かった



「……おはようございますわ」



いつものように教室に入ると、一斉に私の方へとクラスメイト達が詰め寄ってきた



「加蓮様!おはようございます!」


「新婚生活はどうですか⁉︎」


「加蓮様ぁ……僕の加蓮様がぁ……!」



などと様々な反応を見せるクラスメイト達



「お、落ち着いてくださいまし!もうホームルームが始まるのですから席について!」


「「「「加蓮様の仰せのままに!」」」」



などと訳の分からない言葉を皆が口にすると、一斉に着席するクラスメイト達



多少は覚悟していましたが、これほど他人事で騒ぐとは……結婚とはそれほど大層な事なのでしょうか?



法律が改正されて、学生婚なんてものが広がったせいか、以前よりも重要度が低くなっていると私はそう思っていたけど……私の考えは間違っているの……?



皆んながこんなに祝ってくれてる……偽物の……ただの一時的なものなのに……



私は少し罪悪感に駆られた




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