表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
17/142

「まさかの天才タイプ⁉︎」



「あーもう分かんない‼︎」



両手で髪をわしゃわしゃとかきむしる卯月



私と琴乃は今、卯月の家にお邪魔してテスト勉強をしていた



1週間後には中間テストが始まる。2年生に入って初めてのテストだ



「うるさいなぁ……何が分かんないの?」


「ここ!この計算が分かんない!意味わかんない!何も分かんない!」



わーわーと喚く卯月。図書館で勉強することにならなくて良かった。図書館なら間違いなく怒られていた



「それはこっちの方式。 そっちでやったら一生解けないよ?」



私は正しい式を卯月に教えた



「……なんか納得いかない」


卯月は頬を膨らませ、不満そうな顔をしていた



「なにが?」


「なんで由比羽は頭が良いのよ⁉︎」



なんとも理不尽な不満をぶつけられた



「なんでって言われてもね」


「実は真面目なの⁉︎家で復習してるの⁉︎」


「してない。てか、一回聞いたら覚えられるし」


「まさかの天才タイプ⁉︎」



昔から勉強関連、運動関連に対しては覚えのいい私の身体。大体のことなら一度聞けば覚えるし、一度見れば出来る



「私のイメージだと由比羽は勉強出来なさすぎて毎年留年するかしないかの瀬戸際を彷徨ってるイメージなの!」


「なにその勝手なイメージは……」


「そして数学が出来なさすぎて「ふえぇ……わ、わからないよぉ……」って泣きながら言ってると思ってたのに‼︎」


「そっちの方が私のキャラとしては崩れてる気がするけどね」



私達がそんな言い争いをしている最中、琴乃は一人黙々と勉強していた



「ほら卯月。琴乃を見習いなよ。静かに勉強してるでしょ?」


「……むぅ。てか私琴乃ちゃんに教えてもらう‼︎由比羽に教えてもらうのはなんか負けた感じがして嫌!」


「実際頭の良さでは負けてると思うけど?」


「あーあーなにも聞こえませーん」


「あれ聞こえないんだ?まあ仕方ないね。脳味噌溶けてるもんね?」


「溶けてないわ‼︎」


「聞こえてるじゃん」


「ぐぬぬ……」



悔しそうにする卯月は琴乃の方へノートこど近づき、私から距離を取った



「琴乃ちゃん琴乃ちゃん‼︎この問題教えてもらっていい?」



卯月は教科書の分からない所に指をさし、琴乃に教えを乞う



「……ごめんなさい。分からないの」


「……え?」



琴乃はよく勘違いされる



「あっ!じゃあこれは?」


「……分からない」



見た目こそ秀才に見えるけど



「え、えと……じゃ、じゃあこれ!」


「皆目検討もつかないわ‼︎」



かなりのおバカさんである



卯月から聞かれた問題を堂々と胸を張って分からない宣言をする琴乃。その潔さはまさに武士のようだった



「こ、琴乃ちゃんっておバカだったんだ……」


「でも!卯月ちゃんより多分マシだと思う!」


「いや、どっちもどっちだと思うよ」


「由比羽ちゃん⁉︎」



正直、同じぐらい。どちらにしてもドングリの背比べ程度の差しかないのは間違いない



「でも意外……琴乃ちゃんって真面目だし、ちゃんと勉強してると思ってたのに」


「ちゃんと勉強してるよ。琴乃は」


「えっ?」


「……私、要領が悪いみたいなの。新しく覚えることに時間がかかるみたいで……」



琴乃は昔から、何回も聞いて覚える。何回も見て覚える。普通の人と同じだが、その時間が他の人よりも多くかかってしまう



今でこそ料理などの家事は完璧だが、琴乃母の話では、1年半程は閲覧注意レベルだったらしい



「だから何回も書いて勉強してるの」


「そうなんだ……」


「卯月と違って努力してるから、琴乃のテストの点数自体はそこまで悪くないよ」



卯月と同じ勉強量だと、琴乃の方がおバカになるかもしれないが、努力家の琴乃はおバカな卯月と違ってちゃんと勉強量をたくさんこなしている。琴乃は一応テストの点数は毎回上位に位置している



「琴乃はいっぱい頑張ってるのに卯月は頑張らないの?」


「うっ……」


「琴乃は他の人より苦労して上位取ってるのに、楽して下位になって赤点で夏休み無駄にしたいの?」


「うぐっ……」


「卯月は頑張れば出来る子だって、私信じてるから」


「私頑張る……私頑張って上位目指す!」



卯月の勉強魂に上手く火を点けることが出来たみたいだ



「けどその前に眠くなったから寝る!おやすみ!」



と、やる気が出たと思ったのも束の間。卯月はベッドに寝転がってしまった



……もう知らない


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ