「太陽並みに熱々だったわ」
「おーい太一!今日部活休みだったよな?」
「奏斗か……まあそうだけど」
「じゃあ一緒に帰ろうぜ!」
「……珍しいな。お前が俺を誘うなんて」
「まぁまぁたまにはいいじゃん?あ、それとももしかして彼女さんと帰る予定だったりする?」
「いや、今日は委員会が長引くから先に帰っててって言われたんだ」
「そうか!なら一緒に帰ろうぜ!」
「仕方ないな……」
とりあえず一緒に帰ることには出来た……
俺こと、比呂 奏斗は今、姉妹からとあるミッションを言い渡されていた
♢ ♢ ♢
「……調査?」
「そう。八幡が琴乃のことをどう思ってるか聞いてきて欲しいの」
「なんで俺が……」
「仕方ないでしょ?男の友達同士でしか聞けないこととかあるんだから!」
「他の男に頼めばいいじゃん」
「……分かってて言ってるでしょ?」
今の返答はイタズラがすぎた。姉妹が俺以外の男と喋ることすらお断りなことを知っていての発言だったからだ
「冗談だよ。んー……別にいいけど条件がある」
「……何?」
「今度家行っていい?」
「はぁ⁉︎なんで⁉︎」
「新作のゲーム買ってたでしょ?それやらせてほしいなぁ」
「うぐっ……な、なんでそのことを……」
「姉妹のお母さんにこの前会った時に嘆いてたんだよ。「うちの娘ったら、男の気配もなくて暇なときはゲームばっかりして……この間も新作のゲームが出たからって発売当日に買いに行って……」ってね」
「余計なことを……まあいいわ。その条件でいいよ」
「よしっ!交渉成立だな。ところで何を聞けばいいんだ?」
「ああ。それはね……」
♢ ♢ ♢
ちゃんと成果あげないと文句言われちゃうしなぁ……それとなく聞いて色々情報もらうか
「ところで彼女とはどうなんだ?」
「どうって?」
「一緒にいて楽しかったエピソードとかないの?」
「……特にないな」
「……ないの?」
あ、あれ?思ってた反応と違う……
「じゃ、じゃあさ!可愛らしかったエピソードとかは?」
「……特にないな」
あっれぇぇ?思ってたより関係冷めきってる?今でも一緒に帰ってるから、てっきり熱々のカップルだと思ってたのに……もしかして氷河期突入してる⁉︎
「一緒にいる時は常に楽しいし、いつも可愛いからな。挙げてるとキリがない」
……違かった。氷河期どころか太陽並みに熱々だったわ
「そ、それじゃあさ!何か嫌いな所とかないのか?」
「……ある」
おっ!これは姉妹に良い情報を持って帰れーー
「話してる時、綺麗な瞳でずっと目を合わせてくるんだ。それがこっちとしては恥ずかしくてな……」
……無さそうです。ただの惚気だったわ
「じゃ、じゃあ直してほしい所とかないの?」
「……ある」
きたきた!今度こそ良い情報を貰えーー
「眠くなって目元を擦る時の仕草が可愛すぎるからやめてほしいんだよな」
……ないみたいです。またただの惚気だったわ
「こ、琴乃ちゃんと仲が良いみたいでよかったよかった……」
「……」
と、ここで俺は何故か太一に睨みつけられていた
「な、なんでそんな睨みつけるんだよ……」
「……琴乃のこと……名前で呼んでいい男は俺だけだ」
……かっこよ
♢ ♢ ♢
「姉妹……俺、男ってものを何か分かってなかった」
「え、え?きゅ、急になに?」
太一と別れたあと、姉妹の家に直行した。情報を共有するためと、約束のゲームをするためだ
「カッコいい男って……太一みたいなことを言うんだろうな……」
「一人で余韻に浸られても……なにがあったか全然伝わらないんだけど……」
とりあえず太一から引き出した琴乃ちゃんへの思いを全て姉妹に教えた
「……そう。本当に言ってたのね?」
「うん……ぐすっ……」
「な、なんで泣いてるのよ⁉︎」
「いや……俺も昔から琴乃ちゃんの事知ってるからさ……ぐすっ……あんなに愛してくれる人が出来て良かったなぁって……ぐすっ……」
「……そうね。私としてはいけすかない奴だけど、ちゃんと琴乃の事を思ってくれてるのは確かなんだよね……」
私自身、私以外に琴乃の事を大切にしてくれる人を待っていた。そして……それは八幡なのかもしれない
「うぅ……うぅ……」
「あんたいつまで泣いて……って!泣きながらゲームしないでよ!あーもう!涙がコントローラーについてるから!」
「よがっだ!よがっだよぉ!」
「分かったから泣くかゲームするかどっちかにしてぇ!」




