「結婚法案改正について」
「それじゃあ、みんな知ってると思うが、学生婚について改めておさらいしていくぞ」
3時間目の授業が始まった。琴乃の言ってた通り、学生婚についての話を今から長々と話すらしい
「この国は2年前に少子化対策として、結婚についての法律が改正されたんだが、姉妹……お前分かるか?」
なんで私に振るんだよ……
「……年齢の引き下げ。学生婚の人達の住居提供。……一夫多妻制を採用。これで良い?」
「大雑把だが、ちゃんと知ってるみたいだな」
当たり前だ……耳にタコが出来るぐらい聞かされてる
「一応全部簡潔に言うぞ。まずは結婚出来る年齢の引き下げだ。これは女子は今まで通り、16歳から結婚出来るが、改正されてからは男子も16歳から結婚出来るようになったんだ」
……この改正本当に邪魔なんだよねぇ。もし何かの手違いで琴乃が同級生と結婚とかになったら……相手を○す自信がある
「そして次。学生同士で結婚した場合、学生の間だけ、学生婚専用のマンションで暮らすことが出来る。そして発生する光熱費や家賃、そして妊娠した際にかかる費用は国が約8割を負担する。というものだ」
昔は、学生婚なんてものは障害だらけだった。親に頼らずには何も出来なかったのだから。お金も、住まいも……親から支援を受けずに生活は出来ない。でもこの法案のおかげで片方がバイトをしてさえいれば、暮らせるほどにはなった
……この国のどこにそんなお金があったのかと疑問だらけだけど……
「そして最後。一夫多妻制しか認めない」
結婚法案が改正された際、批判の声がほとんどだった。でもその中でも一番批判を受けたのはこの法案だった
一夫多妻制しか認めない。つまり、男と女という形で結婚は出来ない。必ず、男と女。+女。以降妻を増やすのは10人まではOKなどというクソみたいな法案が……
……批判されない訳がない。この法案のせいで、女性達は好きな人のことを独り占め出来ないのだから……一人で愛せなくなったのだから……
「君達には関係のない話だが、この改正前の人達は今まで通り二人のままでも良し。追加で誰かを妻にもらうのも良しとなっているんだ。ちなみに、妻が増えるごとに、約50%の資金援助を国から受け取ることが出来るからな」
実際の話、二人以上の妻を持つ人は少ない。半分援助されるにしても、お金が足りなくなるかららしい……10人の奥さんを作るなんてのは、お金持ち達の一種の娯楽みたいになってるのが現状。……この国は女を軽く見過ぎてる
「他にも何個か改正されたが……大まかな部分はこれぐらいだな」
この話はテレビでも見たし、中学の時にも聞いた。多分学生の子達はもう聞き飽きたと思う
「一応確認しておくな。このクラスで学生婚してるやつは……12人だな」
クラスの人数が38人。約3割の人がもうすでに結婚している……そう。意外なことに学生婚をする人は結構いる
私が初めてこの法案を聞いた時、「学生婚なんてする人なんているわけない」って琴乃と話してたのに……
……まあ私には永遠に関係のない話だから、どうでもいいけどね
♢ ♢ ♢
「ーーホームルーム終わり!みんな気をつけて帰れよー」
新学期早々から勉強するわけもなく、昼から授業があるわけもなく学校は終わりを迎えた
「さてと!琴乃ー!一緒に帰ろー!」
私も琴乃は部活もしてないし、委員会もまだない。帰り道にハンバーガーでも食べて帰ろっかなっ!
「由比羽ちゃん。ちょっとお願いがあるんだけど聞いてもらっていい?」
珍しい……琴乃からのお願いなんて……まあ当然聞くんだけど
「いいよー。何々?」
「……部活の見学、行ってみていいかな?」
「部活?いいけど……何か気になる部活とか出来たの?」
「ううん……そういうわけじゃないの。ちょっと楽しそうだなって思っただけで……」
今まで部活に興味のある素振りを見せなかったから興味ないのかと思ってたけど……
「分かった!じゃあ色々見て回ろう!」
「……ありがとう!」
「そうと決まれば、早速レッツゴー‼︎」